ある日のメークとクレアス 番外編
「ねぇ、メーク。話があるんだけど…。」
真剣な顔をして私を見つめるクレアスに少しだけドキッとした。
「何ですか?」
そっぽを向きながら聞いてみる。
「うん。ずっと思っていたんだけど、確信がなくて言えなかったの……。」
クレアスは何を言おうとしているのか。
胸の高鳴りを抑えるように紅茶に口をつけ、次の言葉を待った。
「ハデス様ってサクラを好きよね?女として。」
「ゴホッゴホッ!!」
「何よ、汚いわね。」
私としたことが、クレアスに何の期待をしたのか…。
そもそも今さらクレアスになど、ありえない。
「知らなかったんですか?」
クレアスを横目にため息を吐いた。
「あなた知っていたの?」
「知っているも何も、一目瞭然。あなたは女のくせに、そういうのが鈍いんですね。」
鼻で笑われたクレアスが私に詰め寄る。
「あなたこそ、男のくせに敏感なんじゃなくて?
そもそもメークが男だなんて思ってもいないけど。」
……。
さすがに腹が立った私は、クレアスの腕を引き、いわゆる壁ドンとやらをした。
「いとも簡単に壁と私に挟まれるのに、私が男じゃないと?」
クレアスとの距離をグッと詰めた。
「ちょっ、どきなさいよ!
メークのくせに生意気よ!」
私を見上げたクレアスの顔が真っ赤に染まった。
自分の顔が途端に熱くなるのを感じて、思わず顔を逸らした。
しまった…
してやられた。
「何してるの?2人とも。」
突然の声に目を向けると、サクラ様と…ハデス様。
「サクラ、大人にその質問をしてはいけないよ。」
クレアスから急いで離れた私。
「決してクレアスとはそのような仲では…。」
否定をするもハデス様が私の肩を叩いて言った。
「但し、サクラには見せないように。」
優しく微笑むハデス様が恐ろしい。
なんたる失態。
って、仲良く手を繋ぎ部屋から出て行った2人を見た私は叫んだ。
「(ハデス様も)
館内でベタベタするんじゃありません!」
聞く耳を持たない2人にため息を吐く。
「メークったら、調子に乗るからよ。」
クスクスと笑いながら部屋から出て行くクレアス。
さっきの赤くなったクレアスを思い出す。
……
調子になど乗っていない。
私としたことが、クレアス相手に油断しただけ。
あのクレアスが可愛く見えたことは誰にも内緒。




