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ヴィリジアン  作者: 千月志保
第11章 真相
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再会

 穏やかな時が流れていた。こんなに笑ったのは久しぶりだとグレンは思った。エストルと今の状況について考えていたことを正直に話した。今まで伏せていたこともつかえていたことも全て話せてすっきりし、その話題について話すことは尽きた。その後は士官学校時代の思い出話をした。楽しい学校生活を送っていたのだということを今改めて思った。

「そろそろ時間かな」

 少し名残惜しそうに言ってエストルが立ち上がる。

「僕も、出席するよ」

 グレンが上半身を起こす。エストルはグレンの体調が順調に回復したのを見てにっこり笑った。

「先に行って準備をしておく。客人も迎えなければならないしな」

「うん。後で」

 グレンはエストルを見送ると、ベッドから出て身支度を調えた。まだ時間には少し早そうだったが、特にすることもないので、もう指定された部屋に向かうことにした。

 部屋の扉を開けようと手をかけると、反対側から引っ張られた。

「グレン」

 少し驚いたようなエストルの顔がのぞく。こんなに早く来るとは思わなかったのだろう。

「ごめん。早かったかな」

 誰か近くにいても聞こえないように小声で言った。

「いや、構わない。入ってくれ」

 入るなりグレンは知っている顔を見つけて嬉しそうに声をかける。

「クレサック将軍、ウィンター、それにシャロンまで」

 リネルの森の住人たちだった。

「シャロンから事態が急変したことを聞いて駆けつけた。もっともウィンターは出先で王都で何か起きているらしいと噂を聞いてこちらに向かっていたようだが」

「残念ながら間に合わなかったが」

 ウィンターは申し訳なさそうに言った。

「シャロン、大丈夫なの?」

 椅子に座ったままのシャロンをグレンは気遣う。この前ソードにやられて帰らせたものの、まだそれから日が経っていない。

「グレン将軍こそ。エストル様からうかがいましたよ」

 答えるよりも先に疑問が湧いて、グレンは何も考えずにそれを口にした。

「シャロン、言葉遣いいつもと違わない?」

「言葉遣い?」

 シャロンがぴくっと反応する横でエストルが不思議そうに聞く。

「いや、さすがにお城ではあまり馴れ馴れしいのもまずいなあ、なんて」

「そうだな。グレンはここでは王騎士という立場だからな」

 先にエストルの方が察して答える。それを聞いてグレンはやっと事情を呑み込む。今までは仲間のような関係だったので、あまり気にしたことがなかった。

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