02・少女達の因縁に首を突っ込むとか、それ俺の死亡フラグになってませんかねぇ? Bパート
じゃじゃじゃじゃじゃじゃ~ バクシ〇ガー♪
「う、うわぁぁぁぁん!」
すわ、突然慟哭の声が!?
しずくちゃんの泣き声か? と思いきや、未だ鏡を見て呆然としている姿だけであった。
では誰が? と、見ると明乃嬢の取り巻きの一人、ショートカットの少女が、大声を上げ泣いていた。
そして、突然、
しずくちゃんに対して突進を開始した。
「なんで!? なんで今更、その傷直しちゃったのよ! あんたの傷は、あんたのきずはぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
未だ呆然としていたしずくちゃんの胸倉を掴み振り回すショートカットの少女。流石に慌てた先生が
「やめなさい! やめなさい倉田さん!」
ショートカットの少女をしずくちゃんから引きはがそうとするが、いかんせん体格で負けているため、うまくはいかない。
「痛いっ! 痛いっ! ゆるして、く、らたさん!」
「お願いです! ゆうしゃさま。倉田さんを止めて!」
嵐のような倉田さんの慟哭に振り回されながら助けを求めんとする先生としずくちゃん。
「止めるんだ。落ち着いて!」
何とか倉田さんの後ろから羽交い締めにして暴走を止めるが、少女とは思えない凄い膂力で俺から逃れようとする。どうやら彼女の加護は体力系だったらしいな。止むを得んか。多少強引な手を使ってでも・・・
「何事ですか? 勇者様?」
「丁度よかった。ジョゼ! この子に眠りを!」
今一理解していないながらも入場してきたばかりのジョセフィン王女はそれでも俺の願いを聞き入れ倉田さんに眠りの魔法を掛ける。
「荒ぶる魂に一時の平穏を。スリープ!」
大荒れの少女はぷつんと電池が切れたように突然止まると直ぐに平和な顔で眠りについた。
「皆様、お騒がせいたしました。今しばらくで王も参られます。それまで御歓談とお食事をお楽しみ下さいませ」
流石は王女。荒れた場の空気を掌握したと思ったら直ぐに平常を取り戻してしまった。こういうのは、俺みたいな俄かVIPには及ばない所だな。
「それにしても、彼女はどうしたのですか? 先生」
俺はお姫様抱っこで倉田さんを壁際のベンチに寝かせながら保護者に問いかける。
「一言では言い表せないのですが……勿論、ゆうしゃさまが悪いわけじゃありませんし、当然相川さんも。でも、この倉田さんもある意味では被害者と言ってもいいですし、ごめんなさい。本当に話せば長くなることで……」
まぁ、無理に今聞き出す気も無いが。流石にこの事態は予想外だったのか、明乃嬢やその取り巻き達もフリーズしている。かなり動揺しているようで、こちらに聞く事も無理そうだな。
「そのうちお聞かせ頂ければ幸いです。しずくちゃんもごめんね。辛い思いを返ってさせてしまった」
「そんなことないです!」
出会ってから初めてはっきりとしゃべってくれた。
「頬の怪我、直してくれてありがとうございます。嬉しくて、信じられなくて、もう一度触ったら次は傷跡があったなんて事になりそうで、怖くて。ずっと、2年もの間直す事もできなくて……」
そう言って嗚咽を洩らすしずくちゃん。一つだけ確実に言えるのは、直して良かった、って事だけだろうな。だが、しかし……