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ヴィリジアン  作者: 千月志保
第5章 インディゴ
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森の隠れ家

「久しぶりだな。相当腕を上げたようだな」

「そんな。こんな姿で……お恥ずかしいかぎりです」

 激しく混乱している。顔を赤らめるグレンをクレサックは優しい眼差しで見た。

「そんなことはない。お前ほどの腕がなければ、あの状況から生還することは難しかった」

 あの状況?

 グレンはぼんやりと記憶をたどった。

 インディゴ鉱山に捜索に行って、クラーケン型の魔獣に腕を刺されて――

「あの魔獣の毒は猛毒だ。お前の治癒力で初期段階に解毒をしていなかったら死んでいた」

 グレンの表情がこわばった。今思い出しても怖い。あのときは本当にもう駄目かと思った。

「ウィンターが来てくれなかったら……死んでた」

「一人では無理だ。私も魔物がお前に気を取られていたからこそ倒せた。それにお前の魔力を借りなければあれだけの巨体は斬れなかった」

「そう……それより……」

「ああ。そうだな」

 クレサックはグレンに笑いかけた。

「ここは、私の家。隠れ家だ」

「隠れ家?」

「そう。隠れ家だ。窓の外を見れば分かるが、森の中にある。辺りには特殊な結界が張ってあって、私が認めた者しか入れない。それ以外の者はここにたどり着けないようになっている」

「なぜそんなことを?」

「ヴァンパイアを殲滅するためだ」

 グレンは目を丸くした。クレサックは続けた。

「王騎士だった頃、とある村にヴァンパイア討伐に行き、ウィンターと出会った。そして、真実を知った。お前も聞いたはずだ。ヴァンパイアがテルウィングの生物兵器であり、それがゲートを介して送り込まれてきたのだと」

 そのとき、隣の部屋でドアの開く音がした。

「ただいま」

 またしても聞き覚えのある声だ。

「あ、目、覚めたの?」

 顔を覗かせたのはシャロンだった。グレンは驚きのあまり声が出なくなった。

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