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ヴィリジアン  作者: 千月志保
第4章 アウル
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錯綜する情報

 パイヤンにはゲートの封印を見張り、何かあったとき王都にすぐ連絡ができるように大きな神殿が設置してあり、神官長は神殿だけではなく、封印の管理も任されている。封印があるため、神殿は常時結界を張っている。

「そうか。これで少し街道に出没する魔物の数が減るかどうか様子を見るとしよう」

 本当に封印に異常がなかったのだろうか。ウィンターの話と食い違いがある。どうしても自分の目で確かめたい。しかし、今これ以上の行動に出れば怪しまれる。ここはいったん引き下がろう。

「ソフィア」

「はっ。ラッドの村に異常はありませんでした。村がヴァンパイア化したという情報は誤りだったようです」

「以前もこのような報告があったな」

「はい。三ヶ月前。テラという町でした。ソードを派遣しました」

 エストルが王騎士たちからの報告をその都度自ら記録している分厚いノートをめくりながら答える。

「何事もないようであれば、それはいちばんではあるが……情報が錯綜しているのだろうか」

「無事を確認することも意味のあることだとは思いますが。少なくとも徒労だったとは思いませんでした」

 首をかしげるセレストにソードはきっぱりと言った。

「周辺の町や途中の街道の様子を見ることもできますし、情報を得ることもできますし」

 同意したソフィアは苦笑いした。

「陛下、ラッドの酒場にいた冒険者たちからアウルという村がヴァンパイア化したという噂を聞きました」

「なんと」

 セレストは満足げに微笑んだ。

「我々もその情報を先ほど得たところだ」

 エストルが代わりに答える。

「では、早速次の任務だ。ソード、ソフィア」

「はっ」

「リティカ湖の周辺でヴァンパイアの目撃情報があった。二手に分かれて湖の周辺を捜索してくれ」

「はっ」

 短く答える二人の息はぴったりだ。

「グレン」

「はっ」

「お前はアウルに行ってくれ」

「……はっ」

 歯切れの悪い返事だった。村がヴァンパイア化しているということは、その村を浄化、つまり村人だったヴァンパイアを倒さなければならないということだ。気が重い。

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