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1章 6話:買い物

6話:買い物


 武器やに向かっている俺とクレアだが、どうやら感じる目線は妬みだけでなく、珍しい物を見るような興味の視線を感じ自分達の姿を確認する。

「クレア様、多分ですが俺達の服装が変なのだと思います」

「……ツーン」

 クレアに話しかけても頬を膨らませソッポを向き返事をしてくれない。

「はぁ。クレア、俺らの服装が浮いてるからどうにかならない?」

「ふふん♪そんなの簡単よ。この服は神器(ジンキ)だからね。って流石にここじゃまずいか……あっち行こ!」

 クレアに連れられ路地裏に入る。

「神器って何?」

「うーん簡単に言えば神が造ったスーパーアイテムかな?

 この服は【形状変化】【浄化】【温度調節】【収納】【攻撃魔法吸収】【状態異常無効】【即死無効】の効果が付与されているの。通気性も抜群よ!」

「あの場所で働くのってそんな危険なの!?」

「前に魂レベルの高い死人のお爺ちゃんが自分が死んだ事に気づかず、『お前なんかにワシの財産は渡さない!』とボケて男神に超魔法使った事があってから、ね……」

 成る程、地球人だった俺には理解が及ばない次元の話のようだった。

 そんな訳で服の形状変化を使い、俺達は灰色ローブの下に皮鎧を着たどう見てもこの世界の住人でしょ?と言わんばかりの格好になり、あらためて武器屋に向かった。


「……冷やかしなら帰んな」

 武器屋に入るとカウンターにいた虎獣人のおっさんから開口一番そんな台詞が飛び出した。

 日本なら買いもしない雑誌を読むだけ読んで何も買わずに出て行っても『ありがとうございました』なんてお礼まで言われるんだぜ?

 ……いやまて、今思えばあのお礼は皮肉だったのか?まあそんな事はもうどうでもいいけど……俺もう死んでるし確かめようもないし。

 そんなどうでもいい事を考えている俺の横で、クレアが金貨を取り出し見せると、おっさんの態度は急変した。

「すまなかった。どんな武器を探してるんだ?」

「片手剣、槍、斧、杖を……あっ、できるだけ軽くて丈夫な物にして。それと……弓を見せて」

「はいよ、ちょっと待ってな」

 おっさんは言い残し外に出て行った。保管している倉庫から持ってくるのかもしれない。

 戻って来た時には荷車に大量の布を巻いた武器を載せていた。

「待たせたな。軽くて丈夫だとこの辺だ。杖はメイスなら安いが、魔杖は値が張るぞ?」

「見合う価値があれば構わないわ。……持たせてもらっても?」

「好きにしろ」

「アキ君、気に入った物あったら持ってみて。どれも杖以外はDランク程度だけど初心者には悪くないから」

「……ほう。譲ちゃん【鑑定】持ちか。若そうなのにいいスキル持ってるな」

 女神様を譲ちゃん呼ばわりとは、このおっちゃん死んだら侮辱罪で地獄行きにならないよな?

「まあね。散々色々と見てきたから見る目は間違いないわよ」

 さて、俺も武器を選ばないと……デザインが気に入ったのを手に取ろうと見ると……

「ん?」

「どうしたのアキ君?」

「この武器の横に見える半透明の紙?は何?

 Dランク ショートソード+17 重量2 って書いてあるけど何?」

「ほう、そっちの坊主まで鑑定持ちとは驚いたな」

「えっ?アキ君見えるの?半透明の紙はその武器の鑑定表だよ。武器のランクと名前に攻撃力と重さね。重量2っていうのは2キロって事」

「へー便利だね」

 とりあえずショートソードを持ってみると、家で持った武器とは違いしっかりと持つことができる。試しに素振りすると違和感を感じ、違和感を無くす様に何度も振ると『ヒュッ』と音が鳴り自分の中で何かを掴んだ気がした。これで【剣術】スキルを覚えたのだろう。

「俺これにするよ」

「そう、じゃあ片手剣はオッケーね。残りの武器も選んじゃって!」

 

 そうして俺が選んだのは以下の通りだ。


Dランク スピア+20 重量4 長さ2.5

Dランク バトルアックス+30 重量15

Eランク 樫の弓 重量3

Bランク マジックドレインスタッフ+5 重量2 【魔力吸収(小)】

     効果:対象に攻撃を加える度、魔力を少し吸収する


 俺は無事に武器を選び終わったが、何故かクレアは働いていた。

「ここに纏めてあるのがEランク、ここがFランク、これがDランクね。あと特殊効果があるのがこっち。特にこのロングソードはDランクでスキル【剣術】が付いてるからいい値段になるんじゃないかしら?約束どおり特殊効果は紙に書いてそれぞれの武器に貼ってあるわよ」

「おっ、そりゃ掘り出し物だな!助かったよ譲ちゃん。俺も鑑定があればもっと楽できるんだけどな……無いものは仕様がない。自分の目を信じてやってきたが、特殊効果だけは見れねえからな」

「でも私は貰う物はちゃんと貰うわよ」

「そりゃこんななりだが俺も商売人、約束は守るさ。坊主、選んだ武器を見せてみな」

「これでよろしく」

 選んだ武器をおっちゃんに渡す。

「ほう、背伸びしないでちゃんと自分に合ったのを選んだのか。坊主、お前長生きするぜ!」

「もう死んでるけどな」

「ん?何か言ったか?」

「何でもないさ。でいくらになるんだ?」

「嬢ちゃんとの約束通り貰うのは魔杖の代金だけでいい。金貨2枚だな」

 ……って俺は金を持ってない上に金貨二枚って高いのか?と悩んでいるとクレアがおっちゃんに金貨を二枚渡した。

「いい値段の付け方ね。値引き交渉できないじゃない」

「勉強させて頂きました!ってな。がはははは。

 それでだな……お前ら暇な時はバイトしないか?仕入れや買取の時にいてくれると俺としては非常に助かるんだが」

 クレアはそれに対し……

「店に入ったときに『いらっしゃいませ』って笑顔で迎えてもらってから考えるわ」と言い残しふたりで買った武器を抱えながら店を出た。店からは「またのお越しを!」と元気な声が響いた。

 

 店から出てふたりは再び小走りで路地裏に駆け込んだ。片手剣以外の武器は服に付いてる【収納】の効果でローブのポケットにスルスル入っていった。取り出すときはポケットに手を入れ思い浮かべれば柄が現れ引き抜けばいいらしい。

 一応、片手剣は腰に装着している。

 手軽になり、防具屋に入る。そして、俺が選んでいる間にクレアが同じようなアルバイトをやり、報酬として盾も手に入れた。


Bランク ラウンドシールド+50 重量3 【打撃軽減(中)】

     効果:盾でガードした際に打撃物理攻撃を半分軽減する


 ん?どういう事?と思いクレアに聞くと……

「例だけど打撃のダメージを百として盾でガードすると七割の七十のダメージが盾にガードされ三割の三十のダメージは腕にくらう。これはあくまで例えだけど。

 【打撃軽減】は盾でガードした時点でそもそも百のダメージを五十に軽減するわ。

 そして、そこから7割だから35のダメージを盾でガードして3割の15のダメージに抑えられるって訳。この説明で分かった?でも中々いいスキルよ」

 確かに使えると思いこれに決めた。


 思ったよりも時間が掛かり空も茜色に変わっている。

 ……結果、今日は家に戻り休むことにし、明日こそはギルドへ行こうとふたりで決めた。


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