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ヴィリジアン  作者: 千月志保
第14章 パイヤン
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異空間の罠

 エストルはうなずいて立ち上がろうとしたが、右足に重心をかけた瞬間、グレンの背中に倒れ込んだ。グレンはすぐにエストルを座らせ、ローブをめくって右足を見た。赤く腫れ上がっている。グレンと同じようにここに放り出されたときにぶつけたのだろう。

「待って」

 治療しようと手を当てた瞬間、グレンは妙な気配を感じて半ば反射的に左に避けた。それでも避けきれず、右胸に激痛を感じた。

「エス……トル?」

 右胸にはエストルの五本の指が刺さっていた。

「外したか」

 指を抜くと血が溢れてきた。動揺していると、四方から光のナイフのようなものが何本も飛んできて体に突き刺さった。

「あなた……」

 苦痛に顔を歪めたままグレンは目の前のエストルの姿をしたものに聞いた。

「何者なの……?」

 冷笑をたたえていたエストルはまばゆい光に包まれた。


「……リン。リン」

 弱々しい声がしてリンは目覚める。

「ルイ? ルイ!」

 横に血まみれになった弟がいた。魔力がほとんど感じられない。

「ルイ、どうしたの? ここは?」

 無残な弟の姿に加え、辺りの異様な空間に気づき、リンは慌てた。

「異空間に送られたみたいだね」

 ぽつりと小声でつぶやく。

「リン、僕は、もうだめだ」

 ルイは淡い笑みを浮かべる。

「先に、みんなを探して……」

「何、言ってるの?」

 リンのその言葉に憐れみは微塵もなかった。あるのは驚きだけだった。

「ルイは……ルイはそんなこと言わない」

 生まれたときからずっと一緒に過ごしてきた。だから、分かる。ルイは、リンの知っているルイは這いつくばってでも仲間を探しに行く。仲間の力になるために、仲間を守るために最後まであきらめない。

「あなた、誰なの?」

 すると、血まみれのルイはすくっと立ち上がって、凍てつくような笑みを口元に浮かべた。

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