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ヴィリジアン  作者: 千月志保
第9章 スア
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壁外戦

 急に空を暗い雲が覆い出す。ソフィアは気になってふと空を見上げる。そのときだった。異様な気配を前方に感じた。次の瞬間、もう周りの兵士たちに指示を飛ばしていた。

「敵だ。撃て!」

 兵士たちは矢や閃光を放った。空間が裂け、〈追跡者〉の姿が現れる。

「くっ」

 集中砲火を浴び、少し後退を迫られる。

「攻撃をやめてシールドを展開して」

 ソフィアが指示すると、すぐに兵士たちが従う。指揮系統は完璧だ。

「リン、ルイ、行くわよ」

 三人は〈追跡者〉に向かって走り出した。

「ルイ、シールド解除!」

 距離をつめると、ソフィアの指示が飛ぶ。ルイが左手を広げて宙に水平線を描くと、シールドは瞬く間に消えた。ソフィアがすぐに最初の一撃を放つ。〈追跡者〉は軽々と避けたが、次のリンの攻撃は避けきれなかった。すっと浅い傷がつき、細く赤い線が腕に現れる。だが、休んでいる暇はなかった。続いてルイが、そしてまたソフィアが、三人の剣が次々と容赦ない攻撃を加える。〈追跡者〉は少し後退した。

「なかなかやる」

 にやりと笑うと、手に光をまとった剣が現れる。実物の剣ではない。魔力で作った剣だ。

「ふうん。魔法だけじゃなくて剣も使うのね」

 ソフィアが言うと、〈追跡者〉は口元を吊り上げた。

「そのときの気分次第だ。来い!」

 言われて三人が再び襲いかかる。〈追跡者〉は的確に三人の剣の攻撃を光の剣で跳ね返してくる。

「きりがない!」

 ソフィアは後ろに下がったヴァンパイアを狙って助走する。

「リン、ルイ、下がって!」

 ソフィアは渾身の魔力を剣に込めて宙に大きく弧を描いた。それを見て〈追跡者〉も同じ動作をした。二つの弧は高速でぶつかることなく上下で交差し、それぞれの標的に凄まじい爆音を立てながら衝突した。間髪を入れず、リンが巨大な光の球を放った。ルイはソフィアの前に結界を張った。

「将軍!」

 ソフィアは結界を張ってもらったにもかかわらず、ルイの方まで吹き飛ばされた。〈追跡者〉はソフィアの攻撃を胸に食らい、よろめいた。傷はそれほど深くなかったが、次に襲ってきたリンの魔法がその傷を深くえぐり出した。多量の血が噴き出す。〈追跡者〉は力なく宙に浮きながら胸に手を当てた。

「そんな、ばかな……人間、ごときに……」

〈追跡者〉はマントで全身を覆い、消えた。

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