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チャイルズ・ワールド  作者: サイタマメーカ
――――報告なし
91/110

世界最悪の細菌

 すべての復元身体はキカク地域にいた。


 ある者は、人民の威嚇を。

 ある者は、統括者の脅迫を。

 ある者は、人的鎧(ヒューマノイド)との戦闘を。

 ある者は、キカクという地域で移動を。

 ある者は、二度目の電子媒体への侵入を。

 ある者は、電子世界での最悪とも呼べる暴行を。

 ある者は、全世界へ向けてのメッセージを、その行動で示しながら。


 しかしそれは、栄華と同じだ。一時期の栄光を見たものは、再び落ちるのが道理だと。


 その無限とも呼べる状況の中で、彼らの終わりは現れた。


 瞬間的に、人的鎧(ヒューマノイド)に乗り移っていた復元身体に異変が起こった。


 彼らはみな一様にバグが起きたように発言の呂律が回らなくなり、びくびくと痙攣を起こしたようになりながら、その場に倒れ込んだ。


 すべての復元が一斉に。電子媒体に介在していた彼が、通信というものを介するのであれば例外なく、その場で現象は起きた。



 滅び。



 それが、その現象には相応しい。


 そして伝染でもある。電子の中での何かは光の速さで彼の体内に入り、潜伏期間もなしに、その機能を徹底的に破壊した。結果的に復元身体というプログラムが入り込んだ人的鎧(ヒューマノイド)は例外なく、その場で搭乗者のいない機械が残された。


 そして電子世界では。 


 そこに存在していた、復元身体のプログラムは完全に、一瞬で崩壊した。


 プログラムの破壊。演算と目的の為に作られたそれらは、元に戻らないほど凄惨に破壊された。同時に、彼のオリジナルとも呼べるデータも崩れた。


 結果として。


 わずか十五分もたたずに、今までの喧騒が嘘のように、その出来事は決着した。

 彼らに相対してうたハリヤマ・ネズとそのグループは、その現象が分からない。


 電子の中で破壊されたのは、復元身体のみではない。他のプログラムも、まるで副作用のように破壊し尽くした。個人データからパブリックデータまで隈なく。虫を払い落とす目的が、もっとも守らなければならない作物を攻撃してしまったかのような、広い範囲で作用する殺虫剤のように。


 そして、避難をしていた人物の中の何人かは、その現象を知っていた。


 彼らは、かつてのトラウマを思い出した。


 細菌だ――と。



 それは間違いなく、数十年前に世界の体制を一変させた、最悪の細菌そのものだった。


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