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【完結】御伽学園戦闘病  作者: はんぺソ。
最終章「終わり」
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第四百六十話

御伽学園戦闘病

第四百六十話「子世界 in 子世界」


島の中央、唯一の住宅街に刀迦以外のTISメンバーは集まっていた。刀迦は戦闘を続けていると分かっているのでひとまず話を始める。開口一番佐須魔が告げる。


「ラックが来た。まだ実体は無いようだが康太が死に際で菫眼を発動したし、何よりこいつがそう言ってる」


そう言いながら災厄を指差した。


「どうやらまだ出てくる気は無いようだけどね~。とりあえず早めに教師もエスケープチームも潰した方が良いと思うよ~」


「だそうだ。とりあえず刀迦が香奈美を潰してから事が動くから今は何もしなくて良い。僕らは全員で固まって居よう、ラックの攻撃ならば少なくとも一撃は無効に出来るはずだ。

刀迦が香奈美を殺して、その後残党を掃討。多分薫は間髪入れず来ると思うんだ、相手も本気だからね。だからこそそれを利用する。全員で一人ずつ潰せば絶対に勝てる。

エスケープは礁蔽がいるせいでそうは行かないだろうが…教師だけなら何とでもなるよ」


佐須魔の指示に従っておけば大体は何とかなるだろう。次に佐伯の方を見ながら訊ねる。


「にしてもやられたね、佐伯。譽とかじゃなくて良かったとは思うけど…これからどうするつもり?」


「迅速に無効化をする、気にしないでくれ」


「それなら良いよ。さぁ、ちょっとだけ暇な時間が来るだろうけど安心して待っててくれ。刀迦は負けないよ」


そんな事言わずとも刀迦が負けるはずはない。

皆が休息を取ろうとしたその時だった。佐須魔が面倒臭そうに呼びかける。


「四人来てる。蒼、拳、光輝、香澄だ。來花?ちゃんと殺したんじゃないの」


「いや確かに殺した…何故生きている…」


「まぁ良いや。僕は薫との戦いに備えて消耗はしたくない、來花もちょっと休憩しときなよ、内喰いするんだろ?」


「そうだな、任せる」


「智鷹は…まぁ良いか」


神武に傷が出来ていないか入念にチェックしている智鷹の方を見てどうせ戦わないと判断した佐須魔は佐伯を除いた重要幹部を戦わせる事とした。全員ボロボロのはずなので死にはしないだろう。だが光輝と蒼は本当に強いので注意は怠らないよう釘を刺しておく。

出来れば遠くで戦闘をして欲しいが、誰と誰が戦うかは見ておきたいので傍に来るまで待つ。すると木々を抜けて住宅街に四人が入って来るのが見えた。


「何のつもりだい?たった四人で僕らに勝てるとでも思ってる?」


「思ってない。だけど三獄は休憩したいんだろ、だったら重要幹部だけ動かすはずだ。だからこそ仕掛けに来た。頼むよ、光輝」


次の瞬間光輝は影に沈み、重要幹部四人と災厄も同じくして影に飲み込まれた。その後学園側四人もいなくなる。これでは目視出来ないので誰と戦う事になったのか『阿吽』で報告してもらう。

そして判明した。譽と素戔嗚が光輝、原が光輝、拳がアリス、消去法的に蒼が災厄だ。


『死ぬなよ。それじゃあ頑張って』



現場は影の子世界。既に全員が別の場所に輸送され、地上での戦闘を開始している。だが譽と素戔嗚だけは子世界に取り残されたままだ。


「まさか私と素戔嗚を組ませて戦うつもり?」


「そうだ」


「…呆れるな。幾ら英雄の力を借りているからと言ってもお前如きに俺と譽は倒せない」


「勝手に組ませないで、今のあんたと組むつもりなんて微塵もない」


何だか険悪なムードだが譽は能力をふんだんに使用して突撃して来た。もう隠すつもりは無いようだ。光輝もそれは悟っていたので既に清水の構えを取っている。すぐに受け流そうとするが、やはり空気爆発は対処するべき個所が多すぎて一人では無理だ。

この戦いは無茶をして殺しに行くものではなく、タルベが自由に動ける時間を少しでも確保する戦い。なのでベアの転移で下がった。その動きを譽と素戔嗚は負傷しているが故の後退と見ていたるようだ。

まだこの引きの戦闘を維持しても何も思われ無さそうだ。


「まぁあと三回ぐらいくらったら死にそうだもんね」


見せつけ、鳴らす。だがその瞬間に転移を行い避け続ける。このままではらちが明かないので譽は少し広範囲に攻撃を仕掛ける。影の子世界には本当に物体が何も無い、強いて言うのなら影と空気のみ。攻撃手段は空気爆発か光輝の体内を弄るぐらい。だが相手は英雄と旧生徒会メンバーの能力を所持している。弄るのはもう少し後になってからの方が良いだろう。

(シン)と天仁 凱の戦いではその力を知る事は出来たが、限界はまだ見れていない。どれだけ光輝が傷付いていようが冷静に戦う、良い判断だ。


「逃げるのは別に良いけど、勝てないよ?」


「いや、勝てる」


「……ふーん」


そこでほんの少し違和感を覚えたが無視して攻撃を再開する。何度も何度も空気爆発を起こすが清水、ソウルの時止め、ベアの空間転移でかわされてしまう。恐らくこのままだと一発も入れられない。

だがそれは光輝も同じはず、なのに全く焦る様子や隙を見つけて攻撃を仕掛けようとする動作も無い。合間合間に何度か大きめの隙を晒していたのだが逃げるために使っている。

流石に露骨過ぎる、二人共気付いた。


「光輝お前、時間を稼ごうとしているな」


「そりゃそうだろ。こんだけボロボロの俺じゃもう何も出来ない、時間稼ぎを除いてな」


「だが何のために…香奈美はいないし水葉も恐らく香奈美の方に行く。漆一人で何とかなるとも思えない。かと言ってタルベとレアリーでは……まさかお前!」


素戔嗚が『阿吽』で佐須魔に伝えようとするがさせない。時止めで瞬時に首元を掴み、腹パンをしてから時を動かす。すると『阿吽』は不発、しかも吹っ飛ばされる。受け身なんて取れるはずもなく、大して力も警戒もしていなかった激痛なので何が起こったのか理解出来ない。

一方譽は目もくれず叩きに来た。何をしたいのかはすぐにこの状況だけで察せられた、なので止める。『阿吽』を使おうとすると全力で止めに来るだろう。だがそこは二対一を活かすのだ。


「早く連絡して!」


「分かっている!」


素戔嗚が連絡、譽は足止め。

だがそんなの通用しない、時止めと言う能力を持っている限り駄目なのだ。それに加えてララの能力も発動した。能力の使用を控えていたのもあって傷だらけだった体も全快、時間を取らせるだけならば充分過ぎる。

だが過信はせずあくまで足止めだけ。ここで欲をかいて返り討ちにでもあったら馬鹿と言う言葉では表せない最低の野郎に様変わりだからだ。


「もう分かってるだろうがお前らをここから出すつもりはない。俺を殺せ、出来るものならな」


素戔嗚の首を絞め上げ、能力を封じる。このまま絞め殺したいがそれは時間が動き出さなくては不可能、なので下がる。

だが譽は時が止まりそうな瞬間に結構な広範囲へ空気爆発を起こした。時が動き出すその瞬間に光輝に当たってくれればそれで結構、多分生きている間は満足な連絡もさせてもらえないだろう。

なので小心者(スサノオ)に連絡をさせてヘイトを集め、自分は安全に攻撃を繰り返し削ると言う戦法だ。光輝は絶対に連絡を阻止しなくてはいけないはずなので譽を無視してでも素戔嗚への攻撃をする。その無茶によって生じる隙を突くのだ。


「よし」


一回当たった。一瞬だが光輝が衝撃で吹っ飛ばされている姿が見えたからだ。すぐに消えてしまったが空間転移、多少の衝撃諸共移動しているはず。しかも背後の衝撃が強かった様なので腰に相当な負担が行っているはずで、そう簡単には動けないだろう。

すぐに霊力感知を行い場所を特定しようとする。だが反応は真下にある。

次の瞬間足を掴まれた。忘れていた、発動者は影を自由に行き来できるのだ。ただ弱点もある、この影は発動者が潜っている状態では水のような物質へと変化し、飲み込まれる。

恐らくそのまま飛び出して窒息でもさせようとしているのだろうが、そもそも引き込まれなければ良い話なのだ。


「無理だよ」


見せつけながら指を鳴らした。影を倍増すると何が起こるか分からないのでやりたくなかったが、水のように変化したのなら話は変わる。倍増させて逆に溺れれば良い。譽は体内の空気を増やして行けば生き残れるし、素戔嗚はどうとでもするだろうし死んだら死んだでどうでも良い。


「それは間違いじゃないな…」


だが光輝が上手だった、天仁 凱との戦闘で全てを使い果たさなかった。まだ残している。それは薫と佐須魔の妹、静架の能力。吸い取り能力によって一時的に借りた能力だ。

まずこの吸い取り能力には明確な弱点がある。それは吸い取ってすぐは扱いが全く分からないのだ。一方能力の譲渡、これはまずエンマが皆の体の一部を食し能力として吸収する。その後発動帯を光輝に喰わせる、そうすれば体には一瞬で順応し本能と呼ばれる発動帯に刻まれる。故、本能で理解出来るのだ。

ただこいつはそれを嫌がった。何故なら譲渡は完全に渡す事、返って来ないからだ。だが静架の吸い出しならば返す事も出来ると承諾してくれた。


「だけどまだ、隠してるんだよ」


そいつの名は[宮界(ぐうかい) 黄粉(きなこ)]、和三代目の幼女。能力は『子世界の展開』、そう影と同じ。

誰も試そうなんて思わなかったし、思ったとしても出来なかっただろう。同じ時代に子世界展開を持つ能力者が出会う事は無かったから。

でも黄泉の国なら話は別。それを一人の人間に託した。どうなるだろうか、化学反応でも起こるだろうか。

結果は思っていたより単純だった。

子世界内での子世界展開。上書きとはまた違う、隔離。

影の子世界の中に宇宙(キナコ)の子世界が広がった。それは一部、そして影の子世界とは行き来出来ない。


「素戔嗚は出れないぜ、連絡でも何でもすれば良い。ここでお前を殺す、それでイーブンだろ、譽」


一対一、窮地に立たされた光輝は本来の職務を放棄した。

戦闘病での行動ではない、ただこうするしかなかった。

だが良いだろう、譽は乗ってやる事にした。


「良いじゃん、新しい」


少し楽しそうに指を構えた。


「行かせねぇからな」


手始めに蓮の目躁術を使用し、自身の身体強化も全快、ララの呼吸促進、フラッグの反射、クレールの視線、胡桃の反射空間、美玖の霊での降霊を発動。

ソウル、ベア、エンマ、フェリア、佐嘉、馬柄の能力も出し惜しみをしない。

この子世界を出せる時間は精々三分、それに削られる事も考えると二分程度。全てを出し切ってでもここで譽を戦闘不能状態にまで持って行き、タルベの進行を強制させる。


「最期だ精々、楽しもうぜ」


両者戦闘病は無し、ただし笑っていた。



第四百六十話「子世界 in 子世界」

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