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3章 22話:相談

3章 22話:相談


 クレアに着替えを手伝ってもらい支度を終えたルーニャがソファーに座ってる俺にダイブしてきた。

「おにいちゃん聞いて聞いて!リンネおねえちゃんのおっぱいすごいよー!」

「ブフォッ!」

 いきなりお茶を吹き出してしまった。いかんいかん。首から掛けているタオルで床を拭きながら平然を装って相槌を打つ。

「そっかそっかーで、何がすごいんだ?」

 やっぱり人間は正直が一番だよね。幸いな事にクレアはリンネさんの頭を乾かしてるようでドライヤーの音がするから聞こえていないようだし。

「クレアおねえちゃんのおっぱいも綺麗だけど、リンネおねえちゃんのは綺麗でおっきくてすごいやわらかいの。でもねどっちも先っぽが隠れ……」

「ル、ルーニャちゃんダメ!!」

 バンッと勢いよく脱衣所の扉が開き上下スウェットで顔をこの上なく真っ赤にチェンジしながら慌ててルーニャの口を押さえるリンネさん。何ていうか……うちの子がすみません。

「フゥフーーーゴモモゴ。ぷはー」

 でも聞こえていたのだろうか?ってあれ?狐耳?不安で人化解いてたんですねその判断は正解です。

 ……それにしてもリンネさん狐人でFカップでさらに恥ずかしがりの陥……っていかんいかん!でも、もう尻尾モフモフしてもいいよね?

「ウチの子がすいません。でも、なんていいますか……その服を着たほうが……」

 バスタオル一枚で飛び出して来たリンネさんを見たいけど見れないでも見たい!という衝動に駆られながらも紳士的な対応を心掛ける俺はヘタレなのでしょうか?

「え?ひゃっ!す、すみません!」

 律儀に頭を下げて急いで脱衣所に戻るリンネさん。振り返る瞬間に反動で捲れて見えた、生い茂る金色の草原を見たことは俺の一生の財産になりました。

 真剣に自分の部屋をどこかで一部屋借りようかと思う今日この頃です。


「ルーニャ、リンネさんの事は他の人には話しちゃダメだよ」

 とりあえずこれだけは防がなければいけない。誰だって隠したい事くらいあるよね。

「ん?はーい」

 絶対何でダメか理由は分かってないけど、俺がダメっていった事をする子じゃないから大丈夫だろう。


 そんな訳でクレアは理由を知らないが、若干の気まずい空気の中で食事会が始まった。リンネさんはクレアの下着のサイズが合わなかったのだろう俺のスウェットに胸の部分が少し浮いていて俺の想像を頭のノートに書き立てた。

 料理はクレアとルーニャが気合を入れただけあってクリスマスかってくらい見事なものだった。俺はそんなクリスマスを迎えたことないけど。

 食事をしながら本題を切り出した。

「それで、リンネさんの相談って何ですか?」

「ふぇ、モグモグ、ふぉふぉっとまっふぇ……ごくん。すみませんお見苦しいところを……」

 丁度肉を頬張っていましたか……リスみたいだけど可愛い。

「いえ、こちらこそ食べてるときにすみませんでした。めっちゃ可愛かったです」

「アーキー君」

 クレアに睨まれてしまった。どうもリンネさんと仲良くするとこの女神は不機嫌になるんだよね。

「ゴメンてそんなに睨まないでよ。で、そろそろいいですか?」

「は、はい。その相談というのは私の妹の事でして……」

「妹さんいるの?私も六歳の妹がいるのいくつ?」

 六歳の妹をこの世界の女神にした姉が食いついた。

「はい。私の妹はナコルといいまして、この間五歳になりました」

「じゃあルーニャと同い年だね。よかったなルーニャ友達できるかもよ?」

「え?私と同じ年の子がいるの?」

 この街はルーニャと同い年の子が少ない。というよりいない。丁度五年前に疫病が流行したようで身篭ってた人や小さな子供がいた人は別の土地へ逃げていったらしい。そんな中でルーニャと同い年の子がいるなんて驚きだった。

「ええ。私の祖母は結界魔法を使えますので家族は他の地に移らずに済み母はここで妹を産みました。ですが、同世代の友達が少なくて……ナコルより小さな子だとまだ遊べませんし……それで、同世代のルーニャちゃんを家族として受け入れたと聞き相談しようと思ったのです」

 確かに子供同士で遊ばせられずルーニャも俺と一緒にいるときは訓練してるし、教会にいるときはおっさん達に相手してもらってる現状だ。同世代の友達ができるならそれが一番良いに決まっている。

「ルーニャ会ってみよっか」

「うん!わたしあってみたい!」

「ありがとうございます。……その、申し上げにくいのですが。同世代の子がいない所為か、そのナコルは大変我が儘に育ってまして、ルーニャちゃんやアキ様、クレア様にご迷惑をおかけするかもしれませんが……」

「俺は別に構わないけどクレアは?」

「私も子供に気分を悪くしたりはしないよ?ルーニャは?」

「うん!あってみたい!」

「ということでお願いします。時間はリンネさんに合わせますので」

「ありがとうございます。次は是非、我が家にお越しください。今回のお礼を精一杯させていただきますので」

 クレアの方を向くと分かっていた様で目が合い、うん。と頷いた。

「では、伺わせていただきますね」


 相談も終え飯も食べ終えた後は、リンネさんと雑談というより質問攻めされた。


「アキ様とクレア様はどうやってそのような力を手に入れたのですか?ルーニャちゃんも【回復(ヒール)】使えるようですし……」

 これは正直に答えるわけにはいかないけど……いや逆に正直に話したほうが信じられないかな?信じてくれたらそれだけ俺を信用してくれてるって事になるしいいでしょ。

「俺はこの世界の元女神で現邪神のナイアによってここに飛ばされたんだ。その際に巻き込んでしまったのがここにいる女神のクレアね。

 そして、最近教会で新しく崇められてるのがクレアの妹のレスティちゃん。俺らは邪神を倒す為にこの世界の神への信仰を取り戻そうとしているって訳」

「ちょっとアキ君!?」

 いきなり本当の事をいったせいで動揺を隠せないクレア。さて、リンネさんはどういう反応をするのでしょう……

「なんとも半信半疑な内容ですが……そもそもこの世界に神なんていたんですね。

 最近の教会で崇められているレスティ様の事は聞いていますが、それ以前の女神など聞いた事もありませんでした。

 ですが、クレア様が女神様といわれましても、大変美しい方だとは思いますが、その……アキ様も神様なのですか?」

 クレアが女神以外は割りと信じられているようだった。俺意外と信用されているらしい。

「俺は女神っていうか死人だよ。別の世界で死んでクレアに会ってね、些細なきっかけからお世話になってたんだけど俺が邪神に怨みをかった所為でここに飛ばされたんだよ。だから本当はとっくに消滅してる存在なんだ」

 改めて言葉にすると切なくなるな。そうだよ最近はルーニャって家族もできて忘れてたけど俺は本当は死人なんだよね。本来ならとっくに消滅してる筈なんだよ。

 だけど、俺が消えるのはせめてルーニャを見送ってからだ。その為には大神のじいさんに願いを叶えてもらわないといけないな。

「アキ様が死人?死者ですか?それは本当なのですかクレア様」

「うーん。アキ君あんまりこういう事はいわないで欲しかったんだけど……まいったよ。でも間違いじゃないよアキ君は確かに死者ね」

「えっ?おにいちゃん死んでるの?」

 この事はまだルーニャにも話してなかったから混乱させてしまったようだ。

「ああ、黙っててゴメンな。でも俺が死んでなきゃルーニャにも出会えなかったから逆に良かったかもな」

「……グズッ、バカ。バカバカバカ!グズッ、ダメだよおにいちゃんが死んだらかニャしい人いたんだよ?グズッ……だからもう死んじゃダメだから!わたし今日からもっと訓練する!」

 ルーニャを泣かせてしまった。でも、果たして俺が死んで悲しむ人はいたのだろうか?親だって俺を会社の跡継ぎくらいにしか思っていなかったし、退社十分後に出勤しろっていってたくらいだし悲しまないだろ。今も代わりを見つけてるさ。

 だが、今度は別だ。流石にルーニャをひとり残す訳にはいかない。もっと俺も訓練を重ねようと心に誓った。

「では……本当にクレア様は女神様なのですか?」

「うーん。まあそうなんだけど証明って難しいのよね……」

「いえ、別に信じていないわけではないのです。ただこんな感じで話していてもいいのかと……」

「それはいいよ。寧ろアキ君にだって様呼び止めさせてるしね。せっかく職務から解放されてるんだから羽を休ませてもらいたいしね」


 話は落ちつき、ルーニャも落ち着いたところで今日は解散になる筈だったのだが……

「アキ様先程の訓練の続きをしたいのですが」

「えっ?投擲の?」

「はい。折角の機会ですのでやれるだけやりたいのです」 

 たしかにまだ服も乾いていないし、乾くまでならいいけど……その格好でやるんでしょうか?

「おにいちゃん、わたしもやる!今日はレベルが上がるまで投げる!」

 ルーニャもヤル気になっている。仕方ないとクレアの方を見ると『はぁ仕方ないわね。いいわよ』みたいな感じの諦めたような表情をしていた。


 その後は揺れるリンネさんの双丘を見続けたことはいうまでも無い。

 アドバイスを隣でしている最中に、汗で色が変わり肌に張り付いたスウェットを無意識のあまり胸元をパタパタやった所為で俺もリンネさんの恥ずかしがっている先端の桜色を見ることができた。

 その時の俺は大層鼻を伸ばしていたことだろう。本当に今日はどこか宿屋を借りようかと思う。


 結果的にスキルは覚えられなかったようだけど「また来ていいですか?」と言われたので「俺達がいる時ならいつでもどうぞ」といっておいた。


 リンネさんが【投擲】スキルを覚える日も近いかもしれない。その度に俺は宿を探すことになるかもしれない。


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