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【完結】御伽学園戦闘病  作者: はんぺソ。
最終章「終わり」
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第四百三十九話

御伽学園戦闘病

第四百三十九話「求める先」


これは光輝が黄泉の国に出向いてすぐに事、まずは紫苑と話して勇気づけられた後の事だ。まずは宮殿に向かうように言われてその足で向かう。久しぶりのアルデンテ王国はあまり変わっていなかった。ただ何となく強者が増えた気がする。

ひとまず門番やらに事情を説明して入れてもらった。やはり装飾は凄まじい。もしかしたら先に黄泉(こちら)に来ている仲間と会えるかもしれないなどと少し乗り気で廊下を進む。

結局誰とも会わずに玉座の間までやって来た。

ノックをする。


「入りますよ」


「良いよ~」


大きな扉を開けるとそこにはやはりエンマが座っていた。そして傍にはフェリア、初代ロッド、それだけではなくララ、ソウルもいる。


「どうだった、紫苑は。僕もあんまり行けないんだよね~」


「普通に元気そうでしたよ」


「それなら良かった。さて、君を呼んだのは他でも無く特訓のためだ。まぁ…分かるよね」


ララとソウルに軽く視線を向けながら言った。大体理解出来る。


「その二人が稽古をつけてくれる…って事で良いんですか」


「そんな感じ~。まぁ知ってるだろうけど一応自己紹介しといてね、二人共」


「ソウル・シャンプラー。お前が敵視しているTISの所属メンバーであるコールディング・シャンプラーの先祖だ。勘違いしないでくれよ、俺はお前たち学園側の能力者だ」


「私はララ・シャンプラー。同じくコールディング・シャンプラーの先祖。そして学園側の能力者と言う事も同じ。よろしく、えっと…」


「穂鍋 光輝です。能力は身体強化だけです、よろしくお願いします」


「さて、これから光輝は二人の家に居候してもらって付きっ切りで訓練してもらうから、よろしく~」


「分かりました。ただ聞かせてください、俺はこれから何を目標にするんですか?」


「それは俺が説明する」


ソウルが間に入った。


「お前の目的、それは空傘 神の殺害だろう。そうだとしたらお前は相当力をつける必要がある。あいつは未知数かつ砕胡が助けに入って来るだろうからな。

そんな奴を圧するには手数が必須、最低限の体術(ぎじゅつ)と単純な力を付けてもらう。お前には俺、ララ、ベア、佐嘉、拓士 影、目雲 蓮、浜北 美玖、真田 胡桃、フラッグ・フェリエンツ、クレール・フェリエンツ、フェリア、フロッタ(エンマ)の少し、馬柄、そしてお前らが良く知る華方の血を持つ者、薫と佐須魔の妹である華方(ハナカタ) 静架(セイカ)、計十四人分の能力を取り込んでもらう」


「…へ?」


理解が追いついていない様だ、だがそれも当然、多すぎるし中には英雄がいる。


「いや…いや無理ですよ!俺なんかに…」


「光輝!!」


すると扉が開かれる。驚きながら振り向くとそこにはルーズが立っていた。


「ルーズ!」


「ようやく来たのかよ、ずっと待ってたんだぜ?ほら、これやるよ」


そう言ってルーズはある物を投げて渡した。キャッチしてみるとそれは謎の霊力が凝縮されたような球体だった。これが何か訊ねてみるとルーズは「食ってくれ」としか言わない。

別に他の皆も止めようとはしないので飲み込んだ。少し大きかったので詰まるかと思われたがそんな事無く、喉元を通過するタイミングで球体の感覚が無くなった。

どうやら吸収されたようだ。


「それ能力取り込む奴らの霊力残滓を固めたやつだ。別に害は無いから安心しとけよ。とりあえず体に馴染ませるのが大事だからな。よし、これで良いんですよね、ソウルさん」


「あぁ、下準備は終わりだ。早速行くぞ光輝。行くぞ、ララ」


「はいはい」


二人は光輝を連れて宮殿を出て行った。向かう先は勿論自宅、別に立派な訳でも無いがそれなりに良いお家だ。


「とりあえずは好きに使ってくれて良い。ただ武器とか異様な霊力放ってるのは触れるなよ、俺達の武器だ」


「分かりました」


「……とりあえず来いよ」


ソウルが連れ出す。


「不安か?」


花園へ向かう。


「そりゃ勿論…」


「まぁそうだろうな。でもお前は天仁 凱も殺さなくちゃいけないんだぞ」


「…はい、分かってます」


「それならそんな弱気でどうすんだよ、あいつは強いぞ。実際に対面した事は無いけどな」


「そういう事言われると更に緊張しちゃうんですけど…」


「あっ…悪い。まぁ気にすんなって事だよ。ちゃんと取り込んで扱えるようになればお前は渡り合える、それどころか勝てるぐらいの人材だ」


「でも俺身体強化しか使えなくて…正直呪使いを相手に出来るかどうか分からないところがありまして…」


「馬鹿か?身体強化ってのは一番強い能力だろ」


「いや降霊術とかの方が…」


「違う、今回に限っては土俵と前提が違うだろ。お前は沢山の能力を吸収する。それには相当の気合と力が必要、でも力は身体強化のおかげで大分割く時間を減らせる。気合はまぁ…お前次第だから何とも言えないけどな。

だがほんの少しでも貰った能力の熟練度を上げる事が出来るのならそれに超したことは無い。お前は強くなれる素質があるって事だ、ポジティブに受け止めとけ。別に貶してる訳でも無いんだからよ」


「そうですね。ありがとうございます」


「何で感謝するんだよ、俺まだ何もしてないぞ。俺は意味の無い感謝をしない主義だ、お前もそうしろ。黄泉(こっち)にいる間だけでも良いからな」


「……まぁ、分かりました」


何故そこを矯正して来るのか良く分からなかったがそれなりに意味があるのだろう。無かったとしてもソウルの機嫌が悪くなるよりはマシだ。


「ちょっと待っててくれ」


花園に到着すると同時にソウルはそう言って花の手入れを始めた。別に訓練ではなく、ただただ話をしたかっただけらしい。待ち始めて数分、少し遠方から知っている顔が近付いて来ているのが見える。


「おはよー」


「ペルシャか、どうした」


「いや、ようやく来たらしいからさー」


「あっ…穂鍋 光輝です。よろしくお願いします」


「ペルシャ・カルム。まぁ知っての通り裏切り者さ、でも今は君達の仲間だから。よろしくねー。いやー出来るなら僕も能力あげたかったけど罰として能力奪われちゃったからあげられないんだよねー、まぁでも頑張って」


「はい。精一杯出来る事を…」


「違うだろ光輝。やれる事とかどうでも良い、お前は空傘 神を殺す、それだけで良い。それだけを目指せ、出来なかったら屑、それ以上だったら天才だ」


「…はい」


「ちょっと言葉強いよソウルー、百年は生きてるんだからさーそろそろ人見知り克服したらー?」


「ご生憎様、生前はこうじゃなかったんだがな」


それは仲間だと信じていたはずのペルシャが裏切り者だった事によって用心深くなってしまった事を遠回しに伝えているのだろう。だが嫌味ではあるものの本心ではない、既にペルシャは赦されている。あくまで馬鹿にして来た事に対するカウンターとして強い言葉を返しただけなのだ。当人もそれを理解しているので適当に流した。


「それじゃあ僕は宮殿行くから、頑張ってね~」


呑気な言葉を残して去って行った。


「よし、こんなもんでいいだろ。帰るぞ」


帰り道、光輝はふとこんな事を聞いてしまった。


「佐嘉さんの能力を貰うって事は……霊力とも同化、出来るんですよね…」


ソウルの動きがピタリと止まる。すると見ずとも分かる神妙な面持ちで訊く。


「そこまで踏み込みたいか?」


光輝はゆっくりと頷いた。


「…そうかぁ…んじゃ最後の忠告だ、ミスって死んでも文句言うな…というか怨むなよ」


「はい」


「霊力と同化するには喰う必要がある」


「喰うって…まさか!」


「そうだ、佐嘉 正義、あいつの魂を」



第四百三十九話「求める先」

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