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ヴィリジアン  作者: 千月志保
第15章 神殿
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イメージする力

 リンは全員大広間の方に行ったことを確認すると、広範囲に攻撃魔法を放ち、一気に外の魔獣を全滅させた。すぐに剣を握りしめ、大広間に突入する。

 ウィンターはバッサバッサと敵をなぎ倒し、前進していく。眼前に善戦するエストルの姿を見て、敵を斬りながら苦笑いを浮かべる。

「素晴らしい動きだな。実戦慣れした戦士のようだ」

 すると、エストルも大きく剣を振って答えた。

「実戦経験は皆無だ。ただイメージしていた感じとだいたい一致している」

「大した想像力だ」

「宰相はこのように現場に来ることはほとんどないからな。現場から来た者たちの報告を聞き、正確なイメージをすることは大切なんだ」

 近くにいた最後の魔獣を斬りながら、エストルは言った。

「これも全部グレンのおかげだ」

 二人はグレンの方を見た。グレンは大広間から廊下につながる扉の前でやはり最後のヴァンパイアに剣を振るっていた。

「グレンは天才だったから、士官学校にいた頃から実に多様な技や魔術をものにしていた。お目にかかったことのない技もよく飛び出した」

 エストルは奥の扉の方に向かって歩き出した。

「実技でトップの成績を修めるには、そんなグレンの次の動きをイメージする力が不可欠だった。それでもこちらの技術が追いつかなくて、結局勝てなかったが」

「どうかしたの、エストル?」

 エストルの気配に気づいて、グレンがヴィリジアンを持ったまま振り返る。

「いや、お前には感謝している」

 怪訝そうな顔をされるのではないかと思ったが、グレンはにっこり笑って返した。

「僕もだよ、エストル」

 ほほえましい光景を見て、ウィンターは口元を緩める。

 ソフィアたちの方を見ると、ちょうど魔物たちを片づけ終わったところだった。

「進みますか?」

 ソフィアが向こうの方から大きな声で聞いてくる。

 そのときだった。上から大量の魔獣が降ってきたのだ。

「どこから湧いてきたんだ!」

 天井に異常があるわけではない。

「空間転移か」

 それしかない。〈告知者〉の仕業だ。

「無視して先に進んでも良さそうだけど、これが集会室になだれ込んだりすると厄介ね」

 ソフィアが言うと、ルイが剣を構えた。

「それに浄化した神官たちが倒れています。危害を加えさせるわけにはいきません」

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