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1章 8話:冒険者ギルド

8話:冒険者ギルド


「こんにちは」

「おや、あんたかい。随分と綺麗な子を連れてどうしたんだい?」

 昨日、馬小屋を貸してもらった宿屋のおばちゃんの所へと来た。

「昨日のお礼に少しばかりの物を持ってきたのと、お願いがあって……あ、こっちは俺のツレのクレア」

「こんにちは、昨晩は私のアキ君がお世話になった様でして、ご迷惑をおかけしました」

 ん?何かおかしくないか?とりあえず俺はおばちゃんに麻の袋に入れてきた調味料を渡した。

「あんた、こりゃ塩じゃないか!?それもこんなに?」

「昨日のお礼って事で遠慮なく貰ってよ。それと冒険者ギルドの場所を教えて欲しいんだけど……」

「そ、そういうなら本当に貰っちまうけど……ん?あんた冒険者になる気かい?冒険者ギルドならこの道を真っ直ぐ行って右に曲がった突き当たりだけど……

 そんな綺麗な彼女がいるんだし、もっと安全な仕事を探した方がいいと思うけどね。なんならウチで雇ってやるけど?」

「折角だけど、俺らも考え無しに冒険者になる訳じゃないから……気持ちだけ貰っておくよ!ありがとね」

「では、失礼致しますね」

 振り向くとおばちゃんが大きい声で「今度、夕飯でも食べにきなー」と言っていた。この街が好きになれそうだ。

 それにしても……クレアを見て彼女ね。俺つり合ってないでしょ。

「ふふーん♪」

「どうしたのクレア、随分ご機嫌だね?」

「私アキ君の彼女に見えるらしいですよ?どんな気分?」

「どんなって……この世界にレーシック手術ってあるのかな?」

「んー?どういう事ですかー?」

 一気に不機嫌になって頬を膨らませるクレア。

「はぁ……めっちゃ嬉しいです」

「よろしい」


 そんな話をしていると冒険者ギルドへ辿り着いた。


~冒険者ギルド~


 簡単に言えば登録すれば仕事を斡旋してもらえて、更にサポートまでしてもらえる組織。この街のギルドの特典は登録すればギルド内の酒場が三割引で使用できるらしい。 


「いらっにゃいませー!食事ニャら右手へ、お仕事関係ニャら左手へどうぞー」

 空いたジョッキと皿を持った可愛らしい猫獣人のウェイトレスが簡単に接客をして去って行く。

 猫耳娘……会話の中でニャアニャア言ってるぞ?それに、あのチンチラのような黄金色の毛並みたまりませんな!

 それにしてもこの世界の猫獣人は顔は毛で覆われてはいないのね、顔も猫目で頬から伸びる髭が可愛らしいし、腕は肘の先から指先までは毛で覆われてるが物を掴んでいる事から指は人間と変わらないと思う。

「ふーん。アキ君はああいう子が好きなのね」

「うわぁ!なに急に!?」

「べーつーにー早く行かニャーい?」

 クレアに手を引かれ左手へ進んだ。……何その破壊力。

「ご利用は始めてニャのでしょうか?」

 三つある窓口をどこに行けばいいのか迷っていると、後ろから声をかけられる。

 振り向くとギルドの制服を着た先程とは違う銀色の毛並みをした猫獣人が立っていた。

「あ、はい。登録はどちらでできますか?」

 さっきの子とは違ってこの子は綺麗系か、だが、それもいい!

 隣でクレアが「ふーん。アキ君は猫獣人が好きニャのね」と呟き我に返る。……だから何その破壊力。

「登録は一番左手の窓口にニャります。また、登録にはひとり銀貨五枚が年会費として必要にニャりますのでご用意の上でお進み下さい。では失礼致します」

 案内も終え全体が見える定位置へ戻って行く猫獣人の後姿を見ながら『あの揺れる尻尾触ると嫌な顔するのかな?そんな顔も見たいなあ』なんて考えてたらクレアに注意された。

「アキ君、言いたくないけど変態みたいな顔してるよ……」

「うへ?ん?…………よし、行こうか」

 クレアにジト目で見られて続け、新しい自分に出会えそうだったが、とっとと登録を済ませよう。

「ふたり登録したいんですけど」

「始めまして。私は今回おふたりを担当させて頂きますシーナと申します。ニャにか質問があれば先に応えますので、ニャンニャりとどうぞ」

 ここは天国ですかーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「登録における個人情報はどうなっているのかしら?」

「お答え致します。こちらが登録するギルドカードにニャりますが、カード自体に【隠蔽】が付与されていて、他人が見れるのは、ニャ、ニャ、いえニャいよ…………ニャ、ニャまえ【名前(ニャまえ)】【レベル】【職業】【ギルドランク】【パーティ名】【チーム名】だけにニャります。

自分が見る場合には更に自分の【ステータス】【所持スキル】【所持固有スキル】【称号】を見ることができます」

「それなら問題ないわ。登録よろしくね」

「登録の件、承りました。では、ふたりで金貨一枚にニャります」

 いや、俺この天国こと冒険者ギルドの職員目指そうかな。こんな天国他にないし!

「天国は何も無い所だって教えたでしょ。はい金貨一枚」

「確かに頂きました。ではこちらの水晶に手をかざして下さい」

 用意されたのは籠に入った小指程の小さな無色透明の水晶で、籠の下にはカードが台座にセットされている。

「アキ君からやる?」

「クレアからでいいよ。俺はこの天国をもう少し見てたい」

「……隠す気すら無いとかヒくな!……まあいいわ、じゃあよろしく」

 クレアが水晶に手をかざすと水晶が溶け出し雫が台座の上にセットされたカードに零れ落ちる。やがて水晶は完全に溶け切りカードが水晶の雫に満たされる。すると突然カードが光だし一瞬で止んだ。

「ではカードの確認をお願い致します」


 表には以下の情報が登録されていた。


Fランク クレア Lv1 SP0

職業:大魔導師 

所属パーティ名:――  

所属チーム名:――


 裏には何も書かれておらず、中央に□が書かれている。

 親指を□に押し付けると半透明のB5サイズのウィンドウが開く。

 その中には確かにクレアのステータスに所持しているスキル、固有スキルがびっしりと刻まれていた。


「問題ないわ」

 クレアは一度カードをシーナに渡しギルドへ隠蔽されていない情報を登録する。

「では、次の方よろしくお願い致します」

 うへへ可愛いな。シーナさんの首の下くすぐりたいなゴロゴロ言うのかな~

「あ、あの大丈夫ですか?」

「あはは、ごめんなさいね。アキ君、シーナさんに迷惑かけてるわよ?」

「??はっ!すみません。で何でしたっけ?」

「ですから登録を……」

「あ、ああそうだった。これに手をかざせばいいんだよね」

 急いで新しく用意された水晶に手をかざすと、クレアの時と同様に水晶が溶けていく。完全に溶け切るとまたカードが光だす。

「では、カードの確認をお願い致します」

「了解です」


 クレアの時と同様に表には以下の情報が登録されていた。


Fランク アキ タケハラ Lv1 SP0

職業:女神騎士

所属パーティ名:――  

所属チーム名:――


 裏にはやっぱり何も書かれておらず、中央に□が書かれており親指をつけると半透明のB5のウィンドウが現れた。


ステータス

【生命力 Lv5】

【魔力】

【筋力 Lv3】

【敏捷力 Lv3】

【精神力 Lv15】


所持スキル

【剣術 Lv1】

【槍術】

【斧術】

【弓術】

【杖術】

【盾術】

【投擲術】

【炎魔法】

【水魔法】

【土魔法】

【風魔法】

【回復魔法】


所持固有スキル

【鑑定 Lv1】

【Unknown】

【Unknown】

【Unknown】

【Unknown】


称号

【女神と共に歩む者】


 

 職業が女神騎士って……

「ねえクレアちょっといい?」

「何かおかしかった?」

「この世界の筋力の一般的なパラメーター教えてくれる?」

「そうね、職業にもよるけど戦士系の人間の冒険者なら筋力はLv8~10程度かしら。住人がLv2~3ってところね。パワータイプの獣人だとLv20とかもいるかな?」

「あとさ、職業が女神騎士なんだけど……」

「あはは……多分おじい様の仕業ね、でも珍しいけど存在する職だから問題ないよ?」

「それと、所持固有スキルがUnknownってなっ……」

「ちょっ!それはダメ!」

 クレアは即座に両手で俺の口を塞いだ。うわー手までいい匂いする。

 クレアはキョロキョロして「何も言っちゃダメオーケー?」と言った。

「お、おーけー」

「ニャにか問題がありましたでしょうか?」

「え、えーっと、登録の名前を変えたいんだけどできる?」

「可能ですが……一度変更すると二度と変更できませんよ?それに、これからギルドカードは身分証の変わりにニャりますのでそのニャまえで呼ばれ続けますけど大丈夫でしょうか?」

「ああ大丈夫、ファミリーネームを消したいだけだから。じゃあシーナさん、俺の登録名は【アキ】でお願いします」

「承りました。少々お待ちください」

 カードを台座に置き水晶を用意するが、先程までとは違い無色透明では無く漆黒の水晶だった。シーナさんはそれに一瞬手をかざして雫を一粒だけ俺のカードに落とした。

「できましたので、ご確認お願い致します」

「問題ないよ。登録お願いします」

「承りました」

 

 俺の職業を見て、何度かチラ身されたが質問されることは無く、カードを返してもらった。シーナさんに何か依頼を受けるか聞かれたけど、先に商業ギルドの登録をしたかったので『また後で来ます』と言い残し俺たちは商業ギルドへ向かった。

 

 商業ギルドも職員は猫耳娘だといいな!


「流石に引くよ!?」


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