第二十二話
御伽学園戦闘病
第二十二話「地下」
午前九時 ラック家地下階段
「にしても良く繋げたねこんな階段」
そう蒿里が褒めるとラックは全てポメにやらせたと言った。蒿里はポメの能力を知らないのでそれがどれ程の苦労なのか断定出来ない。
流がペットを飼っているのかと聞くとラックはしっかりと答える。
「ポメラニアンの[ポメ]だ。能力は『物体を操る』だ。結構な日数かけてこの階段を作った」
ニアがどれぐらいの日時をかけて作成したのか聞くと約三ヶ月だと回答した。にしても凄いスピードで作成している、全員ポメに会いたいと呟く。
そんな中素戔嗚がある異変に気付く。
「さっきより明るくなってないか?」
確かに結構な段数を降りてからはほぼ何も見えず皆ヒヤヒヤしながら降りていたが足元が見える程度には明るくなっている。ラックは敵陣地に入ったと伝え警戒するよう命じる、全員黙り一人一人ゆっくりと確実に階段を降りていく。数十段降りてラックが報告する。
「あと数段で終わりだ、待ち構えていてもおかしくはないからな気を付けろよ」
全員がコクリと頷き、いつでも戦闘を開始できるよう準備しておく。ラックが最終段を降りた、そのまま全員が最終段を降り終わった。周りを見渡す。そこは電子的な明かりで青白く光る部屋、その光に照らされ光を綺麗に跳ね返すほど光沢がある鉄の地面、そして壁にはびっしりと何かの機械が設置されている。
the研究施設といった感じだ。流は地下にこんな施設がある事に驚くと同時に嫌な雰囲気を感じ取った。それは流だけではなくその場にいた全員が感じ取りアイコンタクトを送る。全員が何かに納得したのかラックを先頭に、素戔嗚を最後尾にして音を立てずに歩き出した。
部屋を抜けると廊下に出る、廊下は真っ白で目に優しくない。廊下に出ても誰一人いないし音すらも一切聞こえない。全員が不思議に思いつつラックが進む方向に進む、数分が経った頃だろうか右手にある一室から誰かが話しかけてくる。
「おい」
その声が耳に入った瞬間戦闘体勢を取りそちらを向いた。その部屋からは赤ロングの青年[エンストロー・クアーリー]が出てきた。だがクアーリーは攻撃をするどころか隙だらけだ。
ラックが攻撃しようとするとクアーリーが制止する、ラックは何故攻撃をやめさせたか聞くとクアーリーは
「ここで戦闘を始めてもお前らは不利だしこちらとしても施設を壊されるから嫌なんだ、だから戦闘をする部屋があるからそこで戦わないか」
と言った。だが半信半疑のラックは誰かが待ち構えていないか等何回か質問し佐須魔に誓えるかと聞きクアーリーは「誓える」と答えたのでその部屋へ向かう事にした。だが蒿里がなんで敵に従うのか強い口調で聞いてくる、ラックは狭すぎてろくに戦えないのでもっと広い場所で戦った方が有利だと言った。蒿里は渋々納得する。
流とニアはクアーリーの圧に圧倒され何も喋ることが出来なかった。
「じゃあ着いてこい」
ラックが先頭からクアーリーを先頭に廊下を歩き始めた。歩き始めて数分が経ちクアーリーが足を止めた。クアーリーは扉を開け部屋の中央より少し奥へ進んだ。
「とりあえず入るか」
二十畳の畳部屋で壁は鉄だ。全員警戒しながらも入室した、クアーリーはエスケープチームの準備が出来たら開始だと言って待機し始めた。
エスケープチームは全員軽い準備運動をしてから体勢を整え、深呼吸をして心を落ち着かせる。全員クアーリーの方向き、ラックが叫ぶ。
「こっちから行くぞ!」
「来い!」
クアーリーが返答した瞬間、ラックがクアーリーに突っ込む。懐まで入り込んだラックはクアーリーの顎を蹴り上げた、クアーリーは少し宙に浮く。少し浮いたクアーリーは足を高く振り上げラックの頭目掛けて振り下ろした。振り下ろした足はラックの頭に当たることは無く、間に入ってラックを庇った素戔嗚の刀に当たった。
「ナイスカバー!」
「攻撃してくるぞ!」
素戔嗚が言った通りクアーリーが玩具の拳銃を取り出してラックに銃口を向け引き金を引いた。銃からは青白い光で構成されている弾丸が高速でラックの右腕を貫いた、ラックの腕にはしっかりと小さい穴が空いている。その穴からは血がトクトクと流れる。
「やはり霊力を弾丸に変換しているのか?」
「そうだと考えるのが妥当だがまだ何かある前提で動いた方がいい」
「ラックは止血をしろ、我が時間稼ぎをする」
素戔嗚が前に出てラックが後ろに下がった。それと同時に流も前に出る、素戔嗚は流を心配するが訓練の成果を見せる時だと張り切る。ならばと素戔嗚は刀を地面に刺して、唱える。
『降霊・刀・スサノオ』
刀に魂が宿り、霊力は二倍程になり空中に浮く。クアーリーはまず素戔嗚に銃口を向け、三発連続で引き金を引いた。だが刀が弾丸を全て真っ二つに切った。
今度は流がクアーリーに向かって攻撃を仕掛ける、クアーリーはリボルバー式なので四発撃ってしまい残っている二発を流に向かって撃ったが流は全て体で受けた。だが流は止まらずクアーリーの腹部を肘で攻撃した。クアーリーは腹部を抑え痛がっている。流は大きな隙が出来たクアーリーに足払いをした、それを避けることが出来なかったクアーリーは後方に転倒しそうになるが受け身を取り体勢を立て直した。だが攻撃してくるのは流だけではない、顔を上げた瞬間止血を終え再び戦線に上がったラックの本気の蹴りがクアーリーの顔面に当たった。クアーリーは吹っ飛び、数秒固まった。
ただそんな簡単には終わらない。ゆっくり体を起こし、叫んだ
「本気で行くぞ!」
そう言い壁を触れながら素戔嗚の方を睨んだ。すると地面が棘の様になり素戔嗚に襲いかかる。素戔嗚は目を見開き飛び出てくる棘を受け流す。だが全方向からの攻撃を永遠に受け流すのは無理だ、他のメンバーも攻撃に隙が無さすぎて割って入る事ができない。皆が素戔嗚を見て棒立ち状態だ。
攻撃が始まってから一分程が経った頃、クアーリーが笑みを浮かべた。
「私の勝ちだ、杉田 素戔嗚」
素戔嗚は驚いたような、怖がっているような顔をした、だが変化はそれだけでは無く口から血が流れている。いやもっと重大な事がある。
素戔嗚の腹に風穴が空いていた
松葉 菊
能力/念能力
生物と会話できる
強さ/使い方にもよるが生徒会最強格
第二十二話「地下」
2023 6/22 改変
2023 6/22 台詞名前消去




