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2章 15話:子鬼

15話:子鬼


 ……っていってもゴブリンなんてどこにいるんだよ。

 夜で歩いても安全な国、日本で暮らしていた俺はそんな事を思いながら街道を【火球(ファイアーボール)】【水球(アクアボール)】【風球(ウィンドボール)】【土球(サンドボール)】を試しながら歩いていた。

 【水球】のみ始めに【創造】で水を生み出さなければ使えなかったがスキルの習得ができたし、よしとしよう。

 そんな時に前から走ってくる馬車に何匹か子供がくっ付いている?いや、あれが子鬼か?本当にいた?と状況を理解する。

 そして、一匹の子鬼が手に持っていたナイフで馬を切りつけると馬は暴れ、車輪が跳ねて幌が倒れ御者が飛ばされた。

 あの落ち方はヤバイだろ!

 俺は急いで頭から落ちた御者のおっさんの所へ駆け寄り【回復(ヒール)】を唱えた。痛さで苦しんでいた顔が若干安らいだのを確認して、杖をこの場に置き、すぐに剣を抜くと目の前には、腹が減ってるのか目を血走らせ『グギィヤャ』『ギュァアァ』『グルァァユア』と鳴き声で会話?をする三体のゴブリンがいた。残りは馬を襲っているようだ。

 仕方がない、やるか! 


「【創造(クリエイト)】!」


 両手に十本のクナイの様に加工された岩を創り出す。ぶっつけ本番で【投擲術】を覚えるために、逃げ回りながら必死で投げて、その度に感じる違和感を消していく。あっという間に十本は投げきったが、そのおかげで【投擲術】はしっかりと覚え、運よく頭を貫いた一体はもう動かない。他の二体のうち一体も腕に命中したのか武器を落としていた。

 武器を持っている方に魔法の【火球(ファイアボール)】を【投擲術】でぶつけて怯ませてる間に、もう一体の手負いに剣で切りかかる。首を切り離そうと剣を振るうが、スパッとは切れずに両手でクロスガードされ、骨に当たり止まった。引き抜こうとするが両手の骨に食い込み抜けない。

「チイッ!」

 剣を手放し、盾をゴブリンに叩き付ける【シールドバッシュ】で距離を取った。そのまま御者の所まで駆け置いておいた杖を持つ。幸いな事にゴブリンもクロスガードの状態で食い込んだ剣により腕が封じられているようで、醜く叫びながら逃げ出している。

 もう一体も未だ消えない炎を消そうと叫びながら地面を転がっていた。そんな二体の悲鳴を聞き、馬を襲っていたゴブリンもこっちに興味を示す。

 ……これ以上同時に襲われるのはまずいな。

 でも!

「逃げんなよ!」

 まずは、逃げ出したゴブリンに狙いを定め後ろから杖で頭を力任せに殴る。『ミシッ』と杖から嫌な音がするが、今は気にしていられない。杖で殴ると若干だが身体が軽くなったように感じた。

 殴られた事で振り向き威嚇をしてきたが、そんな事に構ってる時間はない、杖の先端を目に突き刺し止めを刺す。ピクピクと痙攣するゴブリンは無視し腕に食い込んだ剣の柄を蹴り、無理やり飛ばす。

 火球をぶつけた方は、とっくに事切れていたようで、後は馬を襲った方を……と確認したら仲間がやられた事で怖気づいたのかもう逃げ出していた。


「もっと精神的に来るかと思ったけど、案外平気だな……ってヤベ!」

 ゴブリンの遺体が放つ異臭に顔を顰めるも案外平気な事に自分でも驚くが、そんな事より御者のおっちゃんだった。

「大丈夫ですか?大丈夫ですか?」

 人命救助の講習で習った通りに肩を叩き大きな声で呼びかけながら意識の確認をする。

「反応無し。次は呼吸の確認だったよな?胸と腹部の動きを見てっと。呼吸はオッケーね。【回復(ヒール)】【回復(ヒール)】【回復(ヒール)】【回復(ヒール)】【回復(ヒール)】……ダメだ気持ち悪くなってきた」

 杖を持ってまだピクピクしているゴブリンを何度も叩く。

「これで魔力が補給される筈……おっ少し楽になったかも!」

 この際ブラシーボ効果でもいい、もう一度おっちゃんの意識を確認する。

「大丈夫ですか?大丈夫ですか?」

「う、うう?君は?」

「目が覚めましたか?一応俺はその……冒険者です。襲われてたのを見かけたので救助をしてたんですけど……ああ立たないで!頭ぶつけてるから今は動かないほうがいいです」

 こういう場合この世界では名乗るべきなのか?

「そうか、すまなかった。私は……商人のガルスといいます。私の馬車は?」

 名乗ったほうがいいのか?

「俺はアキって言います。それで……馬はダメそうです。積荷は確認していないのでちょっと……」

「そうか、でも君のおかげで命は助かったようだ。礼を言おうありがとう」

 このままここに放置も出来なかったので、俺がおっちゃんをおんぶして街へ戻った。

 門番に事情を説明しギルドカードを見るとおっちゃんの入場料は後でいいといわれ、中に入る。

 そして、俺が運んだ場所は教会だった。


「「「【回復(ヒール)】!」」」

 中では、むさい男達が上半身裸で汗を書きながら必死に回復魔法を唱えていた。

「失礼しまし……」

「「「アニキ!」」」

 身の危険を感じ立ち去ろうとしたが、呼び止められ上裸の男達に囲まれた。

 こいつら良い筋肉してんな……じゃない!今の無し!

「悪いんだけど、今の時点で【回復(ヒール)】覚えてるのは?」

「俺ら魔術師の五人です」

 上半身裸ではないローブに身を包んだ男達が前に出る。元々が魔術師で魔法が使えた者は、すんなり回復魔法を覚えたようだった。

「この人が街道でゴブリンに襲われて頭打ってるから、俺がクレア連れてくるまで【回復(ヒール)】お願いしてもいい?」

「「「「「任せてください!」」」」」


 おっちゃん待っててね

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