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【完結】御伽学園戦闘病  作者: はんぺソ。
第七章「TIS本拠地急襲作戦」
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第百五十八話

御伽学園戦闘病

第百五十八話「基盤作成」


「さて、俺はこいつとやらなくてはいけないのか」


「そうだよ。さっさとやろうぜ、ニヤけが止まらないんだ」


ただの廊下、そこには緑髪の少年[目雲 蓮]と赤髪のTIS重要幹部[エンストロー・クアーリー]が対面している。蓮の目には既に少し火花が散っている。クアーリーは戦闘病を発症している奴には勝った事が無いので正直恐れている。

クアーリーは重要幹部になって日が浅いのもあって常人に近い、能力もまだ完璧には扱えない。戦闘能力自体は高いのだが頭が回らないし無鉄砲な戦い方を好む傾向にある、佐須魔はその戦闘法を伸ばそうと訓練をさせているのだが単純に時間が足りず中途半端な状態で迎撃する事となってしまったのだ。


「んじゃ行くぜ」


「あぁ、いつでも来い」


そうして戦闘が始まった。蓮が地面を蹴って距離を詰めようとする。だがクアーリーは懐からおもちゃの銃を取り出した。そして能力の『変化』でおもちゃの銃を本物の銃に変化させた。そして霊力の籠った弾丸も撃てるようにしておく。

蓮はそう言った能力だと言うのは聞いていたので撃たれても対処できるような体勢で思い切り殴り掛かった。普通の重要幹部ならここで回避をするのだがクアーリーはそんな事はしない、腹を殴られても気合で耐えて銃を頭部に突き立てる。


「死ね」


引き金を引いた。だが蓮は頭に当たらなければ良いと考えていたのでクアーリーに頭突きした。そうなると当然別の場所に着弾する、背中を貫いた。だが顔色一つ変えずに次の攻撃をしようとする。

何度か戦闘病患者とは手合わせをしていたので知っていたがやはり異常である。ただ今逃げ出したりする事だけは許されない。今回の目的はサポート役の殺害である。佐須魔の阿吽によってラッセルが影と相打ちに、砕胡が真澄を完全死した事は連絡済みだ。

先輩たちがやってくれているので自分もやらなくてはいけない、と言う競争心や他の者に置いて行かれると言う焦燥感によるものなのだ。


「ちょっと痛いじゃん。今までの表現で言うと小突かれたぐらいだな」


「…」


「んじゃ次、行くぜ」


再び距離を詰めて今度は蹴りを繰り出した。先程と同じように回避しないのかと思われたが蓮の攻撃力が思いの外高かったからかしっかりと回避をした。

身体能力もそこそこ高いようで他の者に比べると少し遅いがしっかりと回避は出来ている。


「今度は俺の番だ」


そう言いながら集中して狙い、三発放った。だが蓮は全てを体で受けた。右足に二発、左手に一発だ。最早避ける気が無い、その時クアーリーは致命傷か切り離したりしないと動きが鈍くなったりはしないのだろうと察した。

だが蓮は小柄かつ病のせいで身体能力が高い、銃弾も全て目で追って大丈夫な部位に当たる事が分かっていたから避けなかったのだ。その時点で普通にやっては当てられる訳が無いのが分かる、だからと言って何か策があるわけでもない。

タイマンなので得意分野ではある、壁や天井は鉄製なので様々な戦い方自体は出来るものの勝てる戦い方は見いだせない。早速経験不足が悪い意味で活きて来る。そして何より今までやって来た模擬戦との大きな違いは一つ、相手は死ぬ気だ。と言うよりも死ぬと言う事に恐れが無いのだろう。

その時点で策が滅茶苦茶絞られる。ただ出来ないわけでは無い、殺し方を決めてそこを目標に動く事にした。


「分かった。やってやろう、来い目雲 蓮」


「言われなくても行くさ!!」


今度は地面から完全に足を離し、左右の足を使って同時に蹴ろうとする。するとクアーリーは回避するように思われたが実際は全く違う動きを取った。突っ込んだのだ。そして蹴られながらも顎に銃口を突き立て間髪無く二発発射した。

流石に唐突な事で避けることが出来なかった。二発の弾丸はどこまで貫くのだろうか、そう思った時蓮の口内が爆発した。当然至近距離に居るクアーリー被害を受ける。


「あっふな…へも口の中いたいな…」


そう言いながら二つの弾丸を吐き出した。意味が分からず困惑する。だが蓮は距離を取って安全になってからご丁寧に説明する。


「同時に発射されたから顎貫いて口に来た所で舌ベロを使ってどっちもせき止めた。凄いね、めっちゃ痛いし喋りにくいけど防げたよ、戦闘病はやっぱ良いね!!」


もう理論など通用しない。ただ力でねじ伏せるしか勝ち目はないのだと悟ってしまう。

銃弾は何かで受け止められない場所に撃ち込むしかない。そうなるとやはり心臓が一番良いだろう、ただ問題が一つある。絶対に避けられてしまうのだ。先程の様に最高火力の弾丸を顎から脳にまで貫通させようとしても受け止められてしまう、ならば直接撃つしかない、でもそうなると避けられてしまう。

なんで通用しないかはクアーリーが一番理解している、実力の差だ。本来目の見えていない目躁術使いなんて一瞬で殺せるはずなのだ。にも関わらず勝ちの目が見えてこない始末である、何処かに大きな差があるのだろう。だがクアーリーにはそれが分からないのだ。それ故に理解した。


「その差が分かれば、俺が勝てる」


「…無理だよ、お前なんかには」


その瞬間視界が変化した。真っ暗だ、何も見えない。目躁術を使われたのだ。ただ一つ疑問に思う、本来なら蓮は複数人で戦うので自分の視界が変になっても大丈夫なのだ。だが今回は蓮自信が戦うしかない、視界はクアーリーで自分の体を動かして戦うなんて至難の技だ。戦闘病があってもそんな事が出来るとは到底思えない。

なので何かやってくるはずだ、そのタイミングで防御すればいい。そう思った瞬間体に大きな衝撃が走る。恐らく攻撃されたのだ。すると蓮が煽るように話しかける。


「僕の力はもう考えられないとかそう言う域じゃないんだよ!何でもできる!精々油断しない事だな、クアーリー」


「………良い事を教えてやろう。私は死ななければ何でも良いんだ」


直後、放たれた。


『アイアンメイデン』


襲撃時地下での戦いで見せた技である。変化の特性を使い床や天井を鉄の棘に変化させる、そして飛び出させることによって体に棘が刺さるのだ。

だが一つこの状況になったことによるデメリットがある。クアーリーにも刺さるのだ、一度吹っ飛ばされたことによって位置関係が全く分からなくなった。なので無尽蔵に針を出して攻撃するしか無いのだ。なので自分の体にも刺さる事になるのだ。

大きなデメリットである、その後の動きが鈍くなるのは必須で下手をしたら心臓に刺さったりして死ぬ可能性だってある、だがクアーリーは死ぬ事より負ける事から遠ざかったのだ。


「自滅もいとわない…か」


「そうだ。俺はまだ経験が浅い、だから最悪の場合死んでもそこまで損失は無いんだ」


「あっそ、めっちゃ弱いくせにイキるなよ」


再び激痛が襲う。


「何故だ!?棘に…」


「僕は今お前の視覚を使っている、見えてるんだよ。だから避けれた」


「だが他人の視点だぞ?そう簡単に…」


「だから言っただろ?もう僕は、何でもできるって」


クアーリーは自分の考えを捨てる事にした。そしてただ目の前にいる怪物の攻撃をどうやって避けて、カウンターをして、自分の攻撃をするのか、回避に徹するのかそう言ったその都度変えなくてはならない考えだけを頭の中に残しそれ以外は何も考えない事に決めた。


「俺も…やってやるよ、本気で」


完全に見栄を張っているだけである。だがクアーリーには自信があった、蓮を倒せる、絶対的な自信が。



第百五十八話「基盤作成」

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