表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/33

3章 29話:帰還……

3章 29話:帰還……


「……君、…………ちゃん」

「んぅ?」「ふぁい?」

「アキ君、アキ君、アーキー君!」 

「はい!?」「わっぶ!あいた!」

 思いっきり揺さぶられて飛び起きると目の前にはクレアがいた。その隣には俺が勢いよく起きた反動でベッドから落ちたルーニャが……その、ゴメン!

 クレアがルーニャを拾い上げ【回復(ヒール)】を唱えて俺の横に座らせた。

「おはよう朝だよ?」

「おはようクレア……ゴメンお疲れ様」

 そうだ昨日はナコルを助けに盗賊の拠点に来て……ナコルが帰りたくないっていったらしいからクレアに保護者を呼んできてもらったんだった。

「思い出した?寝ぼけてない?」

「大丈夫それであの子は?」

 俺の質問に疲れ果てた顔を見せる。

「……今は必死にリンネさんとご両親が説得してるとこだよ」

「……お疲れ様」

「でも、ふふっルーニャちゃんのが疲れてるみたいね」

 隣を見るとルーニャが舟を漕いでいる。肩を抱き寄せ布団に入れるとすぅすぅと寝息が聞こえてきた。まだ寝かせておくことにしよう。


「あーえと、一応決まった事を説明するよ」

「うん聞かせて」


 俺はネムレスたちと契約を結び奴隷にした事を説明し禁止事項や契約条件を説明した。

 クレアは「えっ?」とか「ほんとに?」とか驚いていたけど最終的には納得していた。


「銀貨一枚に銅貨七枚ね……まあ寝床と三食付きならいいとこなのかな?でもアキ君ひとりで払い続けられるの?」

「うん、だからこれからはもう少し難易度の高いクエストを受けようと思う」

「確かに今のアキ君なら余裕だろうけど……そのさ、少しは私を頼ってくれてもいいんじゃない?」

「でもこれは俺が勝手にやった事だし……」

「女神ってのは気まぐれなの!ふと自分の管理世界を見て何となく助ける事だってあるんだから!」

「……それ仕事が嫌になって現実逃避してるだけでしょ?」

「ギクッ、そ、そんなこ、事はな、ないわよ?」

「図星過ぎるでしょ。ははっ。でもありがと、厳しくなりそうなら相談するね」

「うん、いつでもどうぞ」


「で、クレアの方はどうだったの?」

 俺の方は話し終わったのでクレアの事を聞く。

「そうね……一言でいえばすんごく大変だったよ。商人に攫われたから盗賊に攫われたにチェンジしたから……

 顔を青くしたご両親が盗賊討伐の依頼を冒険者ギルドに全財産を報酬に出そうとしてね……もうアキ君が全滅させましたっていったの。

 そしたら今度は私たちは彼に何を払えばいい?って話になって……まあそんな人たちを無理やりまとめてここに連れて来たのよ」

「……本当にお疲れ様」

 何を払おうとしてくれたんだろう?聞いてもクレアにはぐらかされて教えてもらえなかった。


 話も終わったところで入り口のドアが乱暴にノックされた。


「ご主人様ネムレスです、ちょっと困ってるんだが助けてくれねーか?」

 クレアにはルーニャと休んでてって残し扉を開けて外に出る。

「おい、何これ?」

 そこには恐らくリンネたちが連れてきた護衛のフル装備の冒険者と俺の奴隷になった軽装備の元盗賊たちが戦闘になりそうな状況になっていた。

「いや俺にもよくわからねーんだが、酒が尽きていつの間にか皆眠ってたんだが、起きたら剣を突きつけられててな、ご主人様を起こしに来たって訳だ」

 ……そりゃそうなるか。

「あーわかった。ちょっとそこの人たち止めて」

「あん?何だテメーは?って!?えっ!?アニキ?」

「いや誰?俺はあんたのアニキじゃないよ?多分俺のが年下だし」

「そんなボケはいいっすよ、俺ですよガストンです。おいお前らアニキの知り合いみたいだし戦うのは止めだ!依頼者の警備に戻ってくれ」

 ガストンの命令で他の五人の冒険者は移動した。それにしてもガストン?そんな奴……俺の知り合いにいたっけ?

「え?本当に誰ですか?」

「えっまさかアニキ本当に俺の名前覚えてくれてないんですか?あんなに皆で一緒に飯食ったりしたじゃないですか!」

「ごめんなさい。とりあえずバケツみたいな兜取ってくれる?顔もわからないし」

 えっマジかよって感じでガストンは兜を外した。そこには元【クリムゾン】のメンバーのまとめ役、まあリーダーのような役割のいつも見る奴がいた。

 お前ガストンって名前だったのか。

「おおーガストンじゃん!兜で声も篭ってたから誰か分からなかったよ!」

 できるだけ傷つけない為には……うん精一杯ごまかす事に決めた。

「いや、いいっすよ。どうせ他の奴らの名前も覚えていないんでしょ……」

「その……なんだ、ゴメン!だけどもう忘れないからさ、これからも頼むよガストン!」

「……うぃっす。で、なんでアニキが盗賊と一緒にいるんです?」

「絶対に誰にもいうなよ」

「……うぃっす」


 ガストンには事実を話した。


「いや、こんな事は誰にいっても信じてもらえないっすよ!」

「まあそういう訳で暫くはネムレス以外はガストンの下につけるからしっかり教えてやってくれないか?」

「アニキの命令ですし……俺はいいっすけど、こいつらはどうなんすか?」

 ガストンは未だ疑問の目を向ける元盗賊たちの方を見る。

「それなら大丈夫だ。ネムレス、俺がいった事を部下に伝えてくれる?」

「ああ、いいぞ?」 

 俺は小声でネムレスに耳打ちした。

「おい野郎共!この人はガストンさんだ!俺達の先輩で面倒見てくれるらしい。

 しっかり挨拶しろよ、今日の夕飯はこの方が奢ってくれるらしいからな!」

「「「「「よろしくおねがいしゃす!先輩!!!!」」」」」

「ちょ、ちょっとアニキー!!!」

 お?後輩ができて嬉しい悲鳴か?

 

 なんだかんだガストンは面倒見がいいし大丈夫だろ。

 ルーニャが懐くくらいだし。そのなんだ!名前は知らなかったけどな!

 ガストンに聞くと、今回連れてきた残りの冒険者も元【クリムゾン】のメンバーらしい。勿論顔は知ってても名前は知らないけどな!

 そんな訳で、今では仲良く円を組んで座り早速ガストンが仕事内容を説明していた。

 なんだかんだ後輩できて嬉しそうじゃん。

 

 そんな時に俺はというと……


「ご主人様ー他所見(よそみ)してると死んじまうぜ?」

 ネムレスと戦闘訓練していた。だってナコルの説得終わらないんだもん。

 ウィンドエンチャントとインビジブルソードは無しでガチで殺り合っている。

「大丈夫だよっと!【ロックバインド】!」

「そんなのくらうかよ!」

 余所見した瞬間にネムレスに後ろに回りこまれる。

 正確に首元から斜めに振り下ろされる大剣を俺は剣で受け流して横に飛ぶと同時にクナイを投擲した。

 ネムレスが体を逸らしてバックステップで距離をとろうとする。

 その着地場所にロックバインドを仕掛けるがネムレスは着地点の前に剣を地面に突き刺し無理やり着地場所を変えた。なんとも器用な奴だ。

 だが……

「降参だ!ダメだ剣がもう持たない」

 しっかり受け流したつもりだったが力が加わってしまったようで剣の中ほどが歪んでいた。結構愛着があったんだけどな。流石にAランクの武器は威力が違う。

「なんだよご主人様、折角熱くなってきたのによー」 

「Dランクのショートソードじゃこんなもんだろ?」

「は?マジかよご主人、Dランクで俺の炎剣受け流してたのか?」

「ああ、いい練習になるだろ?ミスったら俺の負けだけどな」

 俺はクエストやルーニャにガストンをはじめとした冒険者と手合わせをする時もこの剣を使っていた。力任せだと剣術のレベルが上がらなくなってきたからだ。

「敵わない訳だぜ、ガストンのアニキもそんなに強いのか?」

「どうだろな……ガストンは今だとルーニャといい勝負ってとこだがらな。

 まあまあ強いけどあんたのが強いだろうな」

 実際ルーニャはガストンより最近では強くなってきている。まあスキルの量も違うし俺と一緒にずっと訓練してたしね。

「ルーニャってあの子供だろ?そんなに強いのか?」

「まあ俺の可愛い妹で愛情注いで育ててるしな。今度魔法無しで相手してやってくれよ」

「そりゃいいけどよ、俺はガキ……子供でも手加減できねーぜ?」

「その自信が六歳に打ち砕かれた時にどんな顔するか楽しみにしてるよ」

「はっ!いってくれるぜ!」

 ネムレスとはいい感じで訓練ができるのでこれからも続けていくことにする。


 リンネさん達は未だに出てくる気配無いけど流石にそろそろ帰りたい。

 一度相談しようとロックハウスに戻って見るが、クレアとルーニャは抱き合って気持ちよさそうに眠っていたのでそのままにする。何とも眼福である。

「仕方ないひとりで行くか……」

 誰かに侵入されても嫌なので扉に【創造】で鍵を付けてしっかり施錠して洞窟へ向かった。

 暫く進むと泣き声が複数聞こえてくる。


「うゎぁん、やだ!やだ!うぅぅ、絶対にもどらない!グズッお姉ちゃんもお父さんもお母さんも大っ嫌い!」

「うぅ、そんな事いわないでよ、お姉ちゃんが悪かったから一緒に帰ってよぉ」

 ご両親は何故か母親が父親に抱きついて泣いている。父親もどうしていいのかわからずただ泣いている。……これじゃ本当にいつまで経っても終わりそうに無かった。

 本当に面倒だ。


「あのお取り込み中悪いんですけど……」

「アキ様?」

 ああなんていうか美人の泣き顔ってグッと来るよね。でも今は悪いけど無視です。

「ウチの子も結構疲れているし、そろそろ帰らせてあげたいんですけど……」

「あ、そうですよね……お父さんとお母さんは先に帰ってください。私が絶対連れて帰るから」

「リンネさんも一緒に帰ってください。こいつは俺が何とかします」

 俺は疲れといい加減にしろって気持ちから相当冷たい目でナコルを見たのだろう。

「ヒィ!?」

 一瞬で怯えた目で俺を見るようになった。

「で、ですが……」

 自分の妹だし可愛いのだろう。だけど甘やかし続けた結果がこれだ。

 一回誰かが思い知らさなければいけないんじゃない?

「いったでしょ?うちの可愛いルーニャも限界なんですよ。

 それに護衛の冒険者も教会でのボランティア活動もあります。

 このまま拘束すると病人か怪我人が出た時に大変な事になりますよ?」

「アキ様……正直なところあなたにはどんな報酬を払えばいいのか私には分かりませんが、もし娘を連れて帰ってきてくれたら望む報酬を一生かけてでも用意することを約束します」

「あ、あなた!?」「何いってるのお父さん!?」

 お前はこの子の父親だろ、父親の役目を俺に押し付けて報酬で済ませるのか?

 ほら見ろ、父親にそんな事いわれてナコルが完全に落ち込んでるじゃん。

「わかった。じゃあもう出て行ってくれ」


 父親に無理やり納得されリンネと母親はこの場所を後にした。

 帰る前にクレアがここに寄ったので、元盗賊たちの日当の肩代わりをお願いした。

 ルーニャはやっぱり来なかった。


 さてどうするかね……


~ナコル~


 もうどのくらいの時間が経っただろう。

 お尻が冷たいし痛い、でもトイレはさっきこっそり行ったから大丈夫。

 

 あれ、また寝てたのかな?身体が痛い。って誰?また足音がする。


「ナコル無事なの!?ってなんで鍵もついていない檻に入ってるの?」

 お、お姉ちゃん?それにパパとママも?

「無事のようだねよかった。本当によかったよ。ほらそこから出てナコル一緒に帰ろう」

「そうよ帰りましょう。おばあちゃんがナコルの好きなもの作ってくれてるから」

 なに?どうせ帰ったら怒るんでしょ。騙されないんだから

「……あたしここにいる」

 本当は帰りたいけど、怒られたくないもん。

 ここにいれば怒られないですむもん。


 …………


 いつまで同じ話するのよ。もういいじゃない!もう何も聞きたくないよ!


「うゎぁん、やだ!やだ!うぅぅ、絶対にもどらない!グズッお姉ちゃんもお父さんもお母さんも大っ嫌い!」

「うぅ、そんな事いわないでよ、お姉ちゃんが悪かったから一緒に帰ってよぉ」

 お姉ちゃん何もわかってないもん!あたしがなんでこんなに悲しいかわかってないもん!


「あのお取り込み中悪いんですけど……」

 誰よ?って思ったらあのルーニャって子のお兄さん?なんで……

「ウチの子も結構疲れているし、そろそろ帰らせてあげたいんですけど……」

 いいよねルーニャちゃんは可愛いし!

「あ、そうですよね……お父さんとお母さんは先に帰ってください。私が絶対連れて帰るから」

 お姉ちゃん……嬉しいよ。本当は謝りたいよ。

「リンネさんも一緒に帰ってください。こいつは俺が何とかします」

 何いってるのこの人?

「ヒィ!?」

 怖い怖い怖い、お姉ちゃんあたしをこの人と一緒にしないで!

「で、ですが……」

 お願いお願いお願い!

「いったでしょ?うちの可愛いルーニャも限界なんですよ。

 それに護衛の冒険者も教会でのボランティア活動もあります。

 このまま拘束すると病人か怪我人が出た時に大変な事になりますよ?」

 そんな人なんてどうでもいいでしょ?あたしをこの人と一緒になんかしないで!殺されちゃう!

「アキ様……正直なところあなたにはどんな報酬を払えばいいのか私には分かりませんが、もし娘を連れて帰ってきてくれたら望む報酬を一生かけてでも用意することを約束します」

 ぱ、パパ?どういうこと?なんでお金の話してるの?

「あ、あなた!?」「何いってるのお父さん!?」

 お姉ちゃんもママも行かないでよ!

「わかった。じゃあもう出て行ってくれ」

 

 あたし本当に見捨てられたの?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ