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ヴィリジアン  作者: 千月志保
第9章 スア
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 グレンは「敵」という言葉にはっとなる。ソードの、敵。

「そんなの、嫌だ」

 ずっと見守ってくれていたのに。ずっと信頼していたのに。

「選べ。共に城に戻るというのなら、喜んで受け入れる。だが、ヴィリジアンを力尽くで奪うと言うのなら」

 ソードはヴィリジアンを目の前に掲げた。瞳が妖しく輝く。

「覚えているか? ヴィリジアンは破壊してもよいと言われている」

「駄目。やめて!」

 ソードは宙に舞い、ヴィリジアンに魔力を込め始めた。唯一の希望が砕け散ってしまう。グレンは慌ててソードを追おうとしたが、体がぴたりと静止した。何かの力がグレンの動きを邪魔している。

「グレン将軍!」

 背後でシャロンが叫んだ。そのとき、ヴィリジアンの青緑色の石が強い光を放った。グレンの瞳がそれに反応するように輝く。すると、グレンは強い魔力を持った青緑色の光に包まれた。突然、激痛が全身に襲いかかる。

「なんだ、これは」

 ソードは驚いて剣に注ぎ込む魔力を強める。それに呼応するかのようにグレンの叫び声が大きくなる。

「ヴィリジアンが自分の身を守るために、グレンの体を盾にしているのか?」

 どう考えてもそうとしか思えない。ヴィリジアンに注ぎ込んだ魔力がどんどんグレンに流れ込んでいっている。そうでなければ、もうとっくにヴィリジアンは粉々に砕け散っているはず。そして、グレンはヴィリジアンの身代わりになってソードの破の魔力を全身で受けながらも耐えている。

「破壊は叶わぬか」

 ソードは魔力を注ぐのをやめた。魔力から解放されたグレンはばったりと倒れた。

「ならば、陛下にお届けするのみ」

 ソードはくるりと背を向けて歩き出した。しかし、グレンはその後ろ姿に手を伸ばした。

「待て……ソード」

 グレンの瞳が緑色に光る。ヴィリジアンの石が同調してきらめき、剣が柔らかい光で包み込まれる。一瞬でその光は膨張し、ソードの前で爆発した。ソードの体は吹き飛ばされた。グレンは大地を蹴りながら起き上がって、ソードの手から離れたヴィリジアンに飛びつく。体中に痛みが走ったが、痛覚を封じながらグレンは倒れているソードに歩み寄った。ソードの鼻先にヴィリジアンを突きつける。

「そうか。ヴィリジアンは使い手と一心同体になれるようだな」

 ソードが嘲笑するように言うと、グレンは険しい顔のまま答えた。

「ヴィリジアンが受けた魔力を僕に伝えることができるのなら、僕の魔力をヴィリジアンに伝えることもできるはず」

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