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3章 33話:虚しい朝

3章 33話:虚しい朝


「ん、んぅ?」

 目を開けずに顔の上にある苦しいモノをどけようと手を動かす。『ふよん』なんだこの柔らかいモノは?

 昨日の記憶がなくなる前の事を思い出して、何となく分かっていても揉みしだくのは本能だろう。

「あんっ。んぅ?アキ様?」

 そんな感触と甘い声を聞くと俺の息子も起きたようだ。

「オハヨウリンネサン」

 目を開けるとそこには一糸纏わぬリンネさんがいた。

 そのリンネさんからは男なら慣れ親しんだアノ匂いが若干漂ってくる。

「おはようございます。あれ?ふふっ元気ですね。私に任せてください」

 俺が言葉を発する前にリンネさんの口によって包まれた。


~想像でお楽しみください~


「ん、んぅ。はぁはぁどうでしたか?」

「どうって、半端なく気持ちよかったですけど……」

 スッゲー気持ちよかったけどさ、俺どうなってんだ?めっちゃ身体がダルいんだけど。

「本当ですか?よかったです」

 ちょっと唇テカってますよ。

「んぅ?おはよ。あれ?何か新しい匂いがする」

 なんでクレアまで全裸なの?

「これでクレア様と同点です」

「あーリンネさん朝処理したでしょ!ズルい!」

「ふふっ早いもの勝ちです」

 何の話をしているんだこの女の子達は……


「なあ、まずは服着て説明してくれないか?」

「それもそうね。でもいいの?もっとじっくり見てもいいよ?」

「アキ様おっぱいはもういいですか?」

「名残惜しいけど、正直名残惜しいけど、おばちゃんが来る前にせめて服は着てくれ」

「はーい」

「わかりました」


 ふたりは脱いであったシースルーで丸見えのモノを着ようとする。


「って!そんなの服っていわないから!もう仕方がないな【創造】!【創造】!はい!」

 俺はロングパーカーを創りだし渡す。Yシャツも捨てがたかったけど、やっぱりパーカーでしょ?

「ふーん、アキ君は全裸パーカーが好きなのね」

 ギクッ

「どうです?似合いますか?」

 このふたりの容姿は本当に凄まじいからアイテムを加えるだけで破壊力は跳ね上がる。

 今なら世界を取れる気がした。

「ねえ、この世界って重婚できるの?」

「「できるわよ(ますよ)」」

 おっと本能のままに考える前に素直に聞いてた。ってできるのか?

「何アキ君そんなにこの格好気に入ったの?私と結婚したいくらい好きになっちゃった?」

「あ、アキ様さえよければ私はいつでも……その、準備はできております」

「……考えてみます」


「「このヘタレ」」


 うっ……何も言い返せないよ。


「で、俺昨日の記憶が途中で消えてるんだけどどういう事?」

「あ、あははー」

「え、えっと……」

 話題を変えるとふたりは一気に視線を逸らした。

「クレア?何か俺に飲ませたよね?何あれ?」

「えっと、その……神酒(ソーマ)かな?」

「ぶはっ!マジで!?俺飲んで大丈夫だったの?」

「アキ君の固有スキルのおかげで大丈夫だったけど……その、ね?」

「はっきりいってよ」

「うん、生命力と精神力が跳ね上がっちゃった。多分人類で一番……やったね」

「それだけ?」

「うん」

「本当に?」

「本当だよ。でも昨日はそのおかげで大変だったけど」

「それって……もしかして俺童貞捨てちゃったの?」

「それは大丈夫保障するよ。ね、リンネさん」

「ええ、残念ながら交わってはいません」

「交わっては?って事は?」

「まあ細かい事はいいじゃない!でも、私かリンネさんと結婚したらレベルアップした技を体験できるわよ。どう?どうせなら一緒に嫁に貰ってくれてもいいけど?」

「私も頑張りますよ。もしアキ様さえよければですが」


 はっきりいってこんな美女ふたりからの求婚を断る理由が見つからない。料理は上手いし家事もできる。仕事もしてるし優しい。

 結論なんて初めから出ていた。


「わかった。ふたり共俺が責任持って幸せにするから……その、これからずっと俺と一緒にいてくれるか?」

「「はい!」」


 俺がふたりを抱きしめると、部屋のドアがノックされた。


「そろそろ時間だよ。あと、嫁ふたり分料金払って帰るんだよ」


 俺はおばちゃんに追加料金を払って宿を後にして家に帰った。

 考えてみれば子供をふたり放置している。


 マズい!

 

 全裸パーカーのふたりを急がせ家に着くと、子供二人はベッドで可愛い寝息を立てていた。

 

「それで、家は鍵が掛かってたけど、あんな格好でどうやって来たんだ?」

「私の魔法よ」

「すっげー便利な言葉だな。とりあえずふたりは風呂に入ってきなよ。その……少しあの臭いするし」

「そうね、じゃあリンネさん行きましょう」

「はい、クレア様」

「それもうダメね。同じ嫁なんだから」

「じゃ、じゃあクレアさん」

「お、ついでに俺の事も様付けやめよう」

「では、これからはあなたって呼びますね」

 そんないい笑顔でいわれると断れないじゃん。勿論嫌じゃないけど。

「わかったよ。これからも頼むねクレア、リンネ」

「「はい」」

「じゃあ俺は少し訓練してるよ」


 俺は訓練場でクリエイトを使い的とクナイを創り出していく。

 的にウィンドエンチャントを掛けて浮かせていく、充分に浮かせてからクナイを持ち的に投擲していく。

 精神力がソーマで上がった所為か集中力が今までと違う。外部の音は聞こえてくるがそっちを気にしても的に集中している自分はブレない。自分の精神が分裂したようだった。

 体のダルさはあるが、いつもより調子がよくクナイと的を追加で創り次々に投げていく。


 そんな時にガチャリと入り口が開く。


「お兄ちゃんわたしも一緒にやる!」

「お兄さんあたしもいい?」

「いいよ、的とクナイは創ってあるから好きに使って」


 そうしてクレアが呼びに来るまで子供ふたりはクナイを投げ続けていた。

 そんなに楽しいかこれ?


「「「「「いただきます!」」」」」

 

 クレアとリンネが用意した朝食を皆で摂る。

 相変わらずクレアの料理は美味いし、普段見ない料理はリンネだろう、こっちも美味かった。俺の嫁さんは料理が上手で本当によかったと思う瞬間だった。


「美味しい」

 スープを飲みナコルが呟く。まあ思わず口に出る程美味いのはよく分かる。


「ちょっといいか、ルーニャとナコルにいっておく事がある」

「おにいちゃんどうしたの?」

「ん?」

「そのな、俺……クレアとリンネと婚約したから」

「こんやく?」

「結婚の約束をしたって事よ」

 リンネさんが答えた。

「ふぇ?お兄ちゃんとクレアお姉ちゃんとリンネお姉ちゃんが結婚するの?」

「ルーニャちゃんには難しかったかな?アキ君が私とリンネさんふたりを大好きだからお嫁さんにしてくれるの」

「お姉ちゃんはそれでいいの?」

 ナコルがリンネさんに聞く。

「ええ、私はこうなって幸せよ」

「じゃああたしはいいよ。お兄さん本当は優しいし」

 いや随分酷い事したんだけどな……今度お菓子でも買ってやろう。妹になる訳だし。


「えっと、お兄ちゃんはあと十年経ったらわたしと結婚してくれるんだよね?」

「ルーニャの気持ちが変わってなければね」

「え?ルーニャちゃんもお兄さんと結婚するの?」

「うん十年経ったら結婚してくれるって約束したもん」

「……そうなんだ」


 まあそんな感じで一緒に生活を続けた。


 あ、俺は未だ童貞です。流石に子供達の前で行為には及べません。

 でもソファーはソファーベットにし、毎日交代でクレアかリンネと一緒に寝ていた。

 その時は、クレアならルーニャが、リンネならナコルが一緒だったけど。嫌な訳がなかった。


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