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チャイルズ・ワールド  作者: サイタマメーカ
――――報告なし
87/110

自信を持つことは難儀だね

「おいハリヤマ、動きがあった。というか、拙いぞ」


 向こうで、オリガ・カナエを囲むようにして情報を集めているProcessingの一人がこちらに手を振る。彼らは、自身の端末と人的鎧(ヒューマノイド)の通信で情報を拾っているところだった。


「どんな?」


人的鎧(ヒューマノイド)を作ってる工場から出荷予定の人的鎧(ヒューマノイド)、合計三百五十七機が一人でに動き出したらしい。いますげえニュースになってる。出荷待ち人的鎧(ヒューマノイド)の突然の暴動。クラッカーの仕業とみられる――だそうだ」


「――最悪だな」


「こっちにももうすぐにでも出動命令がかかるぜ。準備してたほうがいいんじゃないすか」


「ああ、うん。ありがとう」


 そんな会話をしつつ、彼はこちらに顔を戻す。


「信じていいのか?」

「何が?」

「おまえらを、だよ」

「人間を信じる人間の気持ちが、俺にはまったく信じられないけどネ」


 ハリヤマは呆れた顔をする。何言ってんだこいつ、という顔である。


「ま、任せてくれるっていうならいいよ。必要な要素と物もいただいたし、もう不必要なものは――運くらいかな。俺にとって、きみ達が敵に回らなかっただけでも最大の幸運なんだ。これで、おそらくは対抗できる」


 ハリヤマは、息を吐く。それは、呆れたような、それでいて笑ったような、そんな分かり難いものだった。


「せっかくなら倒して来い。オレ達はオレ達の役割がある。おまえはおまえの仕事をしろ。互いの敵が共通でないことに気を付けながらな」


 言って、彼は人員の元に歩いて行った。そうして、Processingの面々は立ち上がる。


 ハリヤマは置いてあった人的鎧(ヒューマノイド)を着こみ、周囲を見回した後、肩を回す。


「あ、ところで教えて欲しいんだけど、ここら辺で巨大なコンピューターがあるとこってあるかな」


『ダムだろ、ここ。キカクのダムはほぼ機械制御だ。人間に連絡する為に通信技術もインターネットも充実してる。おまえが何をしたいのか知らないが、やることには事欠かないはずだ』


 言って、彼はこちらに背をむけたまま、手を振って見せる。


『じゃあな不審者。手助けはしてやれないが、後は勝手にしろ』

「言われなくてもそうするヨ」


 ハリヤマはそこで短く舌を打つと、周りの人間を引き連れて、上空へ旅立って行った。


 先ほどまでいた人間が一瞬でいなくなる現象に、今の今までその中心にいた彼女は放心したようになっていた。


「さ、俺達も行こう。そろそろ、来るはずだ」


 言って、彼女に手を伸ばすと、彼女もそれを握って来た。


「……信じるからな」

「誰を?」


 言うと、彼女は俯いて、そのまま黙った。


「信じる人間を間違えないことだ。今、おねーさんが信じるべきは誰かじゃない」

「じゃあ、誰だよ」

「さて、まあ何でもいいんじゃない? 他人以外なら信じてもそこまでの被害を被らないよ。ああ、でも一番被害が少ないのは――」


 彼女の顔に指を向ける。


「自分を信じてみることじゃないかな? ほら、資格も条件もいらないし。それに自分に裏切られる、なんてことはしょっちゅうだろ?」

「…………」


 彼女は呆れたように息を吐いて、それには答えなかった。


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