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【完結】御伽学園戦闘病  作者: はんぺソ。
最終章「終わり」
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第五百話

御伽学園戦闘病

第五百話「(ラーケンス)


(ラーケンス)!!」


佐須魔はそれを知っていたようで驚きながらも楽しそうにしている。すぐさま喉から槍を引き抜き、回復を試みる。だが折角のチャンスを絶対に逃さまいと他の奴らが動き出す。

当然リヨンも動く、正円の魂を取り込んでことによる全ての増幅。とんでもない力と異常なまでの霊力増加、普通の霊ならば霊力総量は100もあれば充分なのだが今現在のリヨンの霊力総量は400にも近しい。当然そこらの能力者なんかよりも多く、選択肢は多い。


「私も…まだ!」


何とか動く絵梨花の左腕、サルサからそこまで距離を取らせないために空気爆発を置く事によって逃がさない。


「まだ動くんだ」


まだギリギリ興味があるので佐須魔は警戒しながらも大丈夫だと思っていた。何故なら攻撃性を感じないから。今までの絵梨花ならばここで勇敢に上手く攻撃してくるだろうが、ここではサルサのサポートに回った。その時点で自分自身は蚊帳の外だと察しており、何処か弱弱しい雰囲気が出ている。

大きな分岐点か何かが発生しなければもう絵梨花は大した戦力に成り得ないだろう。そんな事よりもサルサに意識を向けなければいけない。

こいつが持っている武具、(ラーケンス)の効果は幻術。武器の形や動きを相手に別の物体として魅せる事が出来る。基本どんな動きにも出来るので使い方は無限大である。


「神の力使えるんだね」


「当たり前だろう。そう言う風に改造されているんだ。それにお前だって使えるだろう、この武器は」


「使えるけど何処にあるかも、どういう風な奴かも分からなかったから楽しいんだよね。僕武器好きだからさ」


「そうか。俺は嫌いだ」


そんな事を言いながらも突き出している。その際の見た目は更に更に伸ばして、佐須魔の首元に突き立てている様に見えている。だが実際はまだ届かないし、変な動きや油断を誘発させるためだ。

普通の奴がそれを使ったら絶対に意味の無い動き、むしろ相手にアドバンテージを与える事になってしまうのだがサルサはそこら辺も磨き上げられているので扱える。正にマモリビトの側近と言うべき実力だ。


「うっそだろ!?」


喉元を貫いたはずの先がすり抜け、佐須魔を通り抜けた。それが幻覚だった理解した直後には既に血が吹き出していた。更に距離を詰められ、刺されていた。

一瞬の意識の緩み。そこを突く様にして一気に距離を詰めたのだ。最大限力を抜き、労力をかけず、どれだけ正確に一撃をぶち込むかが大事だと考えているサルサだからこその戦い方である。


「言っておこうか、私だって戦えると」


無詠唱の召喚、神話霊・ケツァルコアトル。一瞬にして背後から突っ込んで来た。避ける事を忘れてしまったが故にサルサとの距離を詰める行動になってしまい、一瞬にして詰まった。

眼前にいる老人の眼に佐須魔は恐怖を感じた。闇なんかではない、物凄い熱を感じられた。重い、重すぎる。佐須魔が感じた事も無く、抱えようと思った事も無い程に暑苦しい熱意。

それが誰から貰った物なのか、または何を経てして手に入れた物なのか。尋常じゃないまでの興味が惹かれる。ここで佐須魔は思った、どうして自分がこんな感情を持てなかったのか。

それは結局の所"あの日"に通じているので何も感じなくなってしまった。


「どうやら君はまだ、辿り着けていないようだな」


サルサが零した一言、佐須魔はその真意を理解したにはしたのだが、共感出来なかった。まるでこの老人の人生が浅く感じてしまう一言。真理とはそんな簡単に辿り着いて良いものではなく、ニンゲンの思考で理解出来る物でも無いのだろう。現に中途半端な状態で止まっている佐須魔は神に見せてもらえなかったし、見ようとも思わなかった。


「辿り着けなくて良いさ。僕の感性はまだ死んでないからね」


「……良いだろう、見せてやる。これが真理だ」


(ラーケンス)の変形、佐須魔にのみ見える変化。それは形言って良いのかも分からない程ぐにゃぐにゃと変形し、異形の何かになったと感じた瞬間にまた別の者に変化し、また別の物に変化し、佐須魔の心を揺らして行く。

涙さえ出てきそうな程速くなる鼓動。だがまだ変化する全てに佐須魔の体は動かなくなった。サルサはそれを知っているので何も思わないのだが、他の人物からすると槍を突き立てられた佐須魔が急に動きを止めた様にしか見えていない。

全員が息をのみ緊張する。張り詰めた空気の中、唐突にして佐須魔が高らかに笑い始めた。戦闘病らしい大笑い。サルサとリヨン以外の皆が何か大きな攻撃をしてくると思って構えていたが、何も起こさなかった。


「感性が死んでいない。それは当たり前だろう、何故なら本当に死ぬのは、"これ"を知った時からだ」


ここに来て戦闘の動きが止まった。


「俺はアイトにこれを見せてもらった。その時知ったのさ真理というものを。真面目に受け取ると壊れるだろうな、俺達ニンゲン如きが受け止められる代物じゃないからな」


「……そうかもな」


ひとしきり笑い終わった佐須魔の眼は変化していた。今までは面白い事だけに眼を向けていたのだが、その眼はサルサと似た物となっていた。

燃え盛る、死んだ感性から放たれる探求心。何故ここで探求心が現れるのか、それは簡単な事である。繋がるからだ。今まで理解出来なかった事柄、今まで知らなかった裏側、それが今の幻術によって知った情報と繋がり、佐須魔の全てを活性化させた。

戦闘に割くリソースが減り、頭の片隅で様々な思考が巡っていた。


「今だ」


サルサの一言によって動き出す。

ケツァルコアトルが上空から突っ込み、絵梨花が空気爆発で逃げ道を塞ぎながら皆の力を二倍にした。それだけではない、リヨンと薫が後方からサポートを始める。

薫は広域化で常に回復術を使う事によって皆に保険をかけている。リヨンは術を使って最大限サルサが力を出せるように尽力しながら、誰かが死んだら誰よりも速く動いて喰うため目を光らせていた。


「面白い。ここまでされても尚、生きるか」


だがその攻撃の全てを受けた末に無傷で立っている。別に無敵な訳では無い、ただただ生き返っている。零式の一つによって何回も生き返る事が出来るのだ。

禁忌の術ではあるが限界はある、その残機を全部ぶっ壊してやれば良いのだ。薫が本領発揮するまでに残機を破壊しなければ勝ちの目は本当に消えるだろう。


「でもさぁ…こうすれば良いよね」


佐須魔は呟き、手を喉元に当てた。一応霊力の流れを手でサポートしながら、放つ。

最悪の一撃、弐式の根源。弐条、封包翠嵌。参条、鏡辿。この二つは非常に強い効果を持っている。全てを包み無効化する封包翠嵌と、使い方が無限で搦手にも混ぜ籠める鏡辿。

その二つの根本、壱式とはまた違う、力だけで言えばトップレベルに立つ術式。


弐式(にしき)-壱条(いちじょう).経闇暗(へぐらぐら)


一瞬にしてドームが展開された。真っ黒な世界へと様変わりし、全てが変わった。皆の意識、心、思考、全てが塗り替えられた結果真っ暗な世界に置かれた佐須魔以外の動物は異常を起こすのだ。

それが経闇暗、初代ロッドが作り上げた中で最も優れるとされる、対能力者用の術である。



第五百話「(ラーケンス)

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