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ヴィリジアン  作者: 千月志保
第13章 魔術研究所
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ヴィリジアンとの対話

 グレンはヴィリジアンと長年使ってきた自分の剣を持って、階段を下りた。日光が入らない地下は薄暗い。廊下をしばらく歩くと、エストルとウィンターが待っていた。グレンが来ると、エストルは何も言わずに研究所の扉を開いた。

「エストル様」

 ローブを身にまとった男が三人を迎える。

「ここの所長のヴィクターだ」

 エストルは手短にウィンターに紹介した。

 ヴィクターはソフィアの部下、リンとルイの父親でもある。

「どうぞ。こちらのお部屋です」

 グレンはエストルの横顔をのぞいた。手合わせした日のエストルはいつもより生き生きしている。

 昨夜約束したとおり、グレンはウィンターを迎えに行って、先日も手合わせをした士官学校の裏の敷地に案内した。この日も晴天に恵まれ、気持ちの良い風に吹かれながら、グレンはエストルとウィンターの手合わせを見た。初めてのテルウィングの剣技に最初はとまどっていたエストルだったが、すぐに慣れてウィンター相手に持ち前のセンスを発揮した。実力はウィンターには及ばないが、ウィンターも思った以上に良い練習になったようで、満足げだった。

「どうかしたか?」

 グレンの視線に気づいてエストルが聞く。

「ううん。手合わせ楽しかったんだなって」

 エストルは苦笑いした。

 こじんまりとした部屋だった。薬品の調合に使う器具などが最小限置いてある棚があるが、それ以外にはあまり物がない部屋だった。壁際に台が一つある。

「必要なものなどございましたら、お申しつけください」

 ヴィクターは一礼して下がった。

 グレンは壁に自分の剣を立てかけて、台の上にヴィリジアンを置いた。横でエストルが扉を閉めた。そのまま静かにグレンの背後、ウィンターの隣に移動する。

 グレンは大きく息を吐いた。緊張している。目を閉じて心を決めると、グレンはヴィリジアンの柄を右手で握りしめ、語りかけた。

「ヴィリジアン、君の力が必要なんだ」

 すると、緑色の石がグレンの言葉に反応するように淡い光を放った。

「ありがとう。僕の魔力を使って」

 今度は何の反応もなかった。

「分かってる。覚悟はしている。だから、必要なだけ使って」

 今、聞こえている以上に、見えている以上に、多くの言葉をグレンとヴィリジアンは交わしている、エストルは思った。言葉にしなくても心で通じ合っている。

「じゃあ、始めよう」

 グレンがヴィリジアンに声をかけると、青白い光がヴィリジアンとグレンの右手を包み込んだ。

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