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【完結】御伽学園戦闘病  作者: はんぺソ。
第七章「TIS本拠地急襲作戦」
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第百二十七話

御伽学園戦闘病

第百二十七話「発見」


すぐに取り掛かる。薫、兆波、翔子、兵助の四人が椅子に座りPCを立ち上げた。ただ三台余っているので誰か機械に強い奴いないのか訊ねる。

すると扉の先からハックが話しかけて来る。だがハックは自前の外出用ノートパソコンがあるし何なら能力で機械が無くても干渉できるのでハックは自分で勝手にやってもらう。


「あ、なら俺やりますよ」


半田が出た。半田は生徒会の中で一番そう言うのに詳しいので席に付いた。残り二席は誰が取るか迷っている、他は誰もPCは扱えないので困ってしまう。

前席埋めた方が単純に作業効率が良くなるので埋めたいのだ。ならば一番要領が良い奴を選びたい、となると聞き訳が良くスペックが良い中等部員のベロニカだろう。


「分かりました。ただ何も分からないので教えてください」


そう言いながら席に付く、もう一席ある。誰にするか悩んでいると一人の少女が恐る恐る手を上げる。


「私、昔に触ったことぐらいならあります…」


レアリーだ。レアリーはあまり自分で語りたがらないが親が大手薬品会社の社長なので多少はそう言うのに触ったことがあるのだ、ただレアリーだけが能力を発動したので今は島に一人で暮らしているのだ。

そして計八人の操縦役が決まった。次に決めるのは実際に探しに行く捜索役だ。


「とりあえず菊、莉子、影は確定だ。後二人ぐらい欲しいがどうしようか…ハンドは動きやすいがバレるしな…」


「んじゃこいつ良いんじゃん、行かせてやってくれ」


ラックがポメを推薦した。ポメは体が小さく目立たない上に何かあった時は物体を操って動きを封じたり場合によってはそのまま拷問にも繋げることが出来ると言う。

実際ポメは結構小さいので隠密性は抜群だ。後一人だ。


「隠密性なら漆行かせよう」


水葉が提案する、漆は驚いて遠慮がちだが確かに少し変装するだけでカモフラージュは出来る。しかも小さな動物達を使って捜索も出来る。様々な事に使えるので行かせるのは妥当だろう、菊と役割は被っているのだがやはり小さな男の子の方がバレないだろと言う事で捜索班に入れられた。


「よし。決まったな。じゃあ残り奴はここに残って随時手伝ってくれ。そして一つ言っておくが基地を見つけても九月一日に行く、九月一日に見つけた場合はそのまま突撃するからな。覚えておけよ」


捜索班の皆は頷き早速どこに飛ぶのか訊ねる。


「ちなみにどの県かも分かってない。ここに関してはマジで運ゲーだ」


「は!?どうすんだよ!!」


拳が叫ぶが薫は冷静に答える。


「運ゲーだって言ってんだろ。ただある程度の位置は分かる。あいつだって色々な奴と麻雀をやりたいだろう、だったら雀荘がたくさんある地域に出向いているだろう。それに加え人が多く極力バレない様な場所だろう。まぁ大雑把に行けば東京辺りか?」


ただ東京と言っても範囲は広い。一人の人間をピンポイントで探すのに東京全体を探している暇などないだろう、ただここは運ゲーで決められる箇所ではない。しっかり要素を探し地域を絞らなくてはならないのだ。


「ダイジョブだ!!私がやっておいた!!」


今まで黙って後ろで傍観していた絵梨花が口を開いた。小さな地下なので声が響き耳が痛くなる、声量を下げる様注意してから何をやってくれたのか聞く。すると絵梨花は少し溜めてから全く変わっていない声量で言い放った。


「霊力量で特定すればいいのだ!!私は隙間時間に元に手伝って貰ったんだ!!そして二十三区それぞれの霊力量を測って来た!!!!!」


「うるせぇ!もうちょっと静かにしろ。後どうせほぼ全部元がやったんだろ」


「そうとも言う!それでは発表...」


「私が言いますよ、絵梨花先生が話していると少し耳が痛くなって来るので」


実際に測った元が発表していった。


「分かりやすくラックさん発明の霊力測定機と同じぐらいの比率にして言いますね。千代田区120、中央区100、港区140、文京区80、台東区140、墨田区210、江東区135、品川区210、目黒区220、大田区100、世田谷区120、渋谷区340、中野区130、杉並区170、豊島区80、北区40、荒川区20、板橋区120、練馬区60、足立区130、葛飾区210、江戸川区160とここまでは高くても無自覚の能力者やただ霊力が高い者が紛れているだけだったのでしょう、ただ次は桁違いなんです。

最後の新宿区420…確定でしょうね」


「新宿か。俺言った事無いんだが」


「私も」


「自分も」


「僕も」


「俺も」


「私も無いです」


操縦組全員行った事が無いらしい。少し厄介なことになりそうだがそこに行くしかない、この事を見越し捜査をしてくれていた二人に感謝してから早速雀荘を検索する。

ただ大量にあるので何とも言えない、ただ駅の付近は相当固まっているので最初は駅周辺を調べる事となった。早速捜索班を向かわせる事となる。

適当に人通りが無い所に莉子が転送する事となった。ただその前に薫が一つ教えておく。


「これ、付けとけ」


捜索班に小さな機械の様な物を渡した。何か聞くと薫は崎田の方を指差して再びパソコンの方に視線を流した。


「それは通信機!とっても便利で霊力ちょっと流すだけでここの機械と通信出来るよ!本当にちょっとでいいからね!基本的には常に付けててほしいけど突入時の霊力が無くなっちゃいそうだから随時何かあったら霊力流して報告してね!

と言っても菊先輩の虫とかで常に監視はするけどね」


「分かりました。それじゃあ行きましょうか」


漆がそう言って莉子の手に触れた。他のメンバーも莉子に触れすぐにでも転送できる、薫に出発して良いか確認を取る。


「あぁ、行ってこい!」


莉子は能力を発動した。四人と一匹が姿を消した。数秒後無事に付いたと連絡が来た。薫は返事をしてから次に上部の使っていないモニターを指差しながらハックに指示を出した。


「あいつらを三人称視点で見る事が出来るようにしろ、このモニターに映してくれ」


ハックは部屋を出て来てモニターに触れた。すると付いていなかった五つのモニターが捜索班それぞれのを上部から映し出した。今は同じ場所にいるようだ。薫が通信機に向かって話しかける。


「どんな場所だ」


すると通信機から菊の声が聞こえて来る。


「めっちゃ路地裏、ホントに言う事も無い路地裏。抜けたらまぁ普通に道路とかある感じ。今すぐにでも出て捜索できそう。出るか?」


「いやまて、お前らの顔ぐらい分かってるだろう。影は霊力を頼りに暗闇の世界で移動。莉子は極力バレない位置にテレポートしまくって移動。菊は隠れて動物達を使ってくれ。漆はそのまま出てもいいぞ、お前目立たないから、ただ動物たちは使ってくれ。バレない程度にな」


全員把握したようでそれぞれの行動に出た。漆は四人にまたここに集まろうと言って路地裏を抜けて行った。影も沈んで見えなくなった。菊はもっと人気が無い所に移動すると言って更に奥の方へ行ってしまった、莉子も多少路地から抜けて少し探索してから転移する事に決めた。ポメはいつの間にかいなくなっていた。そうしてそれぞれ捜索を始めた。


[漆視点]

漆は人に紛れ強すぎる霊力が何処かに無いか感じ取ろうとしていた。当然鳥や虫などにも命令を下しているが自分でも探すべきなのだ、唯一街に混じっていても違和感の無い人物なのだから。

ただ全く異様な霊力は感じ取れない。皆一般人と言う感じだ、たまに紛れて生活しているのであろう能力者もいるのだが明らかに反応が違う。驚くような反応をするのだ、上のトップともなれば何度も生徒会やTISの重要幹部とも遭遇しているだろうから漆程度の霊力じゃ驚かない筈だ。


「うーん…全く分かんないな。あの子達からも成果無いって来てるし。やっぱ一人をピンポイントで...」


その瞬間漆の身体に違和感が生じた。すぐにその違和感の正体を探るが何も分からない、何かおかしいと思い適当な路地裏に逃げ込んでから通信機に霊力を流し込もうとした時だ。


「霊力が流せない!?」


そう、霊力が操作できないのだ。漆は霊力操作が苦手と言訳でなく普段ならこんな事朝飯前なのに何故か霊力を流し込むことが出来ないのだ、瞬時に思考を巡らせ何が起こったのかを考える。


「皆さんといた時は使えた、しかもさっきまで動物に命令も出来ていた…まさか!![語 汐]の能力!!」


至極まっとうな結論である。霊力が足りなくなることなんて無いのだ、霊力が欠如した場合は回復の為体が強制的に電源を切り意識を失うからだ。

だが意識も保っていて元気な状態で能力が使えなくなるだけではなく霊力すらも操れなくなったのは敵の能力による妨害だと考えるしかないだろう。


「と言う事はまだ近くにいる可能性が高い!」


すぐに飛び出し周囲を見渡すが全くその気配は無い。そもそもすれ違ったりしているのならば霊力で分かるはずだ、その男の霊力によって新宿区の霊力が高くなっているのだから。


「いや…まさか…」


漆の脳内に一つの考えが過ぎる。


「その男の霊力が高い訳では無く他に要因があるのかもしれない…でもその場合特定なんて無理じゃ…」


どうするべきか悩む。報告も出来ない状況だ、他の皆も同じような事になったら何も情報も落とせないまま暗殺されるかもしれない。それだけは避けなくてはならない、どうにかして霊力が封じられた事を伝えなくてはならないのだ。


「だけどどうすれば…他の人と会うのはあまり良くない。僕がマークされている可能性だってある…最悪の場合そのまま殺されて野次馬を沸かせて何とか目に付けてもらうしか無いのかな」


ただ本当に最悪の手段だ。絶対に使いたくは無い。ならどうするか、この異常を操縦組に気付いてもらうしかないのだ。ただ捜索組はモニターで見られている事に気付いていないのだ。ただ漆は一つ思う事がある。


「菊さんになら気付いてもらえるかも!」


どうにか菊の遣いの動物を探し出し菊に報告してもらえればその事を操縦組に伝えてくれるかもしれない。もうそれしかない、それ以外に道は見つからないのだ。霊力さえ操れれば良いのだが、何故だかそれが出来ない。

そして菊の遣いを探し回っていたその時だった。一匹のスズメが近付いて来る、菊の遣いが気づいてくれたのだろうと思い再び路地裏に入って話をしようと思った。


「よし、ここなら誰にも怪しまれない。手紙でも書いて渡せ…ば…」


そのスズメの方を向く、おかしい。スズメの行動がおかしいのだ、まるで跪いているような体勢なのだ。そう、これは


「僕の遣いだ」


漆の遣いだ。漆の能力は謂わば部下を作るような形となる、命令なのだ。一方菊はフレンドリーに話し友達を作ると言った感じなのだ。なので菊の動物の動きではない、万が一忠誠心が高いのだとしても菊以外にこんな姿を見せる意図が分からない。ただ躾がなっている奴なのかもしれない、なので菊の遣いか聞いたが全く動作が無い。


「やっぱり…ならもう能力の効果が切れてるのかも!」


そう思い通信機での会話を試みるが霊力は流せない。


「どう言う事?もしかして霊力だけ制限する能力なの?だとしたら更にまずい!すぐにでもみんなに会いに行かな...」


顔を上げ路地を抜けた先にある街の方を見る。すると路地の入口に一人の男が立っていた、細身で高身長、茶髪でサングラスをかけている男だ。完全に一致している[語 汐]だ。


「なっ!」


「霊力の方が大事か。情報提供助かったよ」


そう言うと体の向きを変え姿を消した。呆然と立ち尽くしていた漆はすぐに追いかけようとしたが既に姿は無かった。漆は冷や汗をかき始める、自分のせいで敵に情報を与えてしまった。あの言いぐさ的に霊力操作だけじゃない事も制限できるのだろう、もうつべこべ言っている暇は無い。今出る力を振り絞って叫ぶ。


「ポメ!!!!僕に従え!!!!」


霊力が操れないので能力が発動しているかも不明だ。だが仕方が無い、能力者とバレてでもやらなくてはらない。唯一表に出て捜索出来る漆が発見されてしまった、大胆に行くしかない。


「[語 汐]を発見した!!!!あいつは霊力操作を封じて来た!!!しかも他の事も封じれるらしい!!!すぐにその事をみんなに伝えろ!!!!すぐにだ!!!!」


視線を釘付けにする。そして霊力と言う単語から一部の者に能力者だとバレ詰め寄られる。漆は何も言い返せない、周囲は人が囲んでいて逃げ出す事も出来ないのだ。

一人の男が漆の胸ぐらを掴み持ち上げる、そして殴り掛かったその時だった。一人の少年が男の腕を掴む。その少年は黒髪で右耳に風鈴の髪飾り、左耳には赤色で『安全第一』と書かれた御守りを付けている。そしてその少年には一つ大きな特徴がある。

狐の面を被っているのだ、瞬時に理解した。能力者だ。



第百二十七話「発見」

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