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【完結】御伽学園戦闘病  作者: はんぺソ。
第五章「黄泉の王国」
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第百十八話

御伽御学園戦闘病

第百十八話「抜錨!」


計二グループに配属された。まずは指揮を執るチーム、そしてガンガン攻めるチームだ。

まずは指揮チームだがこちらは少数で構成されている。まずはエンマ、次に莉子、レアリーと続きラック。そして最後に見知らぬ少女だ。


「初めまして、ロッド和四代目[鳫蛙(カリア)]と言います。使える術は『清眼』、簡単に言えば透視のようなものです」


「よろしくー」


「よろしくお願いします」


「よろしくな」


初対面だったので軽い自己紹介と挨拶を行った。それが終わるとすぐにエンマが仕事の内容を説明する。


「出すのは空母二艦だけだ。それで戦闘機は積んであるから適当に乗って襲撃いしてもらう。出す艦の名前は一個目が[赤城]で二個目が[瑞鶴]だ」


「すげぇの持ってんな」


「まぁね。それでそれぞれロッドの姫が二人ずつ乗ってるから戦闘面は問題ないと思う。ただみんな海上戦なんて初めてだろうから変に事故られても面倒くさい。だからラックに指揮を執ってもらう!」


「はぁ!?俺わかんねぇよ!」


「でも知識沢山持ち合わせてるし出来るだろ?僕は能力者戦争に出てたとはいえ内陸側だったから海戦は分からない。他に出来そうなのがラックしか...」


「あー分かった分かった。無線は?」


「ちょっと改造して艦内放送が出来るようにしてる」


「了解、じゃあやるか。お前らは言われた通りに動いてくれ」


レアリーと莉子、鳫蛙は頷き指示を待つ。ラックは無線に手をかけ早速情報を伝えようとする、だがエンマが少し引き留め一言だけ追加した。


「殺さないでよ」


「わーってる」


そしてラックは無線を繋ぎ艦内放送を開始した。

すると甲板に転送されていたメンバー達に声が届く。両艦共に通信機能は整っている、と言ってもモールス信号なのだが。ラックはまず聞こえているか訊ね両艦のモールス信号が分かる者が返答した。赤城はフェリアが、瑞鶴は英二郎だ。

モールス信号が送られてきたラックは紙にメモする事もせず音だけ聞いて完璧に状態を確認した。


「両艦共に問題ないと通信が来た!それでは今から俺が指揮を執る!まず一つ言っておきたいことがある!敵を殺すな!

船はぶっ壊しても良いが人は殺すな!救助しろ、俺らはあくまでも勝利ではなく和解を目標として争う!

そして戦闘機に乗り込んで人間爆弾のような戦法を取ってもらう事になるだろう、だが俺はそこまで詳しく状況を掴むことは出来ない。だから出来るだけ自分達で判断しろ!

お前らなら瞬殺だろう!頼んだぞ!」


そう言って無線を切った。すると両艦から出発できるとの伝達が届いた。ラックはすぐに発信の合図を送った。

すると海岸の方で二つの空母が抜錨した。ラックは最大限気を張り何か情報が出るまで待機していた。


[赤城組]

赤城にはラックを除いたエスケープチームとTIS、そして雅羅挐姫が乗っていた。雅羅挐姫は大きな甲板を楽しそうに走り回っている。

佐須魔は命令が出るまで待機するようTISの面々に指示し艦載機の傍に寄る。そして相当良い物だと言う事を理解した。だが名前までは分からない。


「と言うかラッセルはどこ行ったんや」


「ラッセル?もう帰ってるよ、ちょっとやってもらわなきゃ行けない事があったんだ。現世でね」


「そうかいな」


「にしても綺麗な零戦だね」


兵助が佐須魔の横から戦闘機を触って呟く。佐須魔は言われてみると有名な零式艦上戦闘機だと分かる、搭乗員はまだ入っていない様だ。

そしてそんな事をしている内にラックからの連絡が届く、どうにか返信できないかと艦内を佐須魔が物凄いスピードで駆け回っているとモールス信号を送っているフェリアを発見した。


「通信は私に任せてください。少ししたら搭乗員さん達が来るので指示された通りに動いてください」


「分かった。じゃあ僕は甲板に戻る、後は頼んだよ」


「分かりました」


佐須魔はゲートを生成して甲板に帰還した。そしてフェリアが通信をしてくれる旨を皆に伝えて搭乗員が上って来るのを待つ。

待つ事三十秒弱、三人の搭乗員と思われる男達がやって来た。そして先に伝えられていた事を皆に教える。


「僕たちが操縦するので皆さんは戦闘機にしがみ付いていてください。落ちたら知らないって王は言っていました、そして目標艦の上空に到達したら合図を出すので飛び降りてください。死んでも知らないって王は言っていました、それでは僕達は搭乗します!」


男たちはそれぞれ戦闘機に乗り込んだ。誰がどの機体にしがみ付くか相談していると船が動きだした。すぐに決めなくてはいけないと思い適当な配分で礁蔽、紫苑、兵助で一機、蒿里、叉儺、刀迦で一機、佐須魔、來花、素戔嗚で一機となった。

それぞれ操縦に問題ない場所にしがみ付いた。そして鼓動を速めながら発進を待つのだった。


[瑞鶴組]

瑞鶴組はルーズも含めた生徒会と二人のロッドの姫だった。全員甲板に転送された、とりあえず姫はどちらとも初対面だったので自己紹介をする。

まずは大人のお姉さんと言うべき見た目をしている方だ。


「みんなよろしく~!私は[ハールズソンラー・ロッド]って言うの!この子達の先祖で~す!」


そう言いながら菊ともう一人の姫を腕の中に収めている。菊は無表情でもう一人は地味に嬉しそうだ。そして次は初代に抱き着かれている方の姫が自己紹介をする。


「[キャラトー・ロッド]です。初代の実の娘で洋ロッドの二代目です」


「あーもう離してくれよ、暑苦しい」


「しょうがないなー」


初代は少し悲しそうに菊を手放した。そして何か次の話でもしようかとなったその瞬間ラックからの放送が入った。

全員すぐに黙り内容を聞く。そして返答をしなくてはいけないと思ったモールス信号が理解できる英二郎が艦内に入り通信を取った。そして甲板に戻って英二郎は通信役をすると伝えてから再び通信室に戻った。


「とりあえず私達は命令を聞こう。決して負ける事はないだろうからな」


会長はそう皆に言ってから指示が出るのを待つ。一部の男子たちは立派な零戦を見て大興奮だ、ただ水葉と菊は零戦を見て男子と一緒に興奮している。

香奈美、美玖、胡桃、真澄は男子たちを見て呆れている。レアリーは姫二人と一緒にニコニコして見ている。


「おい!お前ら!一度離れろ!」


搭乗員が来たので香奈美が離れる様注意する。全員少し不服そうに下がって搭乗員の話を聞く。


「私達がこの戦闘機に乗り操縦するのであなた達はしがみ付いて敵艦の上空まで待っていてください。落ちても回収には行けないので気を付けてくださいね」


生徒会メンバーは全員動きが止まる。赤城組のエスケープとTISは何も言わず納得していたが普通に考えて戦闘機にしがみついてくれなんて人間が出来る技ではない。流石に抗議する者が現れる、だが搭乗員はエンマに言われた通りに伝えただけなのでなんと返していいか分からず戸惑ってしまう。


「お前ら!」


会長が大きな声で牽制する。そして皆を落ち着かせてから妥協案を出す。


「流石に厳しいので数名はしがみ付いて他の者は鳥霊に乗せると言うのは駄目でしょうか?」


「大丈夫です。臨機応変に行けと言われたので」


「分かりました。ありがとうございます」


一礼してからクルリと振り向きメンバーの方を向く。そして圧を醸し出して少し説教を垂れる、数名の落ち着いていた者以外は正座で話を聞き猛省する。


「それじゃあしがみ付いていられる者は名乗り出ろ」


説教を終え誰が戦闘機に掴まるか名乗り出ようとする。出て来たのは拳、光輝、蒼の身体強化組だ。蒼は空を飛ぶことに最大級の恐怖を覚えワナワナしているのを一周しハキハキト喋っている。


「よく考えたら蒼の精神システムってよく分かんないよね」


水葉がそう言うが蒼は聞いていない。もうピンピンしていて眩しいぐらいだ。そしてしがみ付きメンバーがそれぞれ一機を占有する。

しがみ付くと同時に瑞鶴が抜錨した。すぐにでも発信できるよう香奈美は鳥霊を召喚する。


『降霊術・唱・鳥』


詠唱が終わるとその場に大きなカラスが現れた。残りのメンバーは全員そのカラスに乗って出発を待つ。


「でも会長ってすごいよね。私未だに面着けないと降霊術出来ないもん」


美玖が仮面を触りながら会長を褒める。だが会長は「誇れる事ではない」と謙虚な心を見せた。その後は海を漂いながら会長を褒める話ばかりしていた。

すると艦内に放送が入る。


「赤城から敵艦発見との伝達が来た!パイロットには位置を共有してあるので赤城と合流せよ!」


パイロットはエンジンをふかす。鳥霊も羽を上げ誰も落ちる位置には居ない事を確認すると宙に舞った。それに合わせるようにして零戦も滑走路を走り出す。


「発進!!!」


艦内放送のラックの声と共に零戦三機と生徒会メンバーを乗せた鳥霊が飛び立った。ここからの一番難しい任務は敵を殲滅する事じゃない、殺さない事だ。

だが全員その事は常に頭の片隅に置いて戦う。だが楽勝だろう、普段から手加減しているとはいえ薫や兆波と戦っているのだから。


「ちゃんと指揮は執ってやるからな、安心しとけよ」


ラックは独り言を呟いてから海洋地図を眺め抜錨時間、速度、風向き、全ての事を考慮して敵の位置を考えた。そして気付くとある事に、敵国も戦力は負けながら戦争を挑んだことぐらい分かっているだろう。ならばそれなりの考えがあるのだ、ラックは焦っている故の大声で艦内放送を流す。


「マズイ!!引かせろ!!あいつらが死ぬ!!」


その言葉は通信室のフェリアと英二郎に届いた。両艦で待機させていたロッド姫二人に助けを求めに行ったが両艦の姫はどちらも発進していた。

そもそもの話負ける訳が無いだろう、能力者の中でも一際飛び抜けて強い家計の者が四人いる時点で。ロッドは最強だ、誰にも負けることは無いのだ。


「は~いこんにちわ~」


戦場には既に降り立っていた、水面に立つロッドの姫四人が。



第百十八話「抜錨!」

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