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2章 14話:今度こそ本当にスキルを

14話:今度こそ本当にスキルを


 仄暗い深い森の中を俺は逃げるように走っていた。……というか逃げていた。背後から迫るのは僕の二倍以上の大きさを持つ白と黒の犬?いや狼?だった。

 森の狩猟者に俺が敵うはずも無く、白い方に体当たりを喰らい足は地面を捉えることが出来なくなり、気がついた時には体全体で地面を感じていた。うつ伏せに倒れた俺の背中には舌を出し『ヘッヘッ』と息を荒くした黒い方のが乗っかっており動くことはできない。

 これまでか……と頭をよぎった時に『ハッ』と目を覚ました。

「……夢か?……ってこりゃ魘されるか」

 俺の体に足を絡め、胸の上に頭を置いて幸せそうに涎を垂らしながら熟睡する女神様を見て納得する。俺はクレアの口元を拭い、頭を撫でながらあの夢は『何だったんだろう』と違和感を感じずにはいられなかった。ただその違和感も「アキ君もっと~」と寝ぼけたクレアから発せられる気の抜けた寝言で緊張感が抜け、頭を撫でている内にいつしか再び眠りに落ちていた。


~朝~


「それは予知夢かもしれないわね。そこまでハッキリ覚えているし、現にこの世界には白狼と黒狼は存在するから……でも高い知性を持っていて無害な人間を襲う事はないと思うんだけどな」

「まあ何にせよ気を抜かないように気をつけるよ」

「そうね。じゃあ朝ごはんにしよっか」


 朝食を摂り、シャワーを浴びて商業ギルドへ行きアンデッドの核を換金する。

 結果、アンデッドの核はひとつ銀貨5枚で売れた。ちなみに銀貨1枚は日本円で大体千円らしい。124個売って62万円の儲けになった。

 ここでクレアに硬貨について説明を聞き理解する。


鉄貨:10円

銅貨:100円

銀貨:1000円

大銀貨:10000円

金貨:100000円

大金貨:1000000円

白金貨:10000000円

 

 こんな感じだ。

 武器屋で買った杖は金貨2枚で20万もしたらしい。今回は現金では貰わずに俺とクレアのギルドカードに金貨31枚ずつチャージした。

 換金も済み、俺は家に帰ってスキルを覚える訓練をしたいとクレアに伝えたら、「私は少し買い物をしたいから街を見て回ってもいい?」と言われた。クレアも日暮れまでには帰る事を約束し、俺は一人家に帰った。


「武器のスキル自体は覚えたけど、魔法はここじゃ練習できないんだよな……」

 そう、いくら街外れに住んでるとはいえ、近くに家が無いわけでもない。こんな所で魔法をバンバン打ち出してたらすぐに警備兵が来て連れて行かれる。

「仕方無い、外行くか」

 片手剣を腰に挿しラウンドシールドと杖を持って、どうせならと冒険者ギルドへ行き初心者用の討伐は無いかシーナさんに尋ねた。

「でしたら、報酬は少ニャいですが子鬼(ゴブリン)の討伐がいいと思います。緑色の肌をした十歳児程の大きさの魔物です。素材の買取は出来ませんが、人間を襲うので色々ニャ物を持っており、盗品登録がされていればそれニャりの金額が持ち主から報酬として出ることもありますよ?」

 シーナさん今日も可愛いな~耳触りたいな~ダメかな~

「じゃあそれでお願いします。ちなみに何体討伐すればいいんですか?」

「それに関してはFランクのアキさんの場合は一体以上です。一体でもクエストクリアににゃりますよ。

 これは、Fランクで少人数パーティやソロだと、いくらゴブリンとはいえ魔物は脅威にゃので一体でも報酬を出すようにしています。

 ちなみにEランクからはゴブリンですと、十体以上がクエスト達成条件ににゃります」

 冒険者を育てるための救済措置らしい。それにしても可愛いな~

「じゃあそれで」

 ギルドカードをシーナさんに渡す。クエストはギルドカードの表の一番下に記載される。最大で三個まで同時に受けられるが、焦ってもいないし今日はこれだけでいいだろう。

 それにしてもピクピク動く耳は可愛いな~

「……私の耳は触らせてあげませんよ?」

「ふぇ!?」

 見すぎたか?いやでも何どういう事?心読めるの?ギルド職員ってそんなスキル持ちなの?

「さすがにそんニャに見られれば気づきます。まあ胸とかをジロジロ見られるよりはいいですけど……」

「す、すみません。ピコピコ動いて可愛いなって思って……」

「褒めて貰えるのは嬉しいですけど、私達【猫人族(ニャーテル)】は家族か伴侶にしか掟上、身体は触らせられにゃいのです。もし違う人に触らせた場合は家を追放されますので……でも、アキ様が私を一生遊ばせてくれるのでしたら本気で考えますけど?」

「俺が本気で受け入れたらどうします?」

「……本気で考えちゃいますよ?」

「俺に好意があるのなら」

「今の時点では普通ですニャ」

「……でしたら魅力的ですけど大丈夫です。無理に触って嫌われる事はしたくないので、でもたまに目で追っちゃうのは許して欲しいです」

「アキ様にはクレア様がいますもんね。まあ、たまになら許してあげてもいいですニャー」

 最後、わざとにゃーと伸ばし、上目遣いで見てくるシーナさん。完全になめられてるけど、悔しいけどメッチャ可愛かった。

「伝える事がありました。墓地のアンデッド討伐の件は確認が取れましたので報酬が支払われます。報酬は金貨80枚でしたが、討伐したアンデッドの数が多かった事から追加で金貨20枚が足され合計100枚ににゃります。どのようにニャさいますか?」

「じゃあカードでお願いします。それと俺の分の半分だけってできますか?」

「大変申し訳ございません。それはできません。ですが、カードに入れたお金を他人へ分ける事は商業ギルドで可能ににゃっております」

「じゃあ俺のカードに入れておいてください」

「承りました」

 

 用事も終わり、昼飯用の弁当をギルド内の酒場でお願いしたら簡単な保存のきく物を作ってくれた。

 準備も終えてゴブリンを狩に街を出るんだけど、アンデッドの時とは違い南門から外へ出る。シーナさん曰く南の街道での被害が最近増えていると聞いたからだ。

 クレアにお金の管理はまかせっきりで知らなかったけど、この街は出て再入場する時に、例外を除き税を納める住人以外はお金を取られる。その例外というのがクエストで外に出る場合だ。

 クエストはいわば街を良くするの改善にも繋がるので、再入場の際にクエストが記載されたカードを見せることで入場料が免除になる。


「さて行きますか!」


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