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【完結】御伽学園戦闘病  作者: はんぺソ。
第五章「黄泉の王国」
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第百四話

御伽学園戦闘病

第百四話「須野昌と香澄2」


2008年10月10日

二人が生徒会に入ってから一週間が経った、須野昌は面倒くさがって授業には出ていないが生徒会室で作業をしたりしていた。二人とも雰囲気に慣れて来た頃また新メンバーが三人も来ると伝えられた。二人はどんな人が来るのかワクワクして待っていた。授業が終わって十分後、ドアがノックされる。薫が入る様促すと扉を開け新メンバーが三人入ってくる。


「どうも」


そう言いながら姿を現したのは茶髪の男[沙汰方 兵助]だ。そしてその両脇にはそれぞれ[拓蓮 灼]と[驚砕 真澄]が立っていた。薫が自己紹介をするよう言うと兵助から自己紹介を始める。


「[沙汰方 兵助]です、高等部三年。あの[沙汰方 小夜子]の孫で弟子です。回復術に長けていて戦闘はあまり出来ませんがサポートをしていくのでよろしくです」


ただ香澄はそこで疑問に思う、一週間前に渡された表には既に名前が乗っていた筈だ。その事に関して言及してみると薫が「事情があって入るのが遅れた」と言った。そして次は真澄が自己紹介をする。


「[驚砕 真澄]、『威圧』で相手を動けなくさせる事が出来ます。中等部二年生です」


真澄達驚砕姉弟(きょうだい)は約一年前に島に来たばかりであまり強さが知られていなかったのでこの当時は何故こんな奴が生徒会に入れたのかは疑問に思われたがすぐに払拭する事になるので何も気にすることは無い。

そして最後に灼が名乗る。


「[拓蓮 灼]、降霊術使って神話霊の『朱雀』を使うよ〜よろしく〜」


何か当たり前の様に朱雀の事を言ったので一瞬誰も気にしなかったがすぐに追求する。世界に一匹の神話霊である朱雀を持っているのは本来なら自慢しても敬遠されるどころか尊敬されるぐらいなのに軽々と言う灼には非常に期待が寄せられる事だろう。

そして須野昌と香澄の二人は灼が入って来た事を自分の事かの様に喜ぶ、灼は「入らないかってずっと言われてたけど断ってたんだよね〜だけど二人が入ったから俺も入った〜」と言う。二人は格の違いを見せつけられ落ち込んだ。


「じゃあ私は動物達に飯やらなきゃ行けないから帰るぞ」


菊が席を立った、薫達は別れの挨拶をする。そして兵助と真澄に説明を始める、灼は二人に説明された方が分かりやすいだろうと丸投げされた。それもそのはず灼は頭が悪すぎて留年しかけた事もあるのだ、薫は説明が下手なのである程度の理解力が無いと何も分からないまま時間を消費してしまう。それなら昔から友達の二人に説明してもらった方が両者得なのだ。二人が説明しようとすると灼はつまらないと行って立ち上がり部屋を出ていく、二人はしょうがないと散歩しながら話す事にした。

一から細かく説明してやっと理解してもらえた。灼は馬鹿でなければ優秀な筈なのだがと二人は同じ事を思いながらも今日は寮に帰る事にした。


「それじゃまた明日〜」


「うん。バイバイ」


「それじゃあな」


灼は部屋が遠いので別れる。二人は部屋に入り少し休憩する、最近は話せる機会も増えて来て再び昔の様に毎日楽しくなりそうだ。だが須野昌は女遊びを止める気はないらしい、香澄が何が楽しいのか聞いてみる。


「何が楽しいの?」


「んー楽しいと言うか見てもらえるのが快感と言うか…例えが難しいな」


「僕にはその気持ち分からないなー」


「分かってほしくねえよ、また初めて会った日みたいに女の子の目線を持ってかれたくないからな」


「そっか。じゃあ僕はシャワー浴びてくるね」


「おっけー、飯適当に作ってるから下来いよー」


小学校から上がり御伽学園に入学したら飯は自分で作るか買うスタイルなのだ。そして一階に厨房と食べるスペースがあるのでそこで食べる事になる、香澄も作れるが二人で一ヶ月ずつ交代制で作っていて今月は須野昌なので須野昌が作ると言う訳だ。早速作る為に一階の厨房へと向かう、厨房では既に何人かが作ったり食べたりしている。

須野昌はコンロは沢山あるにも関わらずわざわざ影の隣を選んだ、影は「何だこいつ」みたいな顔をして須野昌を見たが須野昌だと分かると話しかけてくる。


「なんで僕の隣なんだい」


「別にいいじゃないっすか先輩」


「いや普通に邪魔…」


須野昌は無視して料理を始めた。影は諦めて雑談をする、香澄の普段の様子や生徒会の事などを話していると香澄が降りて来た。


「須野昌ー?」


「今持ってくから待ってろー」


「分かったー」


香澄は適当な席に座って待つ、須野昌が飯を運ぶと早速食べ始める。二人は灼の事や新メンバーの事を話しながら楽しく晩ご飯を済ませる、そして須野昌が皿を洗うので香澄は先に部屋に帰る事にした。

須野昌もさっさと皿洗いをして部屋に戻った、香澄はもうすぐに寝れるがまだ起きている様だ。須野昌はシャワーを浴びてから寝る事にした。

その後は遠征なども行いながら新しいメンバーを迎え入れたり様々な事をして年末まで日は過ぎる。


同年12月25日

もう少しで冬休みになりそうな今日はクリスマス、須野昌は女の子と過ごすと思われていたがなんと香澄と一緒に過ごすと言う。香澄は少し驚いたがたまには良いだろうと一緒に遊ぶ事にする。


「晩飯どうする」


「うーん…食べに行こう」


「おっけ、じゃあ行くか」


須野昌はジャケットを着て外に出る、香澄も上着を着て一緒に外に出た。何を食べようか話し合っていると見覚えのある黄色の髪が視界に入ってくる、須野昌は無視しようとしたが香澄が話しかける。


「絵梨花ー!」


呼びかけられた事で二人に気付いた絵梨花は近付いてくる。そして「男二人でクリスマスか」とからかってくる、香澄はただ飯を食いに行くだけだと説明すると絵梨花がある提案をする。


「今から薫達とクリスマスパーティーするんだけど来るか?」


「いいの?」


「あぁ、薫も誘いたいって言ってたし。まぁ一応聞いてみるな」


そう言って携帯を取り出し電話をする、そして薫も賛同した様で二人は一緒にパーティーをする事になった。絵梨花に着いていくとそこは高等部のある部屋に着く、3-28と書かれた部屋の扉をノックし返事が来る前に開く。するとそこには薫、翔子、菊、兆波がいた。その瞬間須野昌と兆波がピタリと止まった、何故止まったかと言うと先日菊が言った通り兆波は彼女を須野昌に取られているのだ。


「ほーら連れて来たよ」


そう言う絵梨花は笑いが堪えきれない様だ、薫も菊も大爆笑している。翔子と香澄は性格悪すぎと思いながら黙っていた、兆波が正気を取り戻し座る様言う。その顔は笑っているが明らかにキレている、須野昌は冷や汗を垂らしながら正面に座る。


「じゃあ始めようか!なぁ須野昌!」


顔だけ笑いながらそう大きな声で言う兆波に笑いが堪えこれず翔子と香澄も少し体を震わせ始めた。そして楽しい楽しいクルシミマスパーティーは時刻十一時を持って終了したのだった。

帰る頃には須野昌は相当ゲッソリしている。そんな須野昌を励ますわけではないが香澄がクリスマスプレゼントを渡す、箱を開けてみると中にはマフラーが入っていた。


「お、いいな」


「僕が編んだわけじゃないけどね」


「それでも嬉しいもんだな…て俺何も準備してねぇや」


「別にいいよ、これからも一緒に遊んでくれればそれで十分」


須野昌はそんな事言ってくるとは思わず少しだけ照れた後鼻で笑いながら言う。


「そういうクセー台詞よくあるけどそれ普段からやってるからプレゼントにはならないだろ」


「いいじゃん!そう言う雰囲気を楽しむものだよ」


「そんなもんかねぇ」


そうからかう須野昌は大事そうにマフラーを着けていた、二人の楽しそうな背中を絵梨花は不安そうな目で見ていた。すぐには起こらないが生徒会に入っている以上何処かで強制的に別れがもたらされる事も少なくない、そんな事が起こった時二人は立てるだろうか、そんな事を気にしていた。

すると丁度帰る兆波が話しかける。


「あいつらの事気にしてんのか?」


「まあね。結構小さい時から仲良いから」


「大丈夫だと思うぞ、あいつらの世界は二人の世界だ。常に共有してるみたいな感じだ、だから片方が欠けても繋がってるんだからとか言って立ち上がる。俺にはそう見えるぞ」


「なーにカッコつけてんだい、私より弱いくせに」


「なんだと」


少し口喧嘩しながらも兆波の言葉を聞いて絵梨花は何かに納得出来た気がした、ただこれからはあまり良い事は無いのだ。辛い事が連続して降りかかる事になる。



第百四話「須野昌と香澄2」

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