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ヴィリジアン  作者: 千月志保
第3章 エリー
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挑戦

 城に戻る。

 頭の中がまだ混乱している。まずはなすべきことを整理してみる。

 金獅子を討伐したことは報告すればいい。問題はそのあとだ。

 ウィンターの言っていたことを確かめなければならない。ゲートが本当に開いているのか。それを確かめるにはゲートのあるパイヤンに行かなくてはならない。パイヤンはゲートがあり、王族の力によって封印がされているため、町自体が国王によって厳重に管理されている。パイヤンに入るには国王の許可が必須だ。

 そんなことを考えていると、廊下の突き当たりをソードが曲がってくるのが見えた。

「あ……ソード?」

 声をかけようとしたとき、ソードの足取りがやたらと重いのに気がついた。

「ソード!」

「……グレン」

 グレンが駆け寄ると、ソードはいつもよりか細い声で返事をした。負傷をしているようだ。手当てはしてもらってはいるようだが、それでも残っている傷跡はまだ痛々しく、かなり苦しそうだ。

「ソード、僕が」

「いや、後だ。まずは報告会に」

 グレンが手当てしようとしてもそう言って聞かない。王騎士の中でもナンバーワンの実力を誇るソードがこれだけの負傷、そして焦りよう。ミスグンドで何かあったに違いない。だが、やはりソードの体が心配だ。

「ひどくなったら……」

 すると、ソードは弱々しい微笑みを浮かべて言った。

「後でお前が治療してくれるのだろう? 多少悪化しても平気だ」

「僕をこき使う気?」

 信頼してもらえていることが嬉しくて、グレンも無理に笑顔を作って返した。


「ソード、その怪我……大丈夫?」

 扉の前でまだ帰還したばかりといった感じのソフィアと出くわした。

「ああ。大したことない」

「それならいいけど……」

 心配そうにソフィアが見つめる。

「陛下、サルニアで北方から来た旅人や商人から気になる情報を聞いたのですが」

 ソードからの報告は長くなるからということで後回しになった。もう内容はあらかじめセレストとエストルが聞いていたのだろう。

 無難な切り出し方を考えてグレンは挑む。

「何だ?」

「最近、北方では街道にも魔物が現れるようになったのですが、北東に進路を進めれば進めるほど魔物の数が増えている。また、上空を飛行する魔物の群も北東の方向からやってくる。パイヤンの周辺で何か起きているのではないかと噂が立っているのだそうです」

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