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ヴィリジアン  作者: 千月志保
第4章 アウル
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魔剣の行方

「なるほど。洞窟には魔剣もドラゴンの姿もなかったということか」

「どうしよう。もし……もしエリーの魔剣がすでにヴァンパイアの手に渡っていたら」

 エストルの部屋で頭を抱えるグレンの横で部屋の主はコーヒーを一口すすった。

「そんなに取り乱すな。考えていなかった事態ではない」

「上級ヴァンパイアは本当に強いんだ。素でも手に負えない」

「その話は聞いた。それにヴァンパイアの手に渡ったという確証はない。元からそんなものは洞窟に封印されていなかったのかもしれないし、すでに他の冒険者が持ち出した可能性だって否定できない」

「なんでそんなに冷静なの?」

 すると、エストルはグレンの手を取ってにっこり微笑んだ。

「今はお前があの洞窟から帰ってきてくれただけで嬉しいんだ」

 そんなに心配してくれていたのか。

「ひどいね。仮にも王騎士なのに」

 冗談めかして返すグレンもどこか嬉しそうだった。

「さあ、報告会だ。悪いな、休む時間もなくて」

「ううん。大丈夫だから」

 エストルのことだ。しっかり報告会の後に休む時間を確保してくれているに違いない。部下の体調管理には余念がない。


 エストルと謁見の間に来ると、反対方向からソードとソフィアがやってきた。

「戻ったばかり? お疲れ様」

 ソフィアがグレンに声をかける。

 四人揃って謁見の間に入ると、セレストが待ち構えていた。

「報告を聞こう。グレン」

「はっ」

 グレンはエストルに話したようにエリーの洞窟に魔剣がなかったことを報告した。

「ドラゴンが巣くっているという噂でしたが、人がみだりに近づけないようにドラゴンの棲む場所に封印したと言い伝えられているそうです。しかし、ドラゴンの姿もどこにもありませんでした」

 セレストの表情が険しくなった。

「何者かがドラゴンを倒して持ち出したのか……」

 グレンは胸がずきっとした。また最悪のシナリオが脳裏をよぎる。

「分かった。魔剣の剣は取りあえず保留にしておこう。行く先々で積極的に情報を集めて何かめぼしいものがあったらすぐに報告せよ。ソード」

「はっ。パイヤンとその周辺地域を捜索してきました。パイヤンの住民や神官に魔物のことを聞くと、魔物が群で巣くっているため出入りのできなくなっている森や洞窟があるということだったので、一掃して参りました。パイヤンの町自体は神殿が張っている結界のため魔物の侵入はないということでした」

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