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【完結】御伽学園戦闘病  作者: はんぺソ。
第五章「黄泉の王国」
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第百七話

御伽学園戦闘病

第百七話「切り捨てなくてはならないモノ」


エスケープ達『I』は未だ流が出発するのは待っていた。その間は大体素戔嗚にどんな事があったかを聞かせる時間となっていた。素戔嗚もなんだかんだ言いつつ楽しそうに話を聞いている、ただどんな話をしても笑いはしなかった。礁蔽は風呂で笑っているのを知っている、何故全員になると笑わなくなるのか凄く気になっていたが言ってしまうと何か地雷を踏むかもしれないのでやめていた。


「仮想のマモリビトはそんな奴だったのか」


マモリビトの話になった所でずっと黙っていた來花が口を開いた。どうやら來花の特性上マモリビトの力を使って覚醒する事はないらしい、それを聞いた礁蔽達はマモリビトの性格や特徴を教えた。そして話の流れで素戔嗚の覚醒方法は何なのか訊ねられた。だが素戔嗚は無言を貫く、まさかして事が無いのかと聞くと素戔嗚は首を縦にふった。


「素戔嗚が覚醒出来ないのはあまり戦闘を楽しめていないからだ」


ラックがそう口を挟んだ。來花は理由を知っている様子だが黙っている。そしてラックは「覚醒には感情の高揚が大きく関連していると思われているんだ」と説明した。素戔嗚は頭を抱え冷や汗を流しながら声を震わせ話す。


「俺もヤバいとは思っている…今はNo.1が長期遠征中だから実質No.1という形になっているが…覚醒も出来ない様な奴がNo.1を名乗っていいのか…」


「じゃあこっちに戻ってくれば良いやん!」


「え?」


「そうすればそう言う格付けも無いから気楽やで!」


そう言って誘って来る礁蔽に加え來花もそそのかしてくる。


「私も良いと思うがな、素戔嗚にはずっと無理をさせて来ているからな」


だが素戔嗚はそんな言葉では左右されない。


「それは出来ません!!もう戻らないと決めたんです、ルーズを殺す前にも佐須魔様と何度も話し学園を切り捨てた!その後も何度も抜けてもいいんだと言われたがずっと否定し続けたんだ!切り捨てなくてはいけなかったんだ…だから今こうして話しているのもおかしいはずなんだ…」


「ま、別にいいんじゃないか?だって俺は素戔嗚より強いし」


そう言って紫苑が調子に乗る。だが素戔嗚にとってはそのウザいマウントの様な言葉でさえも少し救いになった。素戔嗚は立ち上がり軽く準備運動を始める、何故そんな行動をしているのか聞く前に來花も同じ行動をする。今度こそ何をしているのか聞くと動き始めたと言った。


「佐須魔と流の気配が動き出した、君達も準備しておくと良い」


そう言われた礁蔽達はすぐに準備運動を始めた。何故なら二人は物凄いスピードで宮殿に向かって行くだろう、そのスピードに追いつかなくとも視界に入って足を止めてもらい少し話したい事があるのだ。

そうして七人はあの二人が来るのを待つのだった。


一方その二人はゆっくりと最初にエンマが座っていた崖へと向かう。佐須魔はその間何度か同じ質問を繰り返していた。


「TISに入ると言う事は学園を切り捨て殺しにかかると言う事だが本当に良いんだな」


「何度も聞くな、良いと言っているだろう」


「君が思っている以上にキツイぞ、裏切り者と罵られ可哀想と思われている目、憎しみに溢れた目、様々の地獄を見る事になる」


「地獄は味わった、お前が引き起こした地獄を」


佐須魔はなんともやりにくそうだ。だがそれが面白いと思っているのも事実、こいつが入って来たら凄く面白いことになりそうだがそれまでに少し時間がかかりそうだし面倒くさい事になりそうだ。ひとまず今は出発するのが最優先だ、二人は身体強化も無しに崖から飛び降りた。

そして二人は出っ張っている部分等を掴んで無傷で落下した。そしてそのまま走り続ける。少しの荒廃熱帯夜地帯を抜け花園に突入した、二人は競争をしていたのだがそれを止める者がいた。


「ちょい待てや!!」


その言葉通り二人は足を止めた。声は後方からして振り向くと礁蔽達が立っている、流が何か用か聞くと礁蔽は話したい事があると言う。流は佐須魔の方を見るが佐須魔は楽しそうに笑っている。流は聞く事にした。


「わいは素戔嗚がTISという事を知っとった」


その発言に佐須魔と素戔嗚、蒿里以外が全員驚く、追及しようとしたが礁蔽が自ら説明すると皆を落ち着かせた。蒿里は素戔嗚の事をなんとも思っていない様で気にしていない様子だ。


「わいは素戔嗚が佐須魔と念話?ちゅーのをしてるのを見かけたんや、そんでそのまま色々話を聞いたんや。その時に重要幹部と知った、だけどわいは誰にも言わへんかった…」


「…んで…」


「ん?どうした流」


「なんで言わなかったんだよ!お前が言ってればニアは助かったかもしれないだろ!なんで!なんで!」


流は礁蔽のえり首を掴み強く叱責する。だが礁蔽は「言わない約束だったんや」と言い続ける。流は苛立ちが隠せない様で次第に手が出る、ただ誰も止めようとしなかった。佐須魔と來花はものを言える立場ではないしラック達も言ってほしかったと思っているからだ、だが喧嘩が始まってしまうのは良く無いと仲介するために降りて来た。


「ストップだ」


エンマが降りて来たのだ。流は手を離す。エンマは今やるべき事を考えようと話してから再び空に飛んでいった、流は舌打ちをして礁蔽を睨んでから宮殿へ向かって歩き始める。

だが礁蔽にも火が着いた様で流を抜かしてどんどん先に進んでいく、皆呆れながらも着いていく。


「わいにだって捨てれんもんがある、お前より先にフラッグを倒す」


まるで子供の喧嘩だ。だが佐須魔は楽しそうだ。何故だろうか他のメンバーも次第に楽しくなって来る、そうして皆戦闘を心待ちにするのだった。



第百七話「切り捨てなくてはならないモノ」

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