表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】御伽学園戦闘病  作者: はんぺソ。
最終章「終わり」
532/556

第五百三十一話

御伽学園戦闘病

第五百三十一話「リーダーの仕事」


島の中央、この戦いが始まってからずっとやり合っている二人がいる。


「凄いタフになってるじゃん、何したんだよ」


無傷の佐須魔と血塗れの礁蔽。礁蔽は息を切らし今にも倒れそうなほど顔色が悪い。一方佐須魔はあまりにも余裕そうだ。


「そっちやってよう強くなってるやん」


「当たり前だろ、神の力持ってるんだから。武器じゃない、そのままの意味の」


「そう言われると人外感増えるけどなぁ…ただ見るだけじゃ何も変わってへんように見えるで」


「見た目は変えない様にしたからね。それだけの話だ。それよりも良いのか?仲間が死ぬぞ、このままじゃ」


「何言うとんや、今んとこ全員勝っとるやろが」


現在蒿里が勝った直後、ラックの所はまだ勝敗が決まっていない状態だ。


「ラックがいるだろ。あいつの相手は災厄だ。災厄は歴代の記憶や耐性を継承する性質がある。分かるだろ、通用しないぞ、諸々」


「だから何言うんとんや。わざわざ体乗っ取ってまで参加してくれた奴、しかもラックが、勝算無しに挑むと思っとるんか?」


「…それもそうだが、どうやってやるつもりだろうね」


次の瞬間物凄い圧を感じる。上から下に向けた上風だ。


「上から!?」


佐須魔も困惑していたが、一瞬龍の姿が見えたので納得した。だがそれ以上にマズイ事もある、いつの間にか雨竜が来ている。サンタマリアも見えるし、想像よりも決着は近いのかもしれない。


「動揺しとるやん、どうしたんや」


「いや、想定外だっただけさ。でも災厄は負けないよ、あいつは確かに重要幹部以上の実力が…」


次の瞬間災厄の霊力が消えた。


「単純なタイマンならエスケープで最強なんは間違いなくラックや。ほんでワイらは大体タイマンで重要幹部をボコした、もう分かるやろ。お前らばっかりが強くなっとると思うなや」


悪意を含んだ笑みを見せつける。


「それもそうか……でも困ったな。災厄もいなくなったら僕と佐伯しかいないんだけどなぁ…連れて来るしかないかな、紀太」


「少しでも考えさせようと思っとるんかもしれへんけど意味無いで。あいつがアリス無しで単純にワイらと戦うとも思えん。精々ニア殺して燃え尽きるやろ。ニアがいなくなるのは結構痛いが、ラック居ればどんな状況でもひっくり返せるわ、ボケが」


「面倒だな、智鷹が調子乗ってあんな事しなければまだ生きてた可能性あったのに……困るね、分かるだろ?リーダー同士だし」


「分からんわ。そもそもワイはリーダーゆうてもリーダーっぽい事したの結成だけや」


「そうだったね。僕らはリーダーとしてあまりに質が違うからね」


「んな煽っとる暇あるんか?ワイら無茶苦茶に有利やけど」


「そうは見えないよ。お前はもうボロボロでまともに戦える状態じゃない。だけど他の奴らは霊力放出消して何処かにいる。少なくともこの周辺にはいないよ」


「何で分かるねん。まだ建物あるやろ」


結構な数が潰れてしまったがまだそれなりに建造物はあるので隠れる余地は十二分にあるはずだ。それなのに断定出来る理由が分からない。


「だって殺されてないからね、一匹も」


「何言うとんや?」


「ちゃんと見なよ、建物周辺」


そう言われ見てると大量の下霊と思われる雑魚そうな霊がふよふよしている。どうやら偵察させていたようだ。にしてもその数が凄い、下霊と言っても一般人はそれだけでキャパの限界を迎える事が多い。それを何十匹、下手したら三桁以上持っているようにも思える。

既に人外の域とは言ってもそれは行き過ぎている。物量攻撃をされたら普通に致命傷になるだろう。


「まぁこれぐらい朝飯前だよね。何せ僕は最強だ、君達みたいな雑魚にやられるつもりは無いよ」


「へいへい。んな事言ってる暇あるならさっさとワイ殺せや」


「うん、そうするつもりだよ」


放つ。無詠唱で剣進。


「避けられないだろ、今のお前じゃ」


確かに避けられない。避けられるはずもない、高速で迫って来る三本の剣など。だがそれで良いのだ。そもそも最初から真っ当に戦って勝つつもりなど微塵もない。

ただ限界は来た様で仰向けになって倒れる動作を見せる。勝ちを確信した佐須魔だったが、口元に違和感を覚える。つり上がっている、まるで嬉しそうに笑っている。


「こんな所で戦闘病か、意味ないのに可哀想だな。別にお前の能力はいらないから黄泉に送ってやろうと思ったのにな」


そのまま倒れた礁蔽だったがすぐに起き上がる。だがもう顔を上げるのも辛いようで俯きながらまるで屍のように突っ立っている。


「でも生かす訳にはいかないからね。ここで死んでくれ、礁蔽」


最後も剣進でやろうと思い、三本の剣が現れる。せめてもの慈悲で速度を上げ、痛みを感じる間もなく殺してやろうと思った。だがそれが駄目だった。

軽く力を溜めている時、礁蔽は胸ポケットからある物を取り出した。それは前大会でも佐須魔戦で利用していた鍵の付いた箱だ。それを使われると面倒なので仕方無く即刻殺す事にする。

恐らく一回分は能力を使われるが大した問題にはならないはずだ。


「ほんっま頭おかしいで兵助は。いっちゃん脆いワイに囮させるとかな、しかも、佐須魔の」


鍵を開け、箱を投げる。てっきり佐須魔が何処かに飛ばされると思ってゲートを用意していたが、違ったようだ。その箱が開かれ、飛び出してくる。

更なる箱。計五個、全部に鍵が挿されている。当然、開く寸前だ。


「そう言う事か」


何をしたいのか理解すると同時に、再現される。


「ほな後はお前らでやれや!」


箱から飛び出す五人と二匹、流、兵助、ニア、ラック、蒿里、ポメ、迅隼。礁蔽より一歩前、当然皆、準備は出来ている。


「言い忘れとったなぁ佐須魔。ワイの仕事は、舞台設営や」


完全有利、このまま落とす。



第五百三十一話「リーダーの仕事」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ