試作6話
もうちょっと続きを書いてみようと思った。
一カ所にとどまれない生活が続く。
捕獲から逃れるために常に移動をしていかねばならない。
追っ手を撃破することも出来るが、そうそう何度も争ってはいられない。
逃げられない場合はともかく、出来るだけ接触は避けねばならなかった。
戦闘だろうがなんだろうが、接触すれば捕まる可能性が出てくる。
もしそうなってしまったら逃れる事は出来ない。
自分一人だけしかいないから、助けが来る事も無い。
安全を考えれば可能な限り逃げるしかなかった。
ただ、それだけではどうしようもないのも確かである。
「やっぱ、どっかで奴らを倒すしかないのか」
車両を運転しながらそんな事を呟く。
『燃料の残りなどを考えるとそうするしかない』
「面倒だな。
自動的に作ってくれる所とかないのか?」
『現在、我々の手の中にはない。
そういった所の周辺は、敵が周囲にいる事が多い。
手が回ってないのは、材料を持ち込む形式の所だけだ』
「あちらさんもちゃんと考えてるのか……」
考えなしに行動してるわけでないのは伺えた。
こちらが何を必要としており、どうしなければならないのかをしっかり理解してる。
理解した上で、必要な部分を占拠している。
こちらがいずれ出向かざるえないのを理解してるようだった。
「でもさ、それだったらなんで全部を占領してないんだ?
それくらいしても良さそうなもんだけど」
『あちらの管轄外だから手が出せない。
また、管轄外なので正確な位置を分かってない』
「そういう事か。
でも、見つけようとはしてないのか?」
『見つけても占拠は出来ない。
利用者の利便性を阻害する事は禁じられている』
「なるほど」
妙な所で律儀であった。
そういう風に作られてるからかもしれなかったが。
『ただ、周辺を警戒する事は出来る。
周辺が危険な状態になってる可能性は高い』
「なんだ……」
少しは楽が出来るかと思ったがそうでもないようだった。
やはり、衝突は避けれそうもなかった。
「じゃあ、やるしかないか」
あちこちから集めた燃料や生活用具、車両などは、出来るだけ一カ所に集めるようにしていた。
分散していたら不便な事この上ない。
必要な物を回収しにいくのに、一度に数百キロも移動しなければならないのは手間がかかりすぎる。
なので、出来るだけ資材は回収しておく事にした。
その移動だけで燃料を消耗し、新規で生産しなくてはならなくなってしまったが。
やむをえないとはいえ、この消耗は大きい。
必要経費とはいえ、これにより敵との戦闘を避けられなくなっていく。
まだまだ幾らか余裕はあるが、早めに燃料を補給していく事にした。
ギリギリになって慌てるよりは、幾らかの余裕があるうちに行動しておきたかった。
回収した敵の残骸から再構成した武器や弾薬などを持ち、敵を求めて動いていく。
こちらを探してうろついてるので、見つけるのはそれほど難しくはない。
立体映像で出てくる存在からの情報もある。
基本敵に相手は保護対象(と言ってる捕獲対象)が見つけやすいようにしている。
保護を求める者に見つけてもらうためであり、当然の措置ではあった。
おかげで見つけるのはそれほど難しくはない。
問題なのは、常に複数で行動してる事だった。
そのため、遠距離からの攻撃は欠かせない。
接近するまでに一体ずつ確実に仕留めていかねば不利になる。
動き回り、敵の攻撃範囲外から射撃をしていく。
そうしていかないと、捕まる危険が大きかった。
そうやって倒した敵から、燃料である核を手に入れていく。
残骸も持ち帰り、分解して道具の材料などに変換していった。
当面必要になる日用品から、戦闘で必要になる武器や道具まで様々な物を作っていく。
燃料もそうだが、とにかく無いと困るものが結構ある。
それらを一つ一つ用意していかねばならなかった。
生活に必要な道具などは割と揃っているので自分で用意する必要はない。
しかし、戦闘で必要になるようなものまで用意されてるわけではない。
当たり前だが、ここは永遠の生命による生活をするための場所である。
一部の例外を除き、戦闘に必要なものなど存在するわけがなかった。
「まあ、こんなもんか」
ある程度準備が出来たところで車に乗り込む。
「連中の居場所は分かるか?」
『二千キロほど離れた所にいる。
いつも通り四体編成だ』
「じゃ、行くか。
案内頼むぞ」
『承知した』
助手席に座る(?)立体映像の返事を聞いてアクセルを踏み込む。
狩りの始まりである。