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【完結】御伽学園戦闘病  作者: はんぺソ。
第五章「黄泉の王国」
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第百三話

御伽学園戦闘病

第百三話「須野昌と香澄1」


須野昌が出発して五分が経った、既に花園の手前まで移動できている。後は歩いて行こうと霊をしまい自分の足で歩き始める、そして歩いている最中に何故香澄が自らを犠牲にしてまで皆を守り、救出できるとなっても断ってレアリーだけを出して行ったのかをずっと考えていた。

どこか昔の記憶にヒントは無いかと記憶を一から探る事にした。


2003年6月12日

須野昌はまだ小学二年生だった、もう少しで夏休みだとワクワクしていた須野昌達のクラスに転校生が来ると噂が流れた。高等部や中等部とまれば日常茶飯事なので誰も気にしないが小学生は日常茶飯事でも楽しみなのだ。当時から能力を完璧に扱う事が出来てモテていた須野昌は可愛い女の子が来れば良いなと思っていた、そんなうるさいクラスを黙らせる様に先生が入ってくる。


「今日は転校生が来ます。どうぞ入って」


その声と同時に朱色に近い桃色髪をした少年が入室する、そして教卓の前へ歩いた所で自己紹介を始めた。


[諏磨(スマ) 香澄(カスミ)]です。『降霊術士』です。よろしくお願いします」


それだけ言って指定された席に着く、そしてそのまま朝のホームルームが終わり準備時間となった。当然香澄の席に皆群がっていく、ただ須野昌は男なのに微妙に髪を伸ばしていて気持ち悪いと思っていて気にも留めなかった。

ただ女子の視線を集めているのは気に食わなかったので先生が来て皆が散っていた所を狙い目にして香澄に放課後体育館裏に来いと言い放って自分も席に着いた。

何事も無く五時間目が終了して帰宅となった、小学生は家族がいる人は普通に家へ、家族がいなかったり兄弟だけだったりする人は小学生棟へ帰ることになっている。

香澄は須野昌に言われた事を帰る直前で思い出し訳の分からない場所を必死に歩いて体育館裏へと向かった。そこには須野昌が立っていた。


「遅えよ」


「ご、ごめん。それで…何の用?」


「お前ムカつくんだよ!」


須野昌はそう言って霊を出した、そして霊と一緒に殴りかかる。香澄はすぐに降霊術で狐を呼び出した、そして二匹の狐に防御させた。お得意の攻撃を受け流された須野昌は更に苛立ち攻撃の手を強めた、だが香澄はそれを全て受け流す。須野昌はヤケになって乱雑に攻撃を仕掛ける、一方香澄は冷静に全てを受け流す。そして須野昌が次の攻撃をしようとした所である者が仲介に入る。


「ストーップ」


その者が指を鳴らすと二人は何かに押され転倒した、喧嘩を止めたのは[幸徹 絵梨花]だった。彼女はストレートの長い髪をたなびかせながら二人に事情を聞く、そして須野昌に少し説教をしてから追い払う。舌打ちをして何処かに走り去っていった須野昌なんて気にせず香澄に話しかける。


「大丈夫か?」


「はい」


「…転校生か?見ない顔だな」


「今日転校してきた[諏磨 香澄]です。降霊術士です。」


「私は[幸徹 絵梨花]、六年生だ。とりあえず下校時間だから帰るぞ」


絵梨花は手を差し出す、香澄は掴み立ち上がる。そして鞄を取りに教室に戻る、その間にも絵梨花は学校の説明をしてくれた。教室に着き香澄が鞄を背負うと昇降口へと向かう、そして靴を履き二人で帰路に着く。

ふと絵梨花が寮か自宅か聞く、香澄は寮だと答えると絵梨花は何故島に来たのかも訊ねてくる。香澄は少し悩んだが言う事にした。


「親が死んだんです、迫害で。それで僕は生き残ったので島に来ました」


「そうか。まぁこれからは楽しい事だらけだと思うから楽しみのしとけ!」


「はい…後あの子は何であんなに僕を目の敵にしてたんですか?」


「あー須野昌か?あいつ小二で能力を完璧と言える程に扱えるからモテるんだよ、そんなんだから女子に転校初日で女子達に注目されてたお前が気に入らなかったとかそんなんだろ」


香澄は何か突っかかる、それは理論的なものではないが戦闘を交えて何か感じ取る事が出来たのだ。特に目立つ会話も無く寮み着いた、香澄は別れの言葉を言おうとしたが絵梨花も寮に入っていく。


「ん?どうした?説明受けてるだろ?」


「いや、絵梨花先輩も寮何だって」


「何か変な事でもあったか?後先輩とか着けないでくれ、気持ち悪い」


ひとまず二人は寮に入る、ただ階が違うので別れる事になった。それぞれ自分の部屋へ向かう。香澄は二階の2-14と書かれた部屋のドアを叩く、すると聞き覚えのある声が聞こえてくる。まさかと思いドアを開けてみると目の前に須野昌が立っていていきなり顔を殴られた、反撃しようとすると須野昌は既に自分のベットに寝っ転がっていた。

もう攻撃してこないならと香澄も部屋に入った。


「なんでお前と同部屋なんだよ、折角寮に入れたのに」


そう呟いていたので部屋を見渡して見ると確かにまだ使い古されていない部屋のようでどうやら須野昌も最近寮生活に切り替えたらしい。その事を聞いてみると「親と仲悪いんだよ」と言う、香澄はそう言う理由でも寮に入れるのかと思いながらほぼ無い私物を置いていく。すると須野昌が口を出して来た、少し面倒だなとも思ったが何だか一緒に配置を拘っていると楽しくなってくる。

結局は須野昌もガキで喧嘩した事など忘れた様に楽しんで配置を決めた。あっという間に時間は過ぎ消灯時間の二十二時だ。とりあえず香澄はシャワーを浴びて寝ることにした。


同年同月13日

二人は目覚まし時計の音で起きる、テキパキと身支度をして学校に向かおうと部屋を出て玄関まで行くと絵梨花が待っていた。絵梨花は昨日喧嘩していたのにも関わらずもう仲良くなっている二人を見て邪魔になるかなと思い先に行ってしまった。香澄は意味が分からず頭に?を浮かべていた、須野昌はさっさと行くぞと手を引く。

学校へ着き教室に行くと早速二人に人が群がる、昨日の喧嘩の事がもう広まっているのだ。須野昌はクラスメイトを退け席に着いた。それと同時に先生も入って来たので全員大人しく席に着いた。

何事も無くホームルームも終わり給食の時間になった、須野昌は普段女の子と食べているのだが今日は香澄を誘って一緒に食べる。


「うーん微妙だな」


「そう?結構美味しいよ?」


「あー俺ずっと島で暮らしてるから舌が肥えてんだよ」


「それ自分で言う?」


「まぁちゃっちゃと食おうぜ」


二人は給食を食べ終え昼休憩を取る、暇だったので学校内を案内する事にした。歩いていると六年生の教室にいる事に気付く、教室を覗いてみると絵梨花が友達と話していた。すると絵梨花が二人に気付き近寄ってくる、学校を案内していると伝えると飴を二人分くれた。二人は飴を舐めながら再び学校中を歩き始めた、そして昼休憩終わりのチャイムが鳴ったので急いで教室に戻った。

をのまま五時間目が終わったので一緒に寮に帰る、部屋に帰ると須野昌はすぐにシャワーを浴びに行った。香澄は夕ご飯は何にしようか悩んでいた、するとシャワーを浴び終わり出て来た須野昌が飯は共通の食堂にでも行くと言う。香澄は先にシャワーを浴びてから夕ご飯を食べる事にした。

シャワーを浴び終わり二人でフードコートのような共通食堂へ向かう、時刻は十九時を回っていたので大分人数がいる。どこに座ろうか悩んでいると二人を見つけた絵梨花が声をかける。


「おーい!ここ座れよ!」


二人は一人寂しく食べていた絵梨花のテーブル席に座った。そして須野昌は好物の麻婆豆腐定食を頼み香澄はカレーを頼んだ、二人はガツガツと食べる。香澄は初めて食べたカレーに感動している。

絵梨花は食べている二人を見ながら学校で何かあったか聞く、二人は特に何も無かったとひたすら飯を食い続ける。食べ終わり軽く雑談をしてから部屋に戻る。

二人はこうして次第に仲を深めていくのだ。



同年7月31日

明日からは待ちに待った夏休みだ。二人は何をしようか話し合っていた、すると誰かにドアをノックされた。そして灼が扉を開けて入って来た、灼とはこの一ヶ月間で仲良くなったのだ。

そして灼は先生に須野昌は補習があると告げられる、須野昌はこの世の終わりの様な顔をして落ち込む。香澄は慰め補習が終わってから遊べばいいと言った。この頃にはもう喧嘩した事など忘れて一番の友達となっていた。

須野昌は友達はいたが皆そこまで仲良くなれなかった、それは須野昌のプライドから来るものだったのだろう。だが同じぐらいの強さである香澄と灼とは価値観が合ってここまで仲良くなれた。


「じゃあそう言う事だから〜」


灼は部屋を出ていった。二人は気を取り直し補習の事も考慮しながら何をしようか再度考える事にした。

そしてここから数年は何も無くただの能力者と生きていた。


2008年10月2日

二人は中等部に入り寮も変わった。この頃は須野昌が女遊びに一番ふけっていた時期でもあり一番話さなかった時期だ。だが仲が悪くなったわけでは無く単純に起きている時間が合わなかったのだ、ただ二人とも能力の訓練だけは欠かさずドンドン腕を磨き来年には生徒会に入るのも夢では無いとも言われていた。そんなある日普通に授業を受けていた香澄に高等部に上がっていた絵梨花が話仕掛ける。


「香澄ー?なんか薫が呼んでるぞー」


薫は最強と言われ学園で知らない者はいなかった、そんな薫に何故呼ばれたのか疑問に思いながらも絵梨花に着いていく。すると向かっている先が段々分かってくる、それは生徒会室だ。絵梨花は「入るぞー」と言ってから扉を開ける、部屋の中には生徒会長席に堂々と座る生徒会長[華方 薫]とその横に立っている[大井 崎田]がいた。


「な、何で僕が生徒会室に?」


「まーだ分からんのか、お前を生徒会に入れたい」


香澄は驚きのあまり声が出ない。だが一番気になるのは須野昌はどうなるのかだ、口を開く前に絵梨花が「須野昌も、だけどな」と言った。香澄は嬉しさのあまりへたり込んでしまった、そんな香澄に絵梨花が手を差し伸べる。初めて会った時とは全く違い絵梨花は髪を結び眼鏡をかけ香澄も小さなサングラスをかけたり身長も逆転していた。絵梨花は身長が負けている事を少し気にしている様だ。


「クソ、やっぱ負けてる…あ!そんな事より須野昌に伝えてくれよ。あいつ最近学園来てないだろ?」


「そうですね。女の子と遊んでばかりで」


「伝えてくれると助かる、後これメンバーの名前表だ」


そう言って薫が二枚プリントを渡す。そこには現生徒会メンバーの名前が書かれていた。2012年でも生きているメンバーは薫、絵梨花、崎田、香奈美、影、菊、兵助だけだ。

とりあえず香澄は教室に戻る、早く須野昌に話したいが帰ってくるのは深夜の二時ぐらいだ。ソワソワしながら授業を終え寮に戻った、いつも通りシャワーを浴びご飯を食べ待ち続ける。

時刻が二時を回った所で須野昌が帰ってくる、すぐに詰め寄り言おうとするが焦り過ぎたせいで咽せる。


「落ち着けよ」


「ご…ごめん。それで!それで!僕達生徒会に誘われたよ!」


「…マジ?」


「大マジ!」


「嘘じゃないよな?」


「嘘じゃない!」


「よっしゃ!!!」


須野昌も滅茶苦茶喜んでいる、夢だった生徒会に入れる事に浮かれうるさくしていたが両隣の人は内容を聞き文句を言わなかった。そしてそのままオールをしてしまった。


同年同月3日

二人はいつもより何分か早く学園へ向かう。すると薫が同時に登校していた、薫は二人を見つけると話しかけに行く。須野昌は生徒会に誘ってくれた事を感謝するが薫は「絵梨花が推薦したから感謝するなら絵梨花だな」と言う、二人はすぐにでも絵梨花に言いたくてウズウズしている。


「落ち着け、とりえあず放課後に生徒会室に来てくれ」


そう言って薫は何処かに行ってしまった。二人は学園に入り別々の教室へ向かう、中等部一年で生徒会に入れるなんて事はすぐに広まっていて二人ともそれぞれ注目を集めた。

放課後になり二人は待ち合わせずとも同時に生徒会室の前に来ていた、ノックをしてから扉を開けるとほぼ全員が集まっていた。そして菊は須野昌をジロジロと見てから思い出したようで口に出す。


「お前あれじゃん!兆波の彼女奪ったやつ!」


その一言で場はヒエッヒエになる、とりあえず座る様促され空いている席に二人で座った。それと同時に生徒会の説明が始まる、長い説明が終わる頃には十九時になっていた。もう外は暗くなっていたので今日は解散となる、全員ドンドン退室する。絵梨花も帰ろうとしたが少し財布を漁ってから香澄と須野昌に近寄りある物を渡す。


「最近話せてないんだろ?飯でも行ってこいよ」


渡して来た物は五千円札だった。二人は感謝してから飯を食いに行く、たまたま空き地にあった屋台ラーメンを二人で食べる。久々に二人で食べた飯は一人で食べるより何段と美味だった。

そして二人は少し散歩をする、その時に香澄がこう話す。


「僕死ぬなら須野昌が見てない所で死にたいな」


「何だよ急に」


「悲しんでほしくないから」


「…いやでもそれ結局死んだって分かるから意味なくね」


「そうだけどさ、なんか死ぬ所を見られたくない」


「まぁ俺らは老衰で死ぬさ」


「そうだね」


そんな話はやめ楽しい話をし始めた。最近話せていなかったので話題は尽きなかった。そうして寮に着きシャワーを浴びるとオールだったのと新しい情報を詰め込んだせいで疲労していたせいで死ぬ様に眠りに着いた。

二人はこれから生徒会メンバーとして努力を重ねるのだ。



第百三話「須野昌と香澄1」

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