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【完結】御伽学園戦闘病  作者: はんぺソ。
第一章「始まり」
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第十二話

御伽学園戦闘病

第十二話「TISの侵略」


「この島の地下にはTISの拠点がある」


「はぁ!?どういうことだよ理事長!」


拳は怒っているのか興奮しているのか驚いているのか机を思いっきり叩きながら立ち上がる。だが真澄(マスミ)がそれを制止し座らせた。それはともかく生徒会メンバーは顔を青ざめ教師は驚いた様子だが冷静だ、流はそれがどれ程の事か理解できないので特に反応はなくラックと素戔嗚、蒿里は妙に冷静だ。ただニアは焦りに焦った様子であたふたしている。


「流、ニアを連れて部屋を出ろ。いいだろ?理事長」


「あぁ心を落ち着かせる為に部屋を出て行ってくれても構わない。その者には後に説明しよう」


「分かった。ニア行こう」


「は…はい」


ラックに指示された通り席を立つ。ニアは驚きのあまりフラフラしていて真っ直ぐに歩けていない、流はニアの手を取り、扉を開いて出ていく。するとそれに続くように


「すいません。私も少し席を外させていただきます」


「私も」


「すいません…私もちょっと…」


カルム、水葉、翔子の三名も部屋から出て行った。皆驚きすぎて正常な判断ができないと考え心を落ち着かせたに行ったのだろう。

三十秒ほど沈黙が続いた、少しだが冷静になってきたのを確認した理事長が口を開く


「では、ここにいるものは話を聞いてくれるということだな」


「早く話してください」


会長が急かすと理事長は話し始めた


「事の始まりは私がこの島を発見したところからだ、私がこの島を偶然見つけ能力者だけの島にしようと考えついた。そして教育体制を整えこの島だけで十分に生活出来る用にした。そして居住者が百名を超えた辺りのことだ、この島にTISが入ってきた。侵攻してきたTISのメンバーは最強格の重要幹部で私では勝てない事は明白だった。島の居住者に怪我をさせたくなから私はTISの代表と話し合い何時間も話をした。質問をして侵攻した理由を聞き出したところ、その子曰く「この島には特殊な鉱石が埋まっている。だから侵攻してこの島を私たちTISの物にしてさらに強くなる」と言うんだ。私は島の住民を傷つけたく無かった、だから住民を傷付けない事を条件にある一定の深さから下は全てTISの物にしたのだ」


場の空気は変わらず重苦しいままだ、そこで菊が一つ理事長に質問を投げかける。


「理由は分かったが契約を破ったということは宣戦布告という事で良いのか?」


理事長はその可能性が高いだろうと否定しない。(ケン)がこれからどうするのか強い口調で聞く、理事長は出来るだけ住民に被害を出さないように対処するしか無いと返答した、それにラックが食いつく


「地下で戦うならまだしもあいつらは地上戦を仕掛けて来るだろう、まず市民に拠点がある事を教えると暴動が起こる可能性があるから避難は当日。そうなると学園私有地や禁足地で戦わない限り被害は絶対に出る…」


ラックが次の言葉を放とうとした瞬間扉が強くノックされ普段は大声を出さない[タルベ・カルム]が大声を出して叫んでいる。


「理事長!理事長!TISの人物が話をしたいそうです!」


室内は再び混乱に陥った。ただ薫が一喝し黙らせる、そして理事長が外にいる者は全員入室するように指示を出す。カルムが返事をしてすぐに扉が開く、そこには翔子以外の外に出ていった人がより一層顔を真っ青にして部屋に入ってきた。薫が翔子は何処か聞くとそのTISの奴と校門で話しているらしい


「何人だ」


「一人です」


理事長は少し悩んだ末レアリーに連れてくるよう命じた。レアリーはいつも通り冷静に席を立ち部屋を出て行った。

出て行った所でラックが椅子出しとくぞと言いながら位置を覚えていたのか椅子が入っている棚を開け椅子を取り出し素戔嗚とラックの席の中間に置く。


「すまない流とニアの席をそちら側に移せないか?」


ラックが部屋の奥の方に移動させられないかと頼むと薫が行った後ニアの為に翔子を勝手に扉側に座らせる事にして席を変えた。席を変えて座るとタイミング良くノック音が室内に響く、部屋の空気は一気に変わり全員が扉の方を凝視する。レアリーの「入ります」と言う声が聞こえた直後ゆっくりゆっくりと扉が開く、その先には先導していたのであろうレアリーと翔子、そして一人の男がいた。その男は茶髪で一般的な身長、そして趣味の悪い金色のネックレスをかけていた。


「では、こちらの席にどうぞ」


「おう、ありがと」


レアリーが引いた椅子に男は座る。そして翔子とレアリーも椅子に座ってから男は話し始める。


「どーも[原(ハラ) 信次(シンジ)]です。TISの重要幹部です、よろしく」


「原さん。今日は何のようで」


「いやぁ〜もう地下から鉱石が取れなくなっちゃったせいで痺れを切らしたらようですね〜「もう島を占領しろ」と言ってきたので一応言ってあげようかなぁと」


「いつだ」


「お、冷静なんですね〜いいでしょう答えてあげますよ。三日後です」


三日後という短い期間で襲撃が行われると知ると流石の生徒会メンバーでも焦る者が出てくる、理事長は険しい表情を浮かべた。ただ冷静に次の質問を投げかける


「どれぐらいの強さで来る」


「重要幹部格三名です。それ以外は攻撃しません、多分。」


「一つ聞きたい。君達は私との契約を破り、宣戦布告をしてきたということでいいのかね?」


「そういうことです。じゃ僕も色々やることあるんでこれぐらいで失礼しますね〜…あ!あと一つ兵助君は地下に冷凍されてますよ、精々頑張るんですね。まぁ地下に辿り着けるかは分かりませんけど」


驚いているエスケープチームを他所(よそ)に笑顔で手を振りながら大きな扉をすんなりと片手で開けて出ていった。教師達は全員俯いて何かを考え始めた。そして兵助を取り戻せると確信したラックは


「俺らエスケープチームは単独で行動させてもらう」


そう言って立ち上がった。薫は止めようとしたが最早話を聞く気はなく全員兵助を奪還する事に夢中になっていた、理事長は止めるどころか死なないのなら自由に行動していいと後押しする。

その言葉にも反応せず席を立った五人は颯爽と退室していった。



[生徒会視点]


「どうするべきでしょう…今回の戦いは負傷者が出るでしょうから私は学園に残る形になると思うのですが…」


「今回は俺達教師も戦う、タルベは時子先生と一緒に治療班として学園で待機していてくれ」


時子とカルムは頷いた。

その横ではこんな時に何も出来ないなんてと悔やんでいる会長を励ましている水葉と拳がいた。理事長はそんな会長を見ていた。


「今回の班分けはどうしましょう…先生方に一人はやってもらうとして…二人倒すのは中々…」


「生徒会班二つそして俺ら教師陣一つ。これで行くしかないだろう」


理事長が生徒会チームの班分けを行うと言った、そして住民の対策はどうしようかと考えていると薫は後三日で対策するのは無理だ、侵略してきたら緊急警報を出して学園に住民を避難させて被害を最大限減らすことしか出来ないだろうと言った。理事長も渋々だがそれに納得した。

そして理事長が班分けを考えている間は全員どう戦うか、どうなってしまうかなど各々別の事を考えていた。三分程立った頃理事長が決まったと言う。少し騒がしかったが全員黙り理事長の方を見る、理事長はまずチームリーダーを発表した


「チームAのリーダーは遠呂智君、そしてチームBのリーダーは香奈美君だ」


香奈美は驚いて本当にいいのかと聞くが理事長は後方で作戦を立てる事なら出来るだろう、と言うと同時に香奈美は頭を下げて感謝の言葉を伝えた。そして理事長は今回の任務は全員を出動させはしないと言った後メンバーを発表する


「まずチームAのメンバーは[葉月 半田][駕砕 拳][松葉 菊][フルシェ・レアリー・コンピット・ブライアント][諏磨 香澄][真田 胡桃][拓士 影]だ。そしてチームBは[目雲 蓮][麻布 康太][穂鍋 光輝][浜北 美久][姫乃 水葉][拓蓮 灼][高田 漆][駕砕 真澄]この編成で行こうと思う」


その采配には誰も文句を言わないどころか褒めるほどだった。そして今日は解散だと理事長は足早に部屋を出て行く。

生徒会メンバーは三日という短い期間で体力と霊力を回復する為部屋を出て寮や自宅へと各々帰宅を始めた。そして部屋には教師だけが残る、薫は今日参加していなかった二人の教師を呼んで来るよう翔子に伝える、承諾した翔子は部屋を出て行った。薫一人の空間、薫は頭を両手で抱え唸るように呟いた。


佐須魔(サズマ)…」



[エスケープチーム視点]


「最悪だ」


ラックはため息をつきながらトボトボと基地へ向かう、兵助が生きている事が確定したんだから最高なんじゃないかと聞いた流にため息混じりに答える


「あいつが兵助がいるとほのめかしたと言う事は兵助の命はあいつらが握っているという事、簡単に言えばさっきのは脅しだ」


ラックの言葉で素戔嗚以外の三人はやっと意味を理解できた、素戔嗚とラックはどうやって兵助を奪い返そうかと唸りながら考る。そこに蒿里が


「私たちは侵略してくる三人を無視して地下に行けばいいんじゃない?」


と提案する。だがラックは回復力が桁違いの兵助をそう易々(やすやす)と引き渡す訳がない、地下には一人重要幹部がいるはずだと切って返す。


「ただ紫苑がいないこの状況で真っ向勝負を仕掛けて勝つ事は難しい。だから流、お前の戦闘技術を上げる。三日間でもいい、やるぞ」


流は覚悟を決め頷く。ラックは野宿修行とは違い学園にある設備が使えるので前より成長出来るかもしれないと付け加える。


「今日はどこで寝泊まりする?なんなら荷物だけまとめて学園でも…」


そう言いかけた所で遠慮した感じでニアが基地に帰りたいですと言う。基地内はまだ少し荒れているし紫苑の状態も確認しておきたいとの事で基地に行く事になった。だが流だけは礁蔽の部屋に行く事にした、そしてどう戦おうかやどう訓練しようかなど話しているといつの間にか分かれ道に来ていた。


「じゃあ僕はこっちだから」


「あぁ明日朝に基地に来いよ」


流は手を振りながら小走りでマンションへと向かって行った。四人はいつも通り基地へと歩を進める、軽い雑談をしつつ基地の前まで歩くと基地の正面に遠呂智が佇んでいた。何の用か聞くと素戔嗚に近付いてから話始める


「さっきは素戔嗚と戦ったけど決着が着かなかっただろ?」


素戔嗚はほぼ勝っていただろと心の中で思いながら口を挟まず黙って話を聞く


「だから次はちゃんと決着着けような」


そう言って手を差し出してくる、素戔嗚は次もボコボコにしてやるよと言いながら握手を交わした。そして満足気に「それじゃあな」と遠呂智は学園がある方へ走っていった。

ラックがパスワードを唱えると木が開きエレベーターが現れる、久しぶりに見たなと思いながらも全員で乗り込む。数秒してエレベーターが着きドアが開き全員が異変に気づく


「あれ?おかしいですね」


「は?」


「あれれ?」


なんと部屋は前よりも綺麗になっていた。するとラックが机の上に置き手紙があるのを発見した。内容は


『まず勝手に君たちの基地に入ってしまったことを謝る。だが荒らしたままにはしたくなかった。冷蔵庫の物は全て買い直して入れておいた、記憶は無かったとはいえ君たちの基地を荒らしてしまってすまなかった。ちゃんと掃除をしておいた、変なところには置いていないつもりだ。私はこれぐらいしか出来ない、最後にすまなかった。  姫乃 香奈美』


と書いてあった。前より綺麗になった基地に喜び感謝しながら五人はソファに座って団欒のひと時を過ごすのだった。



一方流はマンションへと到着していた。野宿中も肩身離さず持っていた鍵で開錠し玄関へと入る。ただいまと言うが誰からも声は返ってこない。玄関から真正面には礁蔽が眠っている、ガラスはないので状態は確認出来ないが機械は動いているようで安心した。


「久しぶり礁蔽君。だいぶ部屋を空けていたけど無事そうで良かった」


礁蔽の無事を確認出来た流はさっさと寝る為シャワーを浴びた。髪を乾かし布団を敷きいざ寝ようとすると体からスペラが飛び出してきた。どうしたのか聞くとどうやら一緒に寝ようと鳴いている。


「一緒に寝る?うんいいよ、一緒に寝よう」


そう答えるとスペラは嬉しそうに部屋を飛び回る。そして流の肩に止まる、一人と一匹で一緒に寝る事にした。

スペラは流が寂しくならないように一緒に寝てくれるのかもしれない。だが猶予はあと三日、明日からは今までより沢山動く事になるだろうから今の内にたっぷり寝ようと流は目を閉じた



第十二話「TISの侵略」

2023 4/18 改編

2023 6/10 台詞名前消去

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