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3章 32話:ひとりの時間?

3章 32話:ひとりの時間?


 美味しいご馳走を食べ終えて、俺は堂々と宿屋に向かった。

 ルーニャには何で?といわれたが四人は流石に寝れないからと説明し納得してもらう。


「で、何で皆さんが付いて来るのでしょうか?」

「別にアキ君は気にしないでいいよ」

「私はクレア様が家を出るのに残るわけには行かず……」

「お兄ちゃんの泊まるとこ見たいの!」

「あたしはお姉ちゃんが行くっていったからだもん……」


 成る程、ルーニャを除きクレアが全部悪いのね。


「じゃあ俺ここに泊まるからさ、皆おやすみ」

「「「「…………」」」」


 いや、帰れよ。無視して中に入る。


「いらっしゃい!ってあんたかい……悪いけどひとり部屋しか開いてないよ?」

 宿屋のおばちゃんが俺と後ろの女性陣を見て皆が泊まると勘違いしていた。

「いや、泊まるのは俺だけなんだけど……何故か着いてきちゃって」

「で、アキ君は何号室なの?」

「それっていう必要ないよね?」

「101だね、一階の角部屋だよ」

「ちょっとおばちゃん!」

「別に知られたって困るもんでもないだろ?……でも朝あんた以外が泊まってたら追加料金貰うからね!」

「そんな事ないから大丈夫だって。じゃあもういいでしょ?ルーニャも最近夜更かし気味だから早めに寝かせてね。クレア頼むよ?」

「ええ、問題ないわ。じゃあ皆そろそろ帰って寝ましょうか」

「はい……101ね。101覚えたわ」

「はーい」

「ん」


 おばちゃんに宿代を払い部屋に案内される。まあ分かっていたけどベッド以外何もない。

 風呂も無く、体を洗うならお湯を桶でもらうが勿論別料金だ。俺は風呂入ってきたから必要ないけど。 

 とりあえずベッドに寝転がる。


「やっとひとりになれたな……でもまだやる事残ってんだよなぁ」

「おや、お出かけかい?」

「そうなんだけど、いつまで玄関って開いてる?」

「部屋の鍵で玄関も開けられるから時間は気にしないで出かけておいで。だけどあんまり遅くなるなら蝋燭は持って行きな!帰ってきたら真っ暗だからね」

 そういってマッチと蝋燭をおばちゃんに渡されて俺は教会へ向かった。


「お、アニキ!って珍しいひとりですかい?」

 やべえ、今思えばこいつも顔は知ってるけど名前分からん。

「まあね、ガストンは?この間連れて来たネムレス達の事聞きたいんだけど」

「ガストンさんなら、そのネムレス達と酒場っすよ。随分話が合うようで最近は一緒に魔物討伐までやってます。っていっても俺も討伐は手伝って貰ってますがね、中々あいつらやりますよ!」

「そうか、じゃあ元いたメンバーと仲は悪くないって事でいいんだな?」

「ですね、気が合う奴等ばかりですよ」

「そうか、じゃあ何かあったら相談してくれ。いつも交代で夜遅くまで悪いな」

「いえ、この回復ボランティア始めてから街で色んな人から感謝される事が増えたんで俺は気に入ってますよ」

「まあ今度酒でも奢るよ!じゃあな」

「うっす!」

 今度ガストンに皆の名前教えてもらおう……

 でもまさかこんなにしっかり一日の中を交代とはいえ真面目にボランティアしてくれるとは……本格的に今度皆をもてなさなきゃな。

 そんな事を考えながら冒険者ギルドの中の酒場へ向かった。


「アニキ!こっちっす!」

「おっご主人様じゃねーか!帰ってたのか?」

 手を上げて呼ぶおっさん達の席へ向かい空けてもらった場所に座る。

「ああ、今日帰ってきた。やっとあのお姫様が素直になったからな」

「アニキも大変でしたね」

「まあな。で、ネムレスに聞きたいんだけど、クレアからはちゃんと毎日賃金を貰ったか?」

「ああ、あの凄まじい美人のご主人様の嫁さんからちゃんと金は毎日貰ってるぜ」

「ぶはっ!は?俺の嫁さん?」

「うわっ!」

 思わず飲んでたお茶をガストンにぶちまけた。本当にゴメン。

「違うのか?自分でいってたぜ?『皆様始めましてアキの嫁のクレアです。夫の変わりに給金をお支払いします』って」

「……ガストン?」

「ええ、俺も聞きました。てっきり俺はやっと結婚したんだと思ってたんですけどね。ガハハ」

「まあそのことは後で確認するよ。で貰ったのは金だけか?」

「いや、でけえ声じゃいけないけど【回復魔法】のスクロールを貰った。しかもメンバー全員分だぜ?どうなってやがる」

「前にいったろ?回復魔法を覚えてもらうって」

「いったけど、まさか土地付きの豪邸を買える程のスクロール渡されるとは驚いたぜ!さらに給金だすんだからな。ご主人様は神か?」

「んな訳ないだろ(クレアは女神だけどな)で、回復魔法は何人くらいが覚えたんだ?」

「おっそれを聞いてくれるか?無事全員覚えたぜ!だから日中は交代で教会のボランティア参加してるぜ!」

「お、ガストン達より優秀じゃん。こいつら覚えるの遅かったし」

「アニキそれはいわないで欲しかったっす。優秀な先輩でいたかったのに……」

「ははは!大丈夫だよガストン!ちゃんとあんたらを信頼してるからな!」

「ネムレス……おっしゃ!皆もっと飲め!今日は俺が奢ってやる!」

 毎回こんな感じでガストンの金は減ってんだな。まあ本人が幸せそうだからいいけど。


「で、盛り上がってるとこ悪いけど今度はガストンに聞きたいことあるんだけどいいか?」

「うぉぉぉ!ん?なんっすか?」

「商業ギルドのリンネさん知ってるか?」

「ええ、商業ギルドのギルドマスターの娘さんっすよね。巨乳で美人の……確かアニキが助けたちっこい子の姉さんでしたっけ?」

 あのおっさんギルマスか……そりゃ強気ででるわ。

「まあそうだ。で、悪いんだけど俺ら近々この街出るかも!」

「ちょ、ちょっとアニキどういう事っすか!?」

「はぁ!?ちょっとご主人俺らの給料はどうなんだ?」

「ふたりとも落ち着け。まだ『かも』だからな。それにちゃんと給料は渡すよ。その時は日払いじゃなくて月払いで纏めてにするかもしれないけどな」

「なら、俺は別に構わないぜ!貰えるもん貰えりゃここの暮らしは悪くねえ。なあ野郎共!」

「「「最高です!!!」」」

 楽しんでくれているようで何よりだ。


「で、ガストン本題だ」

「うっす」

「まあ、そのなんだ……その商業ギルドのギルドマスターを今日俺がぶっ飛ばした」

「は?」

「ははは!流石は俺らのご主人様だぜ!」

「いや、勿論理由はあるんだけどさ……その時にこの街で冒険者続けられると思うなっていわれたからな。他の街で稼ぐ事になるかもって事だ」

「いや、その理由をまず話してくださいよ!」

「ご主人様ならどこでもやって行けるぜ!何てったって俺が相手にならねーんだからな。ははは」

「おい、お前ネムレスの相手してろ」

 ガストンは真剣な声で部下に命令した。


「まあ理由は今回の事件の一番の被害者のナコルだ。あいつが帰らないって駄々こねて中々お前らも帰れなかっただろ?」

「ええ、俺らは護衛の依頼受けたっすから」 

「それで、俺がルーニャの事でイラついてたって事もあったし、泣くナコルに何もしない父親に更に腹が立ってさ、俺が連れて帰るから先に帰るよういったんだ」

「そうっすね。帰るって決まった時、奥さんと娘さんは不安そうな顔してたのにギルドマスターのおっさんだけは面倒事が片付いたって顔してたっす」

「そうだろうな、報酬はいくらでも出すから頼むっていわれたし」

「大きい声じゃいえないですけど父親として終わってますね」

「まあ、それで色々あって今日帰ってきたんだけどさ、面倒になりそうだったから家には直接帰さなかったんだよ」

「アニキも色々と考えて大変っすね」

「続けるぞ?それで帰ってきたことだけは流石に報告する必要があったからさ、リンネさんが家で報告したら両親まで家に押しかけてきてな……あのおっさん開口一番で『今回の報酬は』って言い放ちやがった」

「(ゴクリ)……それで?」

「おっさんの会話の途中にぶっ飛ばした」


 俺が話し終えるとガストンは立ち上がって。


「お前らアニキに乾杯だ皆で酒持て!無い奴は注文しろ!」

「「「「「うぉぉぉ!!!」」」」」


 なんで?


「やっぱりアニキは漢だぜ!俺らの最高のアニキに乾杯!」

「「「「乾杯!!!」」」」


 何故か乾杯に巻き込まれ苦手な酒を飲みテンションを上げて色んな奴等と話した。

 勿論名前は知らないけど……


 しばらく皆で飲んでいたが、頭がぼーっとしてきてそろそろマズいと感じ帰る事にした。


「あーガストン、街から離れることになったらちゃんと報告するけどさ、覚悟はしててくれ。飲みすぎも程々にな」


 俺はテンションの上がりきったガストンの肩を軽く叩き酒場を後にした。


 結構な時間を話し込んでいたようで、もう真っ暗で通りには人はいなかった。

 夜風で体を覚ましながら宿屋に戻る。


「えーっと101、101っと」

 蝋燭の明かりを頼りに角部屋に向かった。


 ガチャ


「ふぅー今日は飲みすぎたな」


 じゃあ本日のメイン……ってそういえばこの宿ってトイレは共同だし、そもそも風呂はないし……ベッドの上でするしかないのか。

 とりあえず部屋に備え付けられているランプに火をつける。


「おい、誰だー誰なんだー?」


 どうせクレアだろうと布団を捲るとそこには……


「あ、アキ様お帰りなさい」

 狐人の姿にシースルーで色々と見えちゃいけない部分が見え、とてもパジャマとはいえないモノを着たリンネさんがいた。

「俺幻覚見るほどは飲んでないと思うんだけどな……」

 まあ幻覚だし、今日くらいはいいよな?と勝手に解釈しおっぱいに手を伸ばした。

「ひゃ!?あ、アキ様?」

「あー柔らかい。でも服邪魔だな」

 俺は流れるよな無駄のない動きでリンネさんの着ていても意味がないパジャマを脱がし、リンネさんの胸の先端の恥ずかしがりやな部分を口に含んだ。

 僅か三秒の出来事である。イメージトレーニングの成果がこんな所で発揮された。

「ちょ、ちょっと!アキ様?あんっ!もうダメ!」

 両手で揉みしだきながら舌で弄っていると、やっと顔を出してきた。じゃあこっちも。

「あーこれヤバい幸せすぎる。今日の夢は随分とリアルだな」

「ちょ、ちょっとアキ様!?夢じゃないですよ?するのなら……その、せめてちゃんと私を見てください!」

 両手で顔をギュッと掴まれ強制的にリンネさんと向き合わされる。

「やっぱりリンネさん美人だな」

 そのまま俺はリンネさんに顔を近付け唇を重ねる。

「ん、んぅちょっと、ん、ダメです。んぅ」

 リンネさんの口の中を味わうように舌を伸ばして行く。リンネさんってこんな味なんだ……ミントの家の歯磨き粉の味だな。って味!?

「り、リンネさん!?」

「んぅ、アキ様?」

 そんな潤んだ瞳で見ないで!今必死にリビドーを抑えてるんだから!

「ご、ごめんなさい!とりあえず服を着てください!」

 脱がした服をと渡そうとするが、これじゃ着てても意味がなかった。

 仕方がなく布団を掛けて話を聞く事にする。


「な、何でリンネさんが?」

「こんな状態でおあずけなんて……いくらなんでもアキ様酷すぎます!」

「いや、そうじゃなくて何でここにいるの?」

「そんなのいいじゃないですか、もう私我慢できないんです。こんなになっちゃってるんですよ?お願いですアキ様ください」

 布団をはがし、俺に向かって脚を開き何もかもが丸見えのリンネさんに俺の心は一気に傾くが、童貞を舐めないでもらいたい。

 いざ本番になって上手くできるか?痛いといわれないか?という不安が傾きを直していく。


 俺は布団を拾い上げ再びリンネさんに掛けた。


「ゴメン」

「……そんな始めてのキスだったのに」

「……俺も始めてだった」

「えっ!?」

 リンネさんと再び見つめ合う。

「はいここまでね!」

 どこにいたのか俺とリンネさんの前にクレアが現れる。

「く、クレア!?何で?いつから?」

「初めからだけど?リンネさんと勝負して負けたから先行を取られちゃったけど、ここからは私のターンだからね!」

「いや、もう酔いも冷めちゃったし……って俺リンネさんに何て事を」

「いえ、私は嫌じゃなかったですよ。むしろ本当にもっとして欲しかったというか……その」

「はいはい、もうリンネさんの番は終わったでしょ?ルール違反よ?」

「……はい」

 シュンと耳を垂らして落ち込むリンネさん。メッチャ可愛い。

「で、アキ君、流石にソレいつまでも我慢して朝早くにひとりで淋しく洗うのも嫌でしょ?」

「そりゃ嫌だよ。だからやっとひとりになれると思ったのに……」

 まあ今日の事は一生忘れないけど。

「だから、今日は私がシてあげるわよ。ここにはルーニャちゃんもいないしね。でも手か口だけよ?」

「いやでも……」

「あーもう面倒ね!これ飲んで!」


 俺は口にいきなり何かを流し込まれると一気に意識を失った。


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