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ヴィリジアン  作者: 千月志保
第3章 エリー
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魔剣

「パイヤンで?」

 セレストは顔をしかめた。

「はい。単なる噂かもしれませんが、気になります。私を調査に派遣していただけないでしょうか?」

「なるほど」

 セレストは静かに何かを考えている様子だった。傍らでエストルがじっとその表情を観察している。

「確かに気になるな。よかろう。調査に向かわせよう。ただし。お前ではなく、ソード、お前が行け」

 呆然とした表情でグレンはソードを見た。

「御意」

 ソードは平然と頭を下げた。

 やはりソードはセレストにとって特別な存在だ。信頼が他の王騎士と比べものにならない。

「グレン、実はお前にはやってもらいたいことがある」

 まだ気持ちの整理が終わっていないグレンにセレストは容赦ない。

「エリーに行ってもらいたいのだ」

 エリー。パイヤンとは逆の南にある町だ。

「エリーの近くに洞窟があり、その地中深くに魔剣が封印されているという話は聞いたことがあるだろう」

 グレンは思考をたどった。

「はい……確か何人もの猛者が挑んだのですが、洞窟には魔物が多く棲みついていて、誰一人として生きて還った者はいないという」

「そうだ。だが、その魔剣、ヴァンパイアが手にすると、その力を強化する可能性がある」

「何ですって?」

 グレンよりも先にソフィアが叫んだ。

「実は、ミスグンドにいにしえから伝わる魔剣があるのだが、その魔剣を手にしたヴァンパイアに出会った。おそらく村人だった者だろう。大した強さのヴァンパイアでもなく、魔剣の魔力も、私の見た感じでは弱かった」

 ソードが淡々と説明しているのにグレンは聞き入った。ソードは王騎士の中でも魔術を最も得意とし、持っている魔力も、魔力を感じる力も群を抜いている。

「だが、上級ヴァンパイア並みの強さだった。何とか魔剣を破壊し事なきを得たが……もし同種のより強力な魔剣が上級ヴァンパイアに渡れば……」

 王騎士三人で束になって戦えば勝機はあるだろうか。しかし、グレンはすぐに上級ヴァンパイアと戦ったときのことを思い出して首を振った。人間が何人束になってかかっても無駄なのだ。ソード並みの力を持った人が三人いれば倒せるかもしれない。だが、上級ヴァンパイアの相手を務めることができるのは今のところソードただ一人だ。あるいは。

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