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幸せ♡ロリコンえんぱいあ♡  作者: おまわりさ~ん こいつです~
第一章 7年生たちの憂鬱
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06・普通のチーレムものなら上がりの話ではあるが、ここで盛り上がれないのは仕様なので許してちょんまげ! Aパート


<一年前>




 俺達が【第四次異世界勇者召喚の儀】によって召喚されてから約2ヶ月。遂に俺達は魔王領に進軍する事になった。勇者48人とその護衛兼兵站担当兼監視の騎士と各地より集められた兵士計1万5千人はアルセニ辺境伯領を出発した。


 ぶっちゃけると、俺の勇者としてのステータスは全くと言っていい程に戦闘向きではない。当初、俺の勇者としての評価は48人中48位という惨憺たるありさまであった。他の勇者たちが早期から実戦で輝かしい戦果を挙げていたのに対し、俺の場合は一撃の破壊力こそ膨大なものであったが、それを発動するまでに時間がかかり過ぎて実戦向きではなかったのである。俺の幼馴染からも、


「あんたはあたしが守るから、何も心配しないでいいわよ! あ、そうそう、料理番位はみきと二人で受け持ってよね。やっぱこっちの味付けはあたしには合わないわ。あんた達の料理を食べてないとあたしの体調がおかしくなっちゃうわよ。あ、でもカロリーは控えめでお願いよ」


 とか、完全に戦力外の料理番扱いであったのだ。そう、それ以外は期待出来ない、無能のレッテルを周囲からも貼られていた。


 当時の俺のパーティーは順位で言う所の第12パーティー。悪い言い方をすれば、余り者同士のパーティーだった。


 俺の幼馴染 「金子りえ」 癖のあるショートカットの栗毛がチャームポイントのエクスプローラー。身長143cmのちんちくりん。故にか、非常に凶暴な性格でキレると手が出るツンギレ。双剣で手数が多くスピードは半端ではないが一撃の重さが不足。大型の魔獣相手では分が悪い。


 勇者最年少の14歳 「小山内桜」 黒髪パッツンのロングヘアが愛らしい回復職パラディン。おっとりとした性格ながらグロ耐性が高く、魔物の解体も進んでやるタイプ。魔力が魔法職としては少ないのがネックで回復魔法一発でガス欠になる上、性格的にも色々残念なぽんこつ聖女である。


 中卒の職業家政婦 「早川みき」 正統派ポニーテールのメイドアサシン、但し気弱。性格的に自信が無く、そもそも闘いに参加させて貰えていなかった。故に敵を倒した事が無く、正直そのまま魔王領に連れて行くことすら憚られる位だった。元俺んちの家政婦故俺を御主人様呼ばわりしている。


 そして、俺はというと、魔力は多いものの土魔法のみに特化された実戦向きではない適性で、精々が土で防壁を作ったり、塹壕を掘ったり、ベースを作成する便利な工兵という程度の扱いだったのである。


 俺としては全員身長150cm以下で見目麗しい女子ばかりのハーレムパーティーのリーダーという美味しい役どころであるが、いざ実戦となれば、見た目だけでも火力不足のこの面子では全員他に引き取りを拒否されても仕方のない微妙な存在ばかりである。そう、この時点では。




 転機となったのは正に進軍の日当日。そう、あの勇者全滅の原因となった魔獣の大量発生だった。


 アルセニ辺境伯領から魔王領との狭間にある渓谷を抜け、予定通り全軍が展開できる地点で最初の陣地を形成した俺は、その後、この陣地を恒久的なセーフティベースとする為、陣地を土魔法で成型している最中の事であった。敵魔王軍に対する警戒に当たっていた他勇者たちの間隙を突いて魔物の群れによる背後からの奇襲攻撃を受けたのだ。


 ゴブリン、オーク、オーガなどの魔物が大発生していたという事実は後になって知ったのであるが、それらがある巨大な魔獣の魔の手から逃れる為に大挙して俺達の陣地作成中に飛び込んできたのだ。しかも、それら魔物に対して緊急迎撃で迎え撃つ領兵団の背後からは魔物が逃げて来た巨大な魔獣の死の足音が近づいてきた。


 玄武


 中華思想の天の四方をつかさどる神。東の青竜(せいりゅう)、西の白虎(びゃっこ)、南の朱雀(すざく)と並び称される北の玄武(げんぶ)と呼ばれる聖獣。カメの甲に蛇が巻きついた姿の巨大な魔獣である。


 この世界にはその玄武にそっくりの魔獣が居る。それも、ある特定の周期で大量発生する。


 成獣になると全長120m、体重16万t。一体でもこれだけの質量でしかも表皮は固い。ちょっとしたタンカー並のガタイの陸上生物とか。どんな無理ゲーだよ! しかもそれが大量発生したときた。しかし、ある程度世界を蹂躙し終わると人知れずどこかにと去って行く謎の生態を持つ魔獣の大行進。だが、よりによって今回は俺達、と、いうか、出撃直後の領兵団がその餌食になったのである。この時は全長約30m、体重1万t程度とまだ幼生体といっていい体格であったが、それでもそれが百数十体である。どちらにしろ救いが無い。こんなものが魔王領から大トライアスロン大会を開きながら辺境伯領へと迫っていた。これが人里へ行ってしまったらどれだけの被害が出るだろうか?


 迎撃に出た勇者たちの攻撃が通らない。絶望的なまでの堅さで全ての攻撃を跳ね返す。質量を考えれば無視は出来ない。が、攻撃したとて効果は無い。人海戦術でどうにかなるものでもなければ、人の身で最大の火力を以ってしても蚊が刺した程にしか効果は無い。しかも、その間隙を襲い、モンスターや巨大バッタも襲ってくる。俺達勇者も、魔王領侵攻軍の兵士たちも、何もする間もなく詰んでいた。


「かったーい! どういう事よ? あたしのスキルでも傷も入れられないとか!?」


 先行して一戦して来たりえのぼやき節に俺達を監視していた騎士の一人が呟いた。


「あいつの甲羅は、アダマンタイトの塊みたいなものだ。貫こうと思ったらオリハルコンに魔法の加護でもなければ……」


「……じゃあ、私たちの武器では攻撃しても無駄ってことですか?」

「そ、そんなっ!?」


 桜もみきも、何もしないまま詰んでいる運命に絶句している。


「あいつらの頭に届くなら何とか攻撃を入れられるのだが……」


 騎士はそう言うが、それは、体高20m近い高さをどうにかできなければ叶わないだろうな。


 ミスリル製とはいえ、他の勇者の装備より一枚劣る俺達の武器では歯が立たない。しかも、その巨体そのものが防壁である。


 とはいえ、このドン亀の移動スピードは時速1.5キロ程の移動。秒速41cmで進む程度のスピードである。


 ここで天啓がひらめいた。俺なら殺れる。いや、俺以外に対処できる人間は居ない。


 俺の【権能】は土魔法である。とはいえ、灰色ねずみの人みたいにそれ程までには魔力に恵まれなかったこと、結果としてレベルを上げる機会に恵まれなかった事が災いして、この日までに俺は実戦に使える程のスキルは得られなかった。また、発動も遅く、一つの土魔法を発動するのに実に3分近い時間がかかる。ウルトラマン帰っちゃう程の時間が必要な為、それまで待ってくれる敵などいなかったのだ。


 だが、こいつらは俺のカモだ!


 こいつらなら3分全力移動しても72m程しか移動できない。予めその範囲を俺の魔法の範囲に指定しておけば逃げることは叶わない。と、なれば俺には殺れる。


「あの亀は俺が殺る! みんなは他の魔物に対処してくれればいい」


 そっちも大凡5万以上の大軍である。こちらの三倍以上。生半可な数ではない。既に先行していた勇者の数人は物量に飲まれて行方不明と聞く。


 俺は魔力の限界まで土魔法で玄武のいる地面を隆起させた。5m、10m、20m、30m、魔力切れである。俺は魔力回復剤を飲みながら更に土魔法を行使する。50m、再度魔力回復剤を飲み地面の隆起を続ける。100m、魔法の使用により俺の魔力が育ちつつある。200m、すげぇ! ここまで魔力が伸びているのか? 300m、400m、500m、段々とハイになってきた。600m、700m、800m、タイムリミットの三分が近づく。900m、1000m、遥か高くにそびえ立つ隆起した岩山の上にぽつんと玄武が所在無げに立ちつくしている。しかも、先端の方は面積も狭くなっている。再度魔力回復剤を飲み駄目押しとばかりに土魔法を続ける。遂に高さ3000mを超えた処で、


 ヒュー――――――――――――――――っ、ドンガラガッシャァァァァァァァァァァァァァァァン!!


 憐れ玄武は転落した。巨大なクレータ一を作り、更には崩壊した土魔法のタワーの下敷きとなっての一撃死であった。


 レベルがあがった!

 レベルがあがった!

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 レベルがあがった!

 レベルがあがった!

 レベルがあがった!




 

 結局、この一頭で10程だった俺のレベルは一気に44まで跳ね上がる。当時最高戦力と言われていた他の勇者のレベルを一撃で超えた。


 無理もない。その最高戦力ですら傷一つ入れられなかった巨大な魔物を屠ったのであるから。


 この世界、レベルが上がるとHP、MPが回復するのは仕様であるらしく、俺はほぼ空っけつだったMPを回復し、それどころか、俺史上最大のMPを保有してしまった為、元気過ぎて鼻血を噴いてしまった。

 それにしても、力がみなぎる。今なら残りの玄武も全部殺れるんじゃないか? 


 どちらにしろあれを放っておく訳にもいかない。誰も出来ないなら俺が殺るっ!


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