表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヴィリジアン  作者: 千月志保
第14章 パイヤン
133/170

黒翼の魔獣

 エストルは目を開いた。

 なんだ。ここは。

 そう思ったのとほぼ同時に少し距離を置いたところに人が倒れているのが見えて、転がるように駆け出す。

「グレン? グレン!」

 近づいてみると、倒れていたのは血まみれになったグレンだった。

「エストル……良かった」

 安心したような表情でグレンがつぶやく。

「もう、大丈夫だよ。魔獣……倒したから」

 そう言いながらグレンは手をエストルの肩に伸ばし、つかまる。肩にかかった体重はずっしりと重かった。エストルは反射的にグレンの体を支えた。

「早く、みんなを探さなくちゃ」

 そんな体で探しに行けるわけがない。エストルが手当てをしようとすると、グレンの口からうめき声が漏れた。

「グレン?」

 異変を察知し、その原因を探そうとすると、うめき声が絶叫に変わり、グレンの背中から黒い翼が生えてきた。

「グレン……」

 黒翼のグレンは光に包まれ、光は瞬く間に膨張した。光が消えると、そこには巨大な魔獣が現れた。

「グレン」

 呆然とつぶやくエストルに魔獣が襲いかかる。だが、ショックのあまり座り込んだままのエストルは動くことすらできなかった。何が起こったのか分からなかった。

 目の前で突如爆発音が響く。魔獣の巨体がすさまじい勢いで吹っ飛ばされる。

「大丈夫か、エストル」

 ウィンターだった。だが、まだエストルの目の焦点は合っていなかった。

「グレンは?」

 虚ろな瞳のまま唇だけが動いている。すると、ウィンターは何となく事態を理解し、やんわりと聞いた。

「グレンを見たのか?」

「グレンが……魔獣に」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ