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ヴィリジアン  作者: 千月志保
最終章 ゲート
166/170

予習

「この時間まで仕事か? 忙しかったのだな」

 ウィンターが言うと、エストルは特に表情を変えずに答えた。

「明日、会議があるからな。ところで、ウィンター」

 ついでもらった酒を一口飲んで、エストルは続けた。

「今後どうするつもりだ?」

「明日の会議の予習か?」

「まあそんなところだ」

 エストルはいつでもできる準備は全て済ませて本番に臨んできた。セレストが戻ってきた明日の会議でもそれは変わらない。ウィンターはどう切り出そうかと少し考えてから話し始めた。

「まず、テルウィングに戻って向こうの仲間と情報交換をしようと思っている。その上でテルウィング王に会おうと思っている」

「うん」

「テルウィング王にもこれまでの経緯を話す。ヴィリジアンの力を手にし、上級ヴァンパイアを全て倒したことを伝えた上で作戦を断念するよう進言する」

「少なくともいったんは受け入れざるを得ないだろうな。テルウィング王と話す内容については我々も興味がある。こちらにもできるだけ早く連絡してくれないか?」

「もちろんだ」

「協力できることがあったら迅速に対応したい」

「それはありがたい」

 まだ何も決まっていないが、その言葉があるだけで安心感が違う。

「それで、クレサックとシャロンにはもう相談したのだが」

 ウィンターはひと呼吸置いてから、口を開いた。

「テルウィングにシャロンを連れて行きたい」

「ヴァンパイア化した人たちの浄化に必要なのだな」

 エストルはそう言われることを予想していたようで、大して驚きもせず、淡々と返した。

「シャロンが承諾しているなら、こちらからは何も言うことはない。ムーンホルンにはグレンがいる」

 すると、グレンも笑顔でうなずいた。

「うん。一日でも早くテルウィングにヴァンパイアがいなくなることは、僕たちの願いでもある」

「では、明日の会議でもそのように提案してくれ」

「ありがとう」

「ところで、ウィンター」

 急にエストルの表情が崩れる。

「テルウィングに帰る前にもう一度手合わせ願おうか。明日の早朝はどうだ?」

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