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ヴィリジアン  作者: 千月志保
第7章 ロソーの森
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〈追跡者〉の目的

「はい。今日、クレッチと夕食の約束をしていたのですが、時間になっても森のパトロールから戻ってこないので、グレン将軍と探しに行ったのです」

「グレンと?」

 エストルは怪訝そうな顔をした。

「はい。久しぶりだったので、グレン将軍も夕食にお誘いしたのです」

「なるほど」

「それで、森の中を探していると、異様な気配がして、突然意識を失ったクレッチを目の前に放り出されまして」

「上級ヴァンパイアが現れたということか」

「はい」

 デュランは一呼吸置いて続けた。

「〈002 追跡者〉でした。〈追跡者〉はクレッチの記憶をのぞいたと言っていました」

「記憶?」

 珍しくエストルに焦りが見られた。

「はい。そして、興味深かった、とも」

 エストルは頭を抱えた。

「どこまで知られてしまったのだろう」

「分かりません。ただ」

「そうだな。おそらくお前たちと私がつながっていることを突き止めたのだろう」

「はい。おそらく」

 苦しそうな表情をしてデュランが答える。

「その後、〈追跡者〉はどうしたのだ?」

「そのまま消えました」

 最初からクレッチの記憶が目的だったというのか。クレッチはグレンの部下だ。

 先日、〈追跡者〉が現れてグレンを襲った。以前グレンの前に現れた上級ヴァンパイアと同一人物だったとグレンは報告した。そのとき、グレンは魔力を奪われたと言っていた。そして、先日も魔力が底をついて、しばらく安静にしていたと報告している。しかも登山者の脅威となっていた魔獣は姿を消してしまったという。

 ワイバーン型の魔獣というのは、間違いなくテルウィングによって開発された魔獣だ。であれば、上級ヴァンパイアが指示して動かすことも可能だ。最初から魔獣はグレンをおびき寄せるための餌だったのではないか。

 〈追跡者〉が執拗にグレンにつきまとっているような気がしてきた。初めて会ったとき、〈追跡者〉はその魔力を気に入って吸収している。グレン自身がそう報告した。気になって今回も魔力を吸収されたか聞いた。答えはイエスだった。グレンの良質の魔力が目的だったということも考えられる。だが、今回はそれ以上に真実を多く知りすぎたグレンを危険因子としてマークして行動し始めているのではないかという懸念が払拭できない。


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