表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冥府に咲く花  作者: rumi
19/66

ゼウス様

「ハデスがあんなにモテるなんて知らなかった。」

「何言ってるのよ。あんな美形そうはいないわよ。」

「そうなの?」

「まったく、近くにいすぎて見えてないんだから。」

「でも、メークだって美形だよ?」

「サクラ様に言われると特別に嬉しいですね。」

メークの微笑みをクレアスが阻止するように言った。

「メークとハデス様は全くの別物よ!」

メークの顔がたちまちひきつる。あーあ、また始まった。いい加減見慣れた2人のやり取りを見ていた。

それにしてもここはなんて華やかな場所なんだろう…それに綺麗な女の人ばかり…お茶会が終わったら話したりするのかな…ヤダ…

ん?ヤダって何だろう。この気持ちはーーー?

「今日も不安げな顔してる、この前と同じだね。」

不意にかけられた言葉に驚いて見ると、そこにいたのは、

「え?あの時の猫さん?」

そう、この前私の部屋にきた黒猫が私の顔を見上げていた。

「それにしても、あの2人はいつもあぁやって痴話喧嘩をしているの?」

言い合いをし続けているメークとクレアスを見て、呆れぎみに言った。

「うん。それより猫さん、ここにいるってことは、やっぱりあなた神様とかそっちの類いなんだよね?」

すると、猫はあの日と同じように言った。

「さぁ、どうだろうね。知りたいなら僕についておいでよ。」

猫は行ってしまった。チラッとメークとクレアスを見る。少しだけ離れたって大丈夫だよね?ハデス、怒るかな?でも…

「私のそばから離れるなって言ったくせに…。」

私は猫の後を追った。



「あれ?困ったなぁ。猫さんどこ行っちゃったんだろう?」

ここがオリュンポス宮殿なのかな?猫が入った扉に私も入った、まではいいんだけど、どうやら見失ってしまったらしい。知らない場所に一人ぼっち…不安にならないわけがない。

気付けば涙が頬を伝う。

「どうして泣いているの?」

そう言って私の頬に触れたのは、優しく微笑むハデスによく似た男の人。多分この人が…

「ゼウス様?」

その人は一瞬驚いた顔をして、

「いかにも。」

と、少しだけ切なく笑った。

あれ?この表情…それに、瞳の色もこの声も…私が探していた、

「ゼウス様は猫さん、でしょう?」

「それも、正解。よく分かったね。」

「ゼウス様の表情が、あの日の猫さんと同じだったから。」

ゼウス様が首をかしげる。

「寂しそうな顔してた…。」

「ハハッ、寂しそうな顔?

僕はもう一度サクラちゃんに会えて嬉しいけどな。」

「でも、ゼウス様が会いたいのはハデスでしょう?」

すると、ゼウス様は言った。

「どんな顔をして兄さんに会ったら良いか分からないんだ。もしも拒絶されてしまったら…。」

「拒絶なんてしないよ!ハデス、冥王で良かったって言ってたよ。」

「本当に?」

「本当だよ。」

「もし本当なら、あの日の僕を許してくれるかな。」

「ハデスはきっと許すも許さないもないって言うよ。だからね?もう自分を責めなくていいんだよ、ゼウス様。」

私は目一杯背伸びをしてゼウス様の頭を撫でた。ハデスがいつも私にしてくれるやつだ。私はハデスに頭を撫でられるのが大好きなの。

「まいったな…。」

ゼウス様は少しだけ照れたように笑った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ