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ヴィリジアン  作者: 千月志保
第4章 アウル
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シャロンの剣

「これで全部かなあ」

 カチンと女性が指を鳴らすと、ヴァンパイアたちは何事もなかったかのように目を覚まし、起き上がる。

「あれ、俺、なんで?」

 起き上がったヴァンパイアたちは言葉を発した。目が下級ヴァンパイアに特有な虚ろな目ではない。はっきりと意志が感じられる目だ。

「どういう、ことなの?」

「元どおりになっただけよ」

 あっさりと女性は答えた。

「じゃ、またどこかで会ったらよろしくね、王騎士さん」

「待って!」

 一歩踏み出そうとした女性を呼び止める。聞きたいことは山ほどあるが、答えてもらえるとは思えない。いちばん当たり障りのなさそうな質問をぶつけてみる。

「名前は?」

「シャロン。あ、そうそう。何もなかったことにしておいてね」

 笑顔で答えて去っていった。

 青緑の瞳。なぜグレンが王騎士であることを知っているのか。そして、何よりもその行動。

 元どおり。

 グレンは人々が何となく落ち着いていくのを待って、村に立ち寄った冒険者の振りをして町を歩き回った。

 先ほどまでヴァンパイアだった村人は元の普通の人間に戻っていた。アウルは元の普通の村に戻っていた。

 おかしい。何もかもおかしい。

 なぜヴァンパイア化したはずの村人たちが元に戻ったのか。そんなことができるのか。そんな話しは聞いたことが。

 いや。待てよ。

 ヴァンパイア化したということで行ってみると、何事もなかったかのようにいつもどおりの暮らしをしている村。情報が間違っていたのではなく、王騎士たちが行く前に元どおりに戻っていたとは考えられないか。

「その剣で斬っちゃだめ!」

 とシャロンは言った。シャロンの剣で斬ったヴァンパイアは倒れた。そして、目覚めてこうして普通の村人に戻って元の生活に戻っている。ヴァンパイアだった面影はない。シャロンの剣。あの剣には特別な力が宿っている。


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