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【完結】御伽学園戦闘病  作者: はんぺソ。
第八章「大会」
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第二百六十話

御伽学園戦闘病

第二百六十話「始まり」


「お前は下がってろ、甲作」


「悪いがそうさせてもらう…」


タイマンだ。だが能力無しの戦いなんて勝者はしれている。そもそも佐嘉は霊力との同化が解かれ始めているのだ、能力を使用できないせいで。

となるとただの成人男性、何か出来る様な人物ではない。だがここで逃げる事だけはしてはいけない、前々から計画を立てていたフロッタを殺し、全世界にいる大量の能力者と共に仲間は潰した、甲作もろくに攻撃は出来ないのでそこまで脅威には成り得ない。


「俺も生憎お前を殺さなくてはいけないんだ。そうすれば、願いは叶う。来いよ、アイト・テレスタシア」


両者勝ちは寸前。最後の小競り合い、そこでどちらが勝つか決まるのだ。


「そっちから来ればいいだろう、お前に策があろうとも結局は術や能力に頼っていた。僕が被せて出現させたこの疑似結界的なやつの中では何もできないだろ、見せろよ尊厳を自分で踏みにじって、足掻けよ」


佐嘉が動き出す。だがあまりにも鈍い、適当にあしらう事が出来る速さだ。甲作やアーリアなんかに比べたら屁でも無い。まだ攻撃はしない、最大限屈辱を味合わせてから殺す。

だが何か異常があり次第即殺す気ではいる。ただ怒りは治まらないので踏みにじりたい。


「そんなものかい、結局は」


殴り掛かる佐嘉の攻撃を全てかわす。話にならない、神と蟻を比べているの様なものだ。到底敵いっこない事ぐらい分かっている、だが少しでも時間を稼ぐのだ。アイトの術はコピーで作ったまがいもの、練度もないためいつ崩壊してもおかしくない。

この疑似的な結界は非常に難しく、霊力操作が必須だ。佐嘉の場合霊力と同化しているので簡単だったがアイトの場合そうは行かないだろう。必ずボロが出る、そこを叩くため今は堪えるのだ。


「それじゃ、終わりにしよう」


刀を振り上げる。だが佐嘉は右手首を掴み、無理矢理攻撃を止めた。だが完全に止めれてはいないようで顔に小さなかすり傷が出来た。だが頬なので全くもって問題は無い。

それよりも刀か剣、どちらかを手に納めたい。そのどちらかさえ持っていれば戦える、できれば剣が望みだ。多少は訓練をしているので基礎は分かっているつもりだ。


「取らせる訳が無いだろ、お前みたいな屑に」


腕を掴んでいるので当然胴体部分への意識が薄れている、その間に腹部を思い切り蹴った。だが意地でも話そうとしない。前に見た時はこんな弱い男ではなかった。アイトはその時始めて敵に対して"期待して損した"、そう思った。

そしてさっさと終わらせて皆の状態を確認しようと思う左手を菫から話す。その後同じ様に背負っているbrilliantの柄を握った。その瞬間佐嘉は思い切り頭突きをしてくる。


「やらせねぇ!!」


「いい加減にしてくれ。もう終わらせたいんだ」


「やだね」


絶体絶命ともいえる状況にも関わらずにやりと笑った。完全に舐められているし、何か作戦があるのだと察した。それと同時に嫌な予感がする。

すぐにでも終わらせたい。そう思った。


「brilliant」


頭突きはされたが左手は拘束されていない。そのまま柄を引き抜き、剣を抜いた。そしてその剣の力が発揮される、不意打ち、未だ不完全ではあるが威力は担保されている。

一瞬にして満ちて来る光、パチパチと音を立てながら甲作諸共二人を包み込んだ。そして一瞬にしてとてつもない激痛が襲う、だがそれは剣を抜いたアイトですらくらう諸刃の剣そのもの、非常に使い勝手は悪い武器である。

だが威力は凄まじいもので、霊力を操作するのが下手なアイトですら物凄いダメージを叩き出す事ができてしまう。


「これで…どうだい…」


光が抜けていき、露わになった三人は酷い状態だった。血を流し、息を切らし、ヘロヘロになっている。自爆をも厭わないという姿勢は良いが実際こうなっては仕方無い。

だがそれでも全員立ち上がって、戦闘をする気力ぐらいは残っている。アイトが斬りかかるが先程に比べると酷く遅い太刀筋、避けられないわけが無い。

もうbrilliantを使う余裕は無いだろう。菫は恐らく能力を使用しなくてはいけない、そのせいでただの刀と化しているはずだ。


「そんな状態で勝てるとは思われたくないな……」


「僕がどれだけ…頑張って来たと思う…この六年間…みんなと連絡を取り合って、指示を出して、色々なものを破壊して、治して、感謝されて来た……なのにお前は、殺した……みんなを殺した、他の関係ない能力者も……数えきれない数殺した……お前は何がしたいんだよ、佐嘉…」


既に全員死にかけ、それ故に対話を試みた。すると佐嘉は時間が稼げるので仕方無く回答する。


「能力者か無能力者を全員殺す…一時的な平和だろう、仮初の自由だ…それでも俺は自由を取りたいんだよ、こんな縛り付けられた生活、懲り懲りなんだよ」


「なら、何故上官を全て殺した」


佐嘉は一年前、上官を全員殺害し災厄に喰わせた。その情報を知った時から少し違和感があった、まるで無能力者側についているようにも思えたのに結局は能力者側にも見えたのだ。だが結局それ以上の情報は出ず、この日までやって来た。

そこで訊ねた。もしかしたら仲間になって、本当に終わらせてくれるのではないかと言う小さな期待も込めて。だが返って来た言葉は予想の範疇に収まってしまうつまらない言葉だった。


「あいつらは駄目だった。こんな戦火の中私腹を肥やす事に尽力していた。だから殺した、今後邪魔になるだろうと判断してな」


「やはりそうか。少しだけ、期待していたのにな…残念だ」


「敵に期待するお前が悪い。そもそも勝手に、期待すんな……何より俺は無能力者が嫌いだ。俺だって元能力者、お前らが抵抗する気持ちは痛い程分かっている。だからやるんだ、俺だけを信じて。良い事を教えてやろう、この世で信じられるのは金や関係でもなく、正義なんかでもない。力だ」


「そんなことは無い。大昔から力は酷使されている、既に腐敗してきている。現に僕は大半の地域を力を使わずに制圧してきた」


「それは違うぞ、アイト。お前は気付いていないだけで力を酷使していた。人の根本にあるのは恐怖だ、そしてお前は無意識にそこにつけ込んでいた」


「黙ってろよ、甲作。お前は何もしなくていい、引っ込んでろよ」


振り返らずに突き放す。


「そうもいかねぇんだよ……覚えておけ、アイト。お前は強い、だから恐れる者の気持ちは解らないはずだ。それでも理解しようとはしていた事を俺は知っている。

遺言だ。躊躇うな」


だがすぐに振り返った。そしてその光景を目にすると同時に絶望に打ちひしがれる、唯一生き残っていた仲間である甲作の背後には一匹の狐が立っていた。見覚えのある顔立ち、あまりにも増えすぎている霊力。


「これでお前は独りだ、アイト」


大きな爪に滴っている血、そして怒りを増幅させるような気色の悪い笑み。brilliantを納め、菫の鞘を両手で強く握りしめる。燃え上がる紫の炎と共に斬りかかった。

だが災厄はそれぐらいかわせる。ボロボロのアイトなんて敵では無いのだ。ただそれだけではない、軽くだが爪を立て引っ掻いてやった。避ける術はない。


「雑魚は黙って死ぬのがお似合いだ」


そうは言われたが止まらない。大量出血なんて関係ない、ただ怒りに身をまかせ斬りかかる。だがやはり避けられる、今度は反撃は無かったが体全体が痛む。

ジンジンと、空気に布に触れるだけで悶絶してしまうような痛みだ。こんな状態ではろくに戦えない、体力を増やすべきだがそうすると霊力を作れない。

だが致し方ない。霊力の生成をやめた。


「馬鹿が、俺の勝ちだ、アイト」


その瞬間背後から聞こえる佐嘉の一声。そして崩れ落ちた霊力の結界、当然能力は使えない。だが残っているのは佐嘉の結界、解けばいい話だ。

崩壊する、二枚目の結界。


人術・螺舌鳥悶(じんじゅつ・らぜつちょうもん)


霊では無く、ただの霊力の塊としての山羊の生成。


「お前はもう俺を殺すことは出来ない。残念だったな」


そして霊力と同化する。だがそこでアイトは口に出す。


「brilliant」


二人は驚愕する。どう考えても今使用したら自分も死ぬ、だがそれ以上に二人に対しての効力は凄まじい。霊力をぶつけ合い、エネルギーを発生させるので体のほぼ全てが霊力の災厄、霊力そのものである佐嘉も、どう考えても即死レベルだ。


「やめろ!!お前も死ぬぞ!!!」


佐嘉が必死に止めようとしたが迷わない。


「遺言は受け取った、躊躇わない」


柄を握り、引き抜く。そして発動する、剣の能力。パチパチと鳴り始めた。皆の死体があろうと構わない、ここで終わらせるのだ。そして最初の光が現れると一瞬にして満ちていく。

もう何も感じない。痛みすら感じ取れないのだ。聴覚や視覚も奪われていく。佐嘉と災厄の唸り声にもとれる悲鳴が聞こえて来る。だがもう遅い、光が引くと共にその場には静寂が訪れた。

佐嘉は霊力との同化が解除され、死亡。災厄はボロボロになり瀕死になりながらも何とかして逃げようとしている。だが目の前まで歩いて来た者を見て絶望に打ちひしがれる。


「お前のせいで私は佐嘉と離れる事となった。私は、お前を殺したい。だが私にその役目は無い。だから頼むぞ、レイチェル」


「うん。そう言えば、名付けたよ」


『リバーサルキラー』


その瞬間、災厄はほんの少しの体力だけを残して仮死状態へと突入した。


「それじゃ、私は逝くね。見れたから…満足できた」


「そうか。それなら良かった、私も楽しかったぞ。また何処かで会おう、それではな。レイチェル」


「バイバイ」


レイチェルは最初から死ぬ気だった。ただここ三年で思い出した殺人犯、佐嘉の死を見届けて満足したのだ。もう現世に執着する必要はない。最後は絡新婦が介錯をする、そう約束していた。爪を立て、切り裂いた。とても安らかに、無へと帰していった。


「何故死というものはこうも呆気ないものなのだろうな……なに?」


違和感に気付く。すぐさま駆け寄り、人の姿になってから状態を確認した。すると驚愕する、まだ魂が昇っていない者が複数いる。急いで治療をしようとするがそんな能力が無い、焦っていると近くの小屋から一人の少女が現れた。

生気の無い眼でフラフラと、屍のように悲痛な動きで。絡新婦は全てを察した、レジェストから聞いていたので分かっている。あまりにも残酷だ、父親と思われる何かがガラス窓に引っ付いているのも見える。それに加えその少女の服にも血が付着している。


「これは、お主がやったのか」


能力者であっても本来デカい蜘蛛を見たら多少は反応を見せるものだ。だが少女は既に壊れかけていた。


「…」


黙って頷く。


「見た所…降霊術士か。そうか、大丈夫だ。安心しろ、私は敵ではない。だから落ち着け、その火を消せ」


恐怖での覚醒、真っ赤な赤眼。


「名は何と言う」


「フェリア・アルデンテです……」


「そうか。私は助けの手を差し伸べる事が出来ん、可哀そうだが自身で何とかしろ。私は今から繋ぎとめる、五人の命を」



それから一週間が経った。最前線の兵力は凄まじく衰退、それでもまだ奮闘している最中だった。だがトップであるアイトの失踪を受け、能力者間では不信感が募り始めていた。

そんな日の真夜中。洞窟の中に悲鳴が響く。絡新婦は急いで部屋に飛び入り、様子を確認する。するとそこには冷や汗をかき、顔面蒼白、今にも死んでしまうそうなアイトの姿があった。


「何が…あったんだ…」


「佐嘉は死んだ。災厄はギリギリ生きていたそうで逃走。フロッタ、ララ、ソウル、ベア、ペルシャは既に黄泉の国に行った」


「黄泉の国…?それになんで…こいつが……」


アイトの横には佐嘉、レジェスト、厳、アーリアの死体があった。


「フロッタの娘、フェリアが恐怖で覚醒、何らかの能力で繋ぎとめた。そこにすかさず小夜子を呼び出し、回復させた。だが…お主以外は既に死んでいる、魂だけが体の中に留まっている異常な容体じゃ」


「甲作は…」


「魂ごと災厄にいかれた。すまない、助けてやれなかった」


「いや……もう、良いんだ。みんな頑張ってくれたから……でももう俺も、限界だ…」


頭を抱え、塞ぎこもうとする。すると絡新婦が口を出す。


「この世にはマモリビトという者が存在している。神の模倣品、だがその力は人から人へと受け継がれる。黄泉の国にもいる、それぞれの世界の均衡を保つ為じゃ。

だが現世、今私達がいる世界のマモリビトには寿命が存在する。百年だ、受け継いでから百年じゃ」


「そのマモリビトってのは…誰なんだよ……」


「[ラック・レジェスト]、お主の仲間じゃ」


「…マジか…」


もう笑っている。だが絡新婦は気にも留めず話を進める。


「確証はない。だが魂を喰う事で継承できる、私はそう考えた。無理にとは言わない、実際黄泉の国の場合ではあるが魂を取り込んでから三年は猶予期間で実質的に寿命は百三年となる。二千十七年、どうだアイト」


「……人には人の使命がある。俺の場合、それは戦線復帰をする事だ……だが怖い……あいつら無しでやっていける気がしない……桜花は、死んだんだろ……霊力感知が、全く働かない……」


「…あぁ。他の者と同じタイミング、一億にも及ぶ能力者と共に、死んだ。小夜子は生き残った能力者の利用して日本からこちらに来てくれた、だから見たらしい。惨状を。たまたま同じ部屋でお茶を飲んでいたらしい、死ぬ間際全てを察したこう言ったらしいぞ「アイトによろしく」とな」


「地下街の奴もどうせ全員死んだ。あの鍛冶屋のおっさんも死んだ。大量の能力者で生き残った奴は運が良かった……俺も、運が良かった……それだけなのに…図々しくて表に何て…出られない……」


絡新婦は何も言わなかった。ただ佐嘉以外の体を運び、アイトの前に並べた。


「今から魂を出す。喰え、これから様々な事があるだろう。だが安心しておけ、私は死なない。頼ると良い」


「ありがとう…」


「それでは、出すぞ」


爪を立て、ラックの胸を突き刺した。血はない、肉も無い、ただ空っぽだった。まるで剥製のようになっている。だがその中には霊力で模られた魂があった。そして上を目指し、昇って行く。


「ごめん…ラック…」


涙声で謝罪をしながら、魂を掴み口に放り込む。そして詰まりそうになりながらも無理矢理飲み込んだ。


「どうだった」


「…託された…好きにしろ、だってよ…」


「話せたのなら、それでいい。アーリアと厳も出すぞ」


「頼む」


突き刺した穴から二人の魂が飛び出した。


「ごめん、アーリア、厳」


同じ様に謝罪をし、取り込んだ。霊力が増す感覚がする。既に選択したのだろう、マモリビトになると。


「あとは、こやつも取り込んでやってはくれないか」


そう言いながら佐嘉の死体も差し出した。意味が分からない、佐嘉には能力が無いはずだ。なのに何故わざわざ取り込ませる必要があるのだろうか、宿敵を。


「能力と言うのはその者の魂に付いて行くものじゃ。こやつの能力は『血流透視』じゃった。霊力の消費は激しいが建物などを完全に透過し、付近の血の流れだけを表示出来る便利なものじゃ」


「…分かった。それがお前の意向なら、従うよ」


「それでは、最後じゃ」


飛び出した魂を震える手で掴み、取り込もうとする。だが喉を過ぎた辺りで吐き気に襲われる、拒絶、精神からの拒絶。吐き出してしまった、完全に取り込む前段階で。


「すまない。無茶だった…」


「なんだこれ」


アイトは困惑している。すぐに視界がおかしくなっているのだと分かった絡新婦は目を手で覆い隠し、レジェストの死体から眼鏡を拝借、そしてかけてやった。するとどうやら良くなったようだ。


「中途半端に取り込んでしまったようじゃな。肉眼でなければ大丈夫じゃ。すまない、無茶をさせ過ぎた」


過呼吸になってしまっているアイトの背中を擦りながら謝る。十分程して落ち着いてきたアイトはゆっくりと立ち上がり、自身の刀と剣を手に取る。


「これはもう、俺が持っていていいものじゃない。預けていいか、絡新婦」


「あぁ。欲しくなったら連絡しろ、すぐに届けてやる」


「ありがとう……名前も、変えようと思うんだ。あと見た目も。マモリビトの能力で俺自身は結構簡単に変えられるらしい、だからさ、今変わるよ。俺は」


「あぁ」


一瞬躊躇ったようにも見えたが既に踏み出してしまった。止まることは出来ない、走り続けるしかなくなった。

ゆっくりと指を鳴らす。すると姿が変わる、身長は全く変わっていないが髪色が変化した。水色、襟袖には少しだけ白いメッシュの様な部分もある。骨格などは変わっていないがまるで別人のように見える。

瞳も眉毛も、全て水色に変えた。レジェストよりは少し薄めの色だ。


「似合っているではないか」


「ありがとう」


「名前はどうするのじゃ」


そう訊ねると青年は歩き出した。外に出ようとしていると悟った絡新婦は付いて行く。満月の夜、悲惨な絶叫は全世界で止まない。だがそんな中とても綺麗な月を眺めながら歩み出す。

もう追いかけはしなかった。出口で見送る。


「まぁ欧米圏の名前の感じにする……物心ついてアメリカで一番最初に対面した男は[ラック・レジェスト]だった。数年前日本に行って、最初に始めて対面したのは[ベア・キャロット・ツルユ]だった。

…俺は名前を決められない。だから二人から取る事にした」


あししげく音を立てる森の中へと進んでいく青年。何も持たず、一日で全てを失い、人智を越えた怪物。心も半壊している。もう元気に振舞う必要は無い、孤独に一人で死のう。その時はそう決めた。


「[ラック・ツルユ]。また会おうぜ、そん時は黄泉の国だ。俺が災厄(かたき)殺し(とっ)てからな」


「あぁ。また会おう、ラック」


無謀にも兵士達を捨て、保身を取った。だがそれが後世へと繋がるとは誰が思っただろうか。

暗闇の森の中へ消えて行った男の名は[ラック・ツルユ]。

一人の裏切りによって愛する者、仲間、武器、全てを失った男。


0:45に生誕した、現世のマモリビトである。



第二百六十話「始まり」

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