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ヴィリジアン  作者: 千月志保
第5章 インディゴ
30/170

重圧

第4章までの登場人物


グレン ムーンホルン王騎士


ソード ムーンホルン王騎士

ソフィア ムーンホルン王騎士


セレスト ムーンホルン国王

エストル ムーンホルン宰相


ウィンター 上級ヴァンパイアを追う冒険者

シャロン ヴァンパイア化した人間を元に戻す剣を持つ冒険者


クレッチ 上級兵士。グレンの部下

デュラン 上級兵士。グレンの部下


 グレンはドアの前で立ち止まってノックをした。

「入れ」

「失礼します」

 グレンが部屋に入ると、エストルは本棚からノートと地図を取り出し、テーブルに広げた。

「まあ座れ」

 グレンが席に着くのを確認して、エストルは自分も座り慣れた木製の椅子に腰かけた。

「インディゴ鉱山がどこにあるか覚えているか?」

「確か……」

 グレンは王都の南西、内陸部にある山脈の北東を探した。

「あった。ここだ」

「そう。鉱山というが、まあ要するに中は天然の洞窟だ。数十種類の鉱石が採れるらしい」

「随分多いね」

「あまり奥に行く人はいないが、奥の方でしか採れない鉱石というのもあって、今回失踪した人たちは奥の方に採掘に行ったらしい」

「だけど、戻ってこなかった?」

「そう。インディゴ鉱山の近くの町には採掘者ギルドがあって、そこに登録している人だけが採掘できる仕組みだ。二名が鉱山から戻っていないことが分かり、すぐに冒険者ギルドに捜索を依頼したらしい。二名の冒険者が現地に向かったが、その二名も還ってこない」

「鉱山の奥に魔獣がいて襲われたとか、そういう可能性が高そうだね」

「ギルドの人たちもそう考えている」

「分かった。行ってくるよ」

 グレンが席を立とうとすると、エストルが止めた。

「また一人で行くのか?」

「そのつもりだけど」

「部下を連れて行ってもいいんだぞ」

「分かってるけど……一人の方がいいんだ。その方が魔獣を倒すことだけに集中できて。他人の指示出したりとか、あんまり得意じゃないんだ」

「本当は……部下を危険に晒したくないんだろ」

 見透かされていた。やはりエストルには嘘が通用しない。

「部下は危険に晒したくないのに、自分は平気で危険なところに行くんだな」

 エストルが小さく呟く。

「グレン、私は、お前がいなくなるのが怖いんだ」

「え?」

 急にそんな言い方をされて、グレンの方が困惑した。

「私には宰相の仕事は荷が重すぎる。よく重圧に押しつぶされそうになる」

「エストルが?」

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