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ヴィリジアン  作者: 千月志保
最終章 ゲート
169/170

感謝と祈り

「ここで兵士たちの指導でもしないか?」

 透かさずエストルが提案する。

「そうですね。考えておきます」

 クレサックは取りあえず保留にすることにした。

「クレサック」

 ウィンターに手を握られてクレサックは振り返った。

「あなたが私を信じてくれなければ、みんなとも巡り会えなかった。本当に感謝している」

「私もヴァンパイアの殲滅の役に立てて嬉しかった。礼を言うよ。シャロンを頼む」

 二人はぎゅっと握った手に力を込めて感謝の気持ちを示し、手を離した。

「ソフィア」

 隣にいたソフィアはにっこり笑って手を差し出した。

「ありがとう。あなたのおかげでムーンホルンは救われた」

「こちらこそ。短い間だったが、共に戦えて楽しかった。それに、ソードに良くしてくれてありがとう。また会おう」

 握手すると、次はエストルと言葉を交わした。

「あなたの協力がなければ何もなし得なかった。難しい役回りを押しつけられたにも関わらず、本当によく立ち回ってくれた。ありがとう」

「陛下とムーンホルンを救ってくれたことを感謝する。報告を待っている。そして」

 エストルはいたずらっぽい笑いを口元に浮かべる。

「手合わせありがとう。楽しかった」

 ウィンターは笑顔でうなずくと、最後にグレンの前に立った。ウィンターはグレンのヴィリジアンの瞳をじっと見つめた。もう見慣れた瞳なのに未だに吸い込まれそうになる。

「大変な目にあわせっぱなしでお前にはいくら感謝しても足りない。でも、お前にしかできなかった。グレン、お前に会えて本当に良かった。ありがとう」

「僕も君と出会わなかったら、ヴィリジアンと出会わなかったら、希望なんて持てずにただ苦しみを押し殺しながらヴァンパイア討伐をする毎日を送り続けていたと思う。決して平坦な道のりじゃなかった。でも、がんばって乗り越えてきて良かったと思う。みんなのおかげだよ」

 グレンは両手でウィンターの右手を強く握った。

「ありがとう、ウィンター」

 そして、シャロンの手を取った。

「ムーンホルンのヴァンパイアは僕に任せて」

「ありがとう、グレン。私、がんばってくる」

 空は穏やかに晴れていた。ウィンターとシャロンの後ろ姿が遠くなっていく。シャロンが振り返って手を振る。グレンはくすっと笑って大きく手を振り返した。一歩前に出たウィンターに声をかけられ、シャロンは手を振るのをやめて前を向いて再び歩き出した。グレンは心の中で祈った。

 ムーンホルンにもテルウィングにも、みんなが笑って暮らせるような日が早く来ますように。

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