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ヴィリジアン  作者: 千月志保
第14章 パイヤン
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勝敗の行方

「何だと?」

 自分の魔力が高速で押し戻されて目の前まで接近していた。グレンとウィンターの魔力と同化し、巨大な光の球となってしまった今、〈執行者〉のスピードを持ってしても避けきることは不可能だった。

〈執行者〉の体は光の球と激しい音を伴って衝突して跳ね飛ばされた。後ろにはいつの間にか見えない壁ができていて、〈執行者〉はそこに激突して少し跳ね返ったが、そのまま落下し、壁にもたれかかって座るような姿勢で静止した。

「終わりだ」

 意識が戻る前に胸を剣で刺される。

「ばか……な」

 カーマナイトのコアを貫いていたのは、緑色に光る刃。グレンのヴィリジアンだった。

〈執行者〉は緑色の光に包まれ、光とともに消滅した。剣に刺さった黒ずんだカーマナイトの結晶もやがて消滅した。

「やっ……た」

「グレン!」

 どさりとくずおれるグレンをエストルが走り寄って腕に抱える。傷跡が痛々しいが、倒れたのはおそらく魔力を使い果たしてもう体を支える力さえ残っていないからだろう。

「ありがとう、ウィンター。助かったよ」

 ゆっくりと近づいてきたウィンターに、エストルの腕の中でうっすらと目を開けたグレンは言った。

「間に合って良かった」

 ウィンターとエストルは手こずりながらも魔獣を倒し、グレンの魔力の方向を探しながらやっとのことでここまでたどり着いた。ウィンターの考えていたとおり、グレンは〈執行者〉と戦闘中だった。すぐに魔力がぶつかり合って拮抗している状態であることを見て取ったウィンターは、素速く剣で弧を描き、ありったけの魔力を閃光にしてグレンの魔力にぶつけた。

「〈執行者〉と互角にやり合ったか。大したものだ」

 そのとき、周りの空間がねじれて消えた。そして、曇ってはいたが、光のある世界に戻った。

 辺りを見回すと、しんと静まり返った町がある。人はいない。空も建物も灰色で色彩がなく、生命の気配が感じられない。

「エストル様」

 向こうから声がして、ソフィアたちが駆け寄ってくる。かなり消耗はしているようだったが、三人とも大きな負傷はないようだった。

「良かった。三人とも無事だったか」

 エストルが穏やかな笑みを浮かべる。

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