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試作7話

「こんなもんか」

 車両の荷台に回収した核と、切断した胴体を載せて様子を見る。

 ピックアップトラックの形をした車両は、それなりに荷物を載せられる。

 しかし、倒した敵の全てを持ち運ぶ事が出来る程ではない。

 撃破した捕獲機全部を持ち運ぶには、同じような車両があと何台か必要になる。

 それだけの車両を動かす人手がいれば良いのだが、現在そんな人数はいない。

 一人でどうにかしていかねばならない。

 なので、一度に手に入れる事が出来る量には自ずと限りが発生していた。



 問題はそれだけではない。

 燃料の消費と、手に入れる事が出来る核の数を考えると、どうしても無駄が大きくなってしまう。

 敵があちこちに分散してる為であるが、そんな敵の所まで移動するだけでかなりの燃料消費になる。

 無茶をした核を手に入れても、これでは割に合わない。

 下手すれば、移動で消費した分をまかなって終わりになる事もある。

 このあたりの効率をもう少し改善したかった。



『こちらから発信をしたらどうだ?』

 解消する手段はないかと相談をしたら、そんな事を言われた。

「なんだそれ?」

『言った通りだ。

 こちらから保護を求めて呼び集めれば、向こうから集まってくる』

 考えてみれば当たり前の話である。

 相手は保護を理由にして行動をしている。

 ならば、救援を求めればやってくるのは道理だ。

 野郎と思えば簡単におびき寄せる事が出来る。

「そんな方法があるとは……」

 逃げる事を考えていたので、こちらから何かを発信しようとは思っていなかった。

 だが、相手を引き寄せることを考えれば、こちらから居場所を知らせる事も手段の一つになる。

 使い方次第では有効な手段になるだろう。



 早速準備に取りかかる。

 おびき寄せるのだから、それなりに戦闘をこなす事になる。

 武器と弾薬は可能な限り多く持っていかねばならない。

 それなりの数を倒すのだから、出来るだけ多くを要しなくてはならない。

 持ち運べるだけの量を車に積み込んでいく事になる。

 場所も、寝床としてる場所から出来るだけ離れた所を選ぶ。

 様々な物資を集めた場所を見つけられたら大変な事になる。

 今までの努力が無駄になるような事を避けるためにも、出来るだけ離れた所に敵をおびき寄せねばならなかった。

 同時に、今回の作業の目的を絞る。

 目的は核の入手に絞る。

 残骸も出来れば集めたいが、それは切り捨てる方向でいく。

 幸い、今まで頑張った分があるので、早急に原材料になる残骸を集める必要はない。

 今はまず燃料の回収を優先していかねばならなかった。



 必要なものを積み込んで車を走らせる。

 そのまま目的地である場所まで移動を開始する。

 距離にして三千キロ。

 かなり離れる事になるが、それでも安心できるという程でもない。

 敵の行動範囲や探知能力を考えると、どれだけ距離置いても不安は残る。

 だが、燃料の残量を考えればこれ以上遠出も出来ない。

 全ては燃料をもっと確保してからである。



 目的地に到着後、すぐに照明弾や発煙筒を使って居場所を示す。

 こんなもので問題は無かった。

 何かしらの存在を示すものが発せられれば、調査のために機械が派遣される。

 あとはそれらが近づくのを待つだけである。

 ただ、何がどれくらいやってくるかは分からない。

 そこは運頼みになる。



「成功するかな」

 不安と疑問を口にする。

 すぐ隣にあらわれてる立体映像は、

『分からない』

と答えた。

『何がどうなるのかは確定していない。

 その時の状況と努力、運で変わる』

「運……ねえ」

 それを聞いておかしくなった。

「これだけ発展して、魂まで操作できるよう文明なのに、運頼みなのか」

『全ての事象を計算で導き出す事は出来ない。

 想定しうる全てを凌駕する何かは常に発生していく。

 ほぼ確実な計算結果を出しても、それが全てという事は無い』

「やりようによっちゃ、どうにかなるって事か」

『その通り』

 やけに不安定であるが、それが今はありがたい。

 どれほど不利でもやりようでどうにかなると思えるのだから。

「じゃあ、運に賭けてみるか」

『君自身の努力も加えてな』

「ついでにあんたの協力も」

『及ばずながら』

 そんなやりとりが、敵の接近まで続いていった。



 それから数日。

 いつもより多くの敵を倒し、いつもより多くの核を手に入れた。

地味な話が続いてますが、ご容赦を

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