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【完結】御伽学園戦闘病  作者: はんぺソ。
第五章「黄泉の王国」
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第百五話

御伽学園戦闘病

第百五話「須野昌と香澄3」


2009年4月2日

新年やバレンタインデーなどのイベントも楽しく終え進級と卒業の時期、二人はクラスの内訳を見る。ドキドキしながら見た結果香澄は二年一組、須野昌は二年四組だ。少しガッカリしながらもどうせ何も変わらず須野昌は授業を受けないのだから良いだろうと思う事にして新しい教室へ向かう。

須野昌は生徒会室へ直行する。

教室には何人か知っている人がいた。香澄は一人ぼっちにならない様すぐに話しかける。


「やっほー灼」


「あ、同じクラスなんだ〜よろしく〜」


「うん。よろしく」


そして次に話しかけれそうな人を探す、他は顔しか知らない人達だったが一人話しかけれそうな人がいた。すぐにそちらに向かい声をかけてみる。


「あ、あのー」


するとその人は香澄を見た瞬間瞳をこれでもかと輝かせ挨拶と自己紹介をする。


「あああ!初めまして!私[驚砕 杏]!香澄君だよね!ずっと気になってたの!」


「え?」


「その綺麗なツヤのある髪!滅茶苦茶綺麗な肌!そして黄色と黒のグラデーションの瞳!もうずっっっと可愛くしたかったの!!!」


そう話しかけたのは一つ上の生徒会メンバー[驚砕 真澄]の妹[驚砕 杏]だ。姉はしっかりしていて大人しかったので妹もそう言うタイプかと思っていたが全くそんな事は無くむしろ真逆でうるさいぐらいだ。ただこれから一年間が楽しくなりそうでこれもまた良いかもしれない、そう思っていると教室にドアを開ける者がいる。


「姉ちゃんいるかー」


そう聞くのは去年小学生だったとは思えない程の体格と声をしている[驚砕 拳]だった。そして拳は生徒会室に真澄を連れて行かなくてはいけないが場所が分からないらしく聞きにきたらしい、ついでに真澄を呼ばれた。真澄は杏が連れていく事になり香澄は先に生徒会室へと向かう。何故か拳も着いてきて気になっていたが生徒会室に入ると流石に着いてくる事は無かった、そして部屋に入ると先週まで座っていた席に絵梨花が座っている。


「よし来たな!」


よく見ると香澄が最後の一人だった、そして絵梨花は大きな声で「入ってこい!」と言い放った、その直後扉が開き二人部屋に入って来る。そして二人は自己紹介を始める。


「[驚砕 拳]だ。そこにいる真澄姉ちゃんの弟で今年中等部一年生だ」


全員背丈と合っていない年齢に頭が混乱していたがそんな事は慣れているもう一人が自己紹介をする。


「[姫乃 水葉]。同じく中等部一年生でそこにいる[姫乃 香奈美]の妹。よろしく」


どちらも中等部一年生だ。なんと現在生徒会には中等部が六人もいる。これは生徒会が設立されて以来の事態だ、だがそれもその筈なのだ。何故こんなに中等部がいるかを絵梨花が説明する。


「お前らが知っている通り現在の高等部は壊滅状態だ。生き残ったのは既に卒業した薫、私、菊、最後に崎田だけだ。薫は最悪の事態を想定して早めに中等部を生徒会に入れておいたらしい、実際ほぼ最悪状態だ。だからこれからは中等部でも人を入れてひとまず戦力を確保する。そのための第一歩として実力が判明していて強い二人を入れた」


そう、高等部は大会でTISにやられ壊滅したのだ。兵助はエスケープチームと兼任して生徒会をしていたがエスケープチームとして大会に出て死んでしまった。

新人二人は元々生徒会に入るのは必然と言われる程の実力者なので誰も文句は言わなかった。絵梨花が生徒会の仕組みなどを解説し始めると菊はいつも通り帰って行く、聞き慣れた説明を聞くぐらいなら訓練をしようと絵梨花と新人二人を置いて全員能力館へと向かっていった。

その後は何も無く新人を増やし絵梨花が卒業し崎田が生徒会長になった。ただその年は新人育成を頑張ったぐらいで特に香澄達に大きなイベントは起こらななかった。そして薫達が教師として来たりラックが生徒会に入って一週間程度で抜けてエスケープチームに入ったりと地味なイベントはありつつも楽しく時を過ごした。


2012年5月4日

流が見つかってルーズが失踪した数日後だ、日本本土の静岡県の伊豆方面にある工場地帯で三獄の霊力反応がしたと能力取締課から連絡があった。すぐに四人を遠征に出す事に決まる。

[葛木 須野昌][和也 蒼][木ノ傘 英二郎][クルト・フェアツ]を遠征に出す、その数時間前須野昌は軽く荷物をまとめていた。その時香澄が妙に重そうな声と面持ちで話しかける。


「何か違和感がするんだ」


「なんだよ?別に三獄なんていないだろ」


「いや…何か違う…でも説明できない」


「まぁいいや。じゃあ俺は行ってくる」


「うん…気を付けてね」


そして須野昌は学園へ向かい遠征へ出た。だがこの後襲撃が起こるのだ。だが二人とも今はそんな事予測していなかった。


同年6月中旬

エスケープチームの誤解が解けたと同時に襲撃宣言が行われた。だが遠征組には調査を徹底してほしいので連絡しない事に決まった、そして会議を執り行い当日へと時は進む。


同年同月同旬

チームAに所属していた香澄はラッセルと戦闘になる。そして香澄は自らを犠牲にして狐を融合し時間を稼いで勝利へと導いた。だがその時レアリーを巻き込んでしまった事で二人死亡となってしまった。


同年同旬29日

素戔嗚を置いて全員帰ってきた。そしてその時遠征組は初めて襲撃があった事を聞かされた、須野昌は絶望して倒れ込んだ。だが狐は未だ学園が保有していると聞きすぐに駆けつける、狐は古くなった倉庫に閉じ込められていた。須野昌はどうにか対話を試みる。


「おい香澄、聞こえるか」


狐はピクリとも反応しない。だが須野昌はこの中に香澄がいると信じて話し続ける、遠征で何があったかや素戔嗚の件を全て話した。ただ反応はしなかった、やはりここにはいないのだろうと思い帰ろうと背中を向けた時一瞬だけ声が聞こえる。



自由に生きて



それは香澄の声では無いはずなのに香澄の声と思い込んでしまう。狐は少しだけ顔を下ろして須野昌を見ている、須野昌は反射的に頭を撫でていた。この霊はいつもの様に見ていたあの二匹の狐なのだ、須野昌はこれからも毎日会おうと決め前を向いて寮に帰っていった。



それが今までの出来事だ。しっかりと思い出してみると少しだけ思い当たる節があった。それは見ていない所で死にたいと言う所と狐の発した言葉だ。だが今までの香澄だったら普通に老衰で死にたがるだろう、なんのために強引に死を選んだのかが理解できない。須野昌は少し足を止め考える、すると遠くから声をかけられる。


「何してるんだー?」


素戔嗚だ。エスケープはまだ宮殿に着いていないのかと呆れていると流を見ていないかと聞かれる、須野昌は佐須魔と一緒にいたぞと言って宮殿へ向かう。

須野昌はもしかしたらと一つだけ思いついた。だがそれが答えだったら自己満足もいい所だ、だが香澄は結構奇行をする事がある。ならばそれも奇行の一種なのではないか、そう思うのだった。その答えとは


「香澄を忘れて俺らしく生きて欲しいのか?」



第百五話「須野昌と香澄3」

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