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ヴィリジアン  作者: 千月志保
第8章 ロソー城
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信じる力

 上級ヴァンパイアは強い。本当に何か目的があるのなら、どのような手段を用いてでも城に侵入する。その力を持ってすれば、強行突破することだって不可能ではない。

「もちろん全力は尽くす。だが、覚悟は決めた。もしヴァンパイアが城に侵入してきたら、これまで築いてきたことが一瞬にして崩れる。全く違う道をまた一から模索しなければならない」

「エストル、何を……?」

 訳が分からなくなってグレンが顔を上げる。エストルの言葉の真意を汲み取ろうと五感を研ぎ澄ますが、何も見えてこない。

「それでも、失ったものは必ず取り返す」

 こんなにエストルが自信のなさそうな発言をしたのは初めてだ。だが、全てを吐露してしまったエストルはどこかほっとした様子だった。

「何かを失ってもそこで立ち止まらないで欲しい。そこが出発点だと思ってまた歩き始めるんだ」

「何言ってるの? エストル、なんか変だよ」

 まるでこれから起きることを全部知っているような。

「何なの? ヴァンパイアにひれ伏して要求を全て受け入れるつもり?」

「諦めるつもりはない。だが、奴の実力もお前もよく知っているだろう。だから、必要になったとき、思い出して欲しい」

 エストルにはグレンに見えていないことが見えている。だが、今はまだ言えないのだろう。いずれ明かされる時が来る。不安で仕方がないが、どうすることもできないのだろう。

「エストル、何だかよく分からないけど、君を信じる。今の僕にはそれしかできないけど」

 全てを明かしてもらって少しでも支えになることができたらいいのに。

「ありがとう、グレン。私もお前を信じている」

 グレンは曖昧な微笑みを浮かべた。不安感は拭えないが、今はエストルに信頼されることがただ嬉しかった。それが何よりも前に進む力になるような気がした。どのような未来が待っているのかグレンには分からなかったが。


 翌日から城周辺の警備が強化された。

「問題はなさそうですか、ドマーニ隊長」

 南門で部下たちに指示を与えるドマーニを見つけてグレンは声をかける。

「はい。滞りなく進んでいます。特に異常もないようですな」

「そうですか。引き続きよろしくお願いします」

「了解です」

 グレンはそのまま城壁の上を歩いて行った。時々立ち止まって城壁の外側の景色を眺める。青い空が広がっていて特に変わったところはない。

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