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ヴィリジアン  作者: 千月志保
最終章 ゲート
165/170

三人で

「ご一緒させてもらっても構わないかな?」

「いいよね?」

 グレンは振り返ってソフィアに聞く。

「もちろんよ」

「では、失礼させてもらうよ」

 グレンはウィンターに空いていた椅子を勧めた。その足でグラスを一つ取ってきてウィンターの前に置くと、そこにも酒を注いだ。

「ありがとう」

 ウィンターに微笑んで、グレンは自分の席に着こうとした。

「ソフィア?」

 涙ぐんでいる。グレンは一瞬驚いたが、すぐにその理由に思い至った。

「ごめんなさい。なんか急に思い出しちゃって」

「そうだね」

 グレンは優しくうなずいて席に着いた。

「城に揃うと、ソードと三人でよくこうして飲んだね」

「そう。ソードあまり話はしなかったけど、お酒は好きだった」

 口元には穏やかな笑みを浮かべていたが、涙が止まらなかった。

「そうか」

 ソフィアの涙を見てウィンターは寂しそうに笑った。

「私は、ソードのこと、何も知らないんだな」

「ごめんなさい。悲しいの、私だけじゃないのに。でも、大切な仲間だったの」

「ソードは王騎士として君たちと過ごせて、幸せだったと思う。きっと君たちといるときが唯一心安まる時間だったのだと思う。良かったら、もっと聞かせてくれないか? ここに来てからのソードのこと」

 ウィンターはグレンとソフィアが語る思い出の一語一語に耳を傾けた。

「遅くなっちゃったわね。私はそろそろ失礼するわ」

 どれほどの時間が経っただろうか。話が尽きると、ソフィアが席を立った。

「おやすみなさい」

 グレンがソフィアを送ってドアを開けると、そこには少し驚いたような表情のエストルが立っていた。急に目の前でドアが開くとは思っていなかったのだろう。

「エストル様」

 ソフィアも一瞬驚いたようだったが、すぐににっこり笑って挨拶を交わし、部屋を出ていった。

「ウィンターも来ていたのだな。ちょうどいい」

 エストルは慣れた動作で空いている席に座った。グレンが慌ててソフィアのグラスを下げ、代わりにエストルの前に新しいグラスを置いて酒を注ぐ。

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